隠された秘密
昨日の緊急事態で、調宮神楽耶は母親と二人で家に戻った。
「どういうことなの?説明して。」
母親は事件の詳細を語り始めた。
「昨日、私たちが家を出た後、どうも空き巣が我が家を狙ったようです。記録データからわかりました。映像を分析した結果、例の男だとわかりました。
私はこれ以上、あの男を近づけさせないため、熊が出没したという偽情報を警察に流しました。その時点でクマに襲われたという情報はどこにもありませんでしたが、どうも本当に熊に襲われた人がいたのです。よって、私は確かに偽情報を流しましたが、実際の熊に人が襲われたというのは本当です。ただし被害者は見つかっていません。血痕だけ残し、熊も人もいまだ見発見です。
「じゃぁ、なんで人が死んだ!なんて情報が流れたのかしら?」
「おそらくSNSで誰かがフェイク映像を作ったようです。最近は一般の人でも精巧な動画を作れるようになったので、警察も騙されたようです。」
納得する神楽耶。
「人間界も進んだわね。この千年で」
神楽耶は思った。
それにしても、あの例の男はしつこい。
私たちの正体は絶対の秘密なのだ。
ここで計画が漏れたら元も子もない。
翌朝。
朝、登校班の集合場所では、父兄たちが昨日の事件の噂をしていた。
「死体が消えたらしいわよ!たぶん、クマが山奥へ引きずっていったんだわ!」
「怖いわねぇ~。うちの子どもにはクマよけの鈴持たせたわ!」
「なんでも渡良瀬川の土手を熊が歩いてるのを見た人もいるらしいわよ!」
「え、渡良瀬川の土手!怖いわね~!あそこ、ジョギングしてたら喰われちゃうのかしら!」
主婦たちがあることないこと噂していた。
「神楽耶、あなたもこれを」
母が手に持っていたのはクマよけの鈴だった。
いかし、それはただの鈴ではなかった。
「何かあったらこの鈴を握るればいいのね」
「はい。脳波を検知してすべてが伝わります。熊よりもあの例の男を心配してください。あの男は我々を狙っています」
「了解」
神楽耶は小さい声で答えると、手を振って母と別れた。
「かぐやぁ~!大丈夫だった?熊!」
黒繁香が声をかけてきた。
「おはよう、香ちゃん。大丈夫だったよ。うちには大ちゃんがいるし、防犯カメラもあるから。そしてほら!」
先ほど母からもらった鈴を見せる。
「わぁ。もしかして私のと同じだわ!ほら!」
差し出された鈴は確かに同じだった。
母はこれをモデルにしたのか。
「どうしたの?なんか黙っちゃって」
「あ、ごめん。この鈴、おそろだね!」
「うん、なんか私たち気が合うね!」
「そうね。」
神楽耶は11歳の小6である。
しかし、彼女はこの地球の人間ではない。
ある目的をもって地球に降臨した。
しかし、今はそのことを誰にも話せない。
時が来るまでは。
神楽耶は一人そう思いながら、登校班の後をついて行った。
続く




