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謎の親子

あれから一週間が過ぎた。


あの竹やぶで捕まった男は無罪放免で釈放された。


「もう、たけのこ採るんじゃないぞ!」

警察官に説教された男は気まずそうに頭をかいた。

「へい、わかっております。」


男が警察の留置所を出て、街で仕事を見つけようとぶらぶら歩いていると、母親と娘と思われる二人が歩いているのが見えた。


「なんだ?今頃。もう昼だぜ。そういえば腹減ったな」


2人の親子と思われる姿は、小学校の校門で一度立ち止まると、母親が娘に何か話しかけていた。


真っ赤なランドセルを背負った少女はうなずくと、二人は校門をくぐり、校舎の中へ消えていった。


「みなさん、お昼ご飯を食べる前に紹介したい人がいます。さ、どうぞ!」


クラスの担任の相澤先生が促すと、先ほどの親子が教室に入ってきた。


「では頑張るのよ!」母らしき女性は娘にそう告げると、教室から出て行った。


「では、かぐやさん、自己紹介お願いします」


少女は教壇にあがり、ぺこりとお辞儀をした。


「みなさん、初めまして。私は調宮神楽耶つきのみや・かぐやと言います。1周間前に、東京からここ、足利市に引っ越してきました。なにもわからないので、みなさん、よろしくお願いします」


教室の生徒たちは、東京から来たというだけでざわついていた。


「では調宮さん、今日から6年3組のみんなと仲良くしてくださいね」


「はい」


「黒繁さん、隣あいてるわよね。そこに調宮さん座らせてあげてね。よろしく」


少女は先生に促され、黒繁 くろしげかおりの横に座った。


(かおり)は軽く会釈しながら、その少女を見つめた。


黒くて長い髪が、とても(つや)やかで一瞬見とれてしまった。


「よ、よろしくね。私、黒繁香。かおりんでもいいよ。えっと、調宮神楽耶さん」


「こちらこそ。かぐやでいいですよ。東京でも、かぐやって言われていたから」


給食の時間になった。

みんなが食べ終わると、クラスの女子たちが調宮神楽耶の所に集まってきた。


「ねぇねぇ。東京のどこから来たの?」

「髪きれい~!なんのシャンプー使ってるの?」

「特異な科目は?私は体育!」


質問攻めになっているとき、男子たちはそれを横目で見ながら愚痴を言っていた。「なんだよ女子は!めずらしい生き物みたいに!パンダじゃないんだからよ!東京っていったって、田舎だろ。たいしたことないな、東京も」


あきらかに負け惜しみだった。


しかし、調宮神楽耶はあまりしゃべることもなく、物静かだった。


やがて物珍しさも終わったのか、彼女の周りに群がることもなくなった。


6時間目の授業が終わるころ、隣の席の黒繁香が聞いた。


「かぐやさん、帰りはどうするの?」


「おかあさんがまだ学校で待っているので、今日は一緒に帰ります。」


「そうなんだ。じゃ、また明日!」


チャイムが鳴り、掃除する生徒たち。


先生が調宮神楽耶を呼び止めた。

今日は掃除はいいわよ。

お母さんが待っているからお家へ帰ってくださいね。



生徒たちがまだ掃除をしているとき、一足早く、調宮親子は校門から出てきた。


街を通り抜けると、急に家も少なくなり山もまじかに迫ってくる。


2人はどんどん山奥の方へ歩いて行った。


その姿をみつめる一人の男がいた。


続く

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