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にわんこ

書きたい事はあるが、状況を書くのが足りず説明不足になっていないかが一番心配だったり。

文章量もこんなもんかなぁ。よくわからん。

 現在、水間センは頭の上にシロ(豆柴)を乗せた状態で、巨大兎の解体作業を行っている。

 具体的には、鋭いツメで巨大ウサギをサクサク解体しているジョン(巨大柴犬父)の行動を見て、引きちぎろうとしているなら片側を抑えたり、皮を口で剥ぎ取り始めたら逆から引っ張って手伝ったりしていた。役に立っているかは判らん。


 (いったい、何をやっているんだろう俺は・・・。)


 正直、センはいっぱいいっぱいだった。この柴犬は何者なんだとか、危険がないのかとか、聞きたい事、考えたい事はたくさんある。とりあえず思考を止めないようにして、ただただ目の前の問題を処理しているだけなのだ。

 頭の上から滑り落ちそうになってジタバタしているシロを肩に救出しつつ、少し離れて、物凄い速さで解体される巨大ウサギ(だったもの)を眺める。ジョンは器用に解体した肉塊を口でくわえ、石の上に並べている。


 (俺、絶対ジョンに勝てないよねこれ。無理だわー。絶対無理だわー。あ、ジョン今つまみ食いした。)


 とりあえず、解体も一区切りついたのでやる事は少なくなってきた。カルラ(巨大柴犬母)とモコ(豆柴)は、順調に石を集めて竈を完成させているようだ。モコが小枝をくわえてヨチヨチ歩いている姿が非情に愛らしい。

 ふと気付く。火を使うという事は、この肉をどうにかして火の上に置かないといけないのではないか。ということは、口にくわえるにしろツメを使うにしろ、柴犬ボディーではちょっと難しいのではないか。

 ・・・ということで、このまま何もしないのも申し訳ない。長い枝を串に見立てて、肉を串に刺していく事にした。これで焼きやすくなるだろう。

 とりあえず手頃な長さの枝を集める事にする。身近な木の枝を手折り、十本ほど集まったところでジョンの解体した肉に差し込んでいく。

 既に解体を終えて暇そうにしているジョンが、不思議そうな顔(わふ?と小首を傾げていた)でこちらを眺めていたので、センは肉に枝を刺す作業を行いながら説明する。


「そのままだと火で炙る時に熱いだろう?だから、こうやって枝の先に肉を付けて・・・反対側を持てば・・・ね?熱くない。」


 おお、なんかジョンが驚いた顔(口をあんぐり開けている)をしている。その発想はなかったわ、って感じか。

 ジョンは正気に戻るなりシュバっと立ち上がり、機敏な動作で手近な木に飛びついた。枝(結構太い)が体重で無理矢理手折れていき、メキメキメキ・・・バキイッ!という効果音が森に響き渡る。

 当然、枝の先は葉や枝が付いていたが、この程度屁でもないわと言わんばかりにジョンはツメでそぎ落としていった。すこぶる豪快である。ちなみに、自分もやってみようと枝に飛びついたは良いが折れなかったのだろう。シロが近くの枝にぶら下がって悲しそうな顔をしていた。

 が、ジョンの快進撃はそこで止まった。太い枝(細めの丸太?)を口にくわえ、意気揚々と肉塊(ジョンとカルラ用の巨大な物)に近づいていったのだが・・・刺せなかったのだ。前足で肉塊を押さえつけ、後ろ足で丸太をガシッと挟んでグイグイ必死に押し込もうとしている。が、現実は非情である。丸太の断面積が太いため、一向に刺さらない。


 センは、そんな悪戦苦闘するジョンを菩薩のような顔で眺めながら、追加の枝を手折っていた。あの愉快な生物は理解を超えていたので、もういいや、といった心境なのだろう。枝の上から降りれなくなったシロをつまんで肩に戻すと、残りの肉塊(人間用サイズ)を枝に差し込んでいく。

 と、枝を肉塊に刺せず悪戦苦闘しているジョンがこっちを見た。・・・・・・あ、なんかひじょうに悔しそうだ。そりゃそうか。こっちはサクサク刺してるしなぁ・・・。


 「・・・あー、なんだ。ジョン。手伝おうか?そのサイズだと何を手伝えるかわからないけど。」

 

 ちょっと涙目のジョンは、しばらく悔しそうにしていたが、わふ、と一声鳴くとこっちの話を聞く体制になった。自力での解決を諦めたのだろう。素直な子である。

 苦笑しつつ、センは解決策を考える。


 「まず、先端が尖らせて、そんで押しつけるんじゃなく、勢いよく一気に刺すと良いよ。俺も手伝うから。」

 

 そう言うとジョンは、なるほど先端をなぁ・・・と言わんばかりに丸太の端を眺めた。そして、わふ、と一鳴きすると目にも止まらぬ速さでツメを振るい、ものの数秒で先端を尖らせた。速い。

 唖然とするセンを尻目に丸太をくわえると、今度はなぜか肉から離れた位置に向かった。そして肉塊に向き直り、数十メートル助走を付け、猛烈な速度になった後に首の力で丸太を発射した。


 センが作業しているすぐ前にある肉塊に、ドスンッという重い音を立てて丸太が肉に突き刺さり貫通する。

 丸太に遅れて数瞬、衝撃波が風となってセンを駆け抜け(シロが肩からふっ飛んだ。)、センを撫でる。

 呆然とは、まさにこのことである。


 (あー、勢いよく一気に刺す、って聞いて全力投球したのかーすごいなーそんけいしちゃうなー)


 きちんと丸太が肉塊に刺さったのを確認し、得意気に「わふふんっ」と胸を張るジョンを眺めながら、こいつには敵対しないようにしようと誓うセンであった。

表現の微調節。(8/1)

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