デマの怖さ
これまでのあらすじ
2023年3月某日
栃木県足利市の、ある竹藪で一人の男が逮捕された。
1週間後、足利小学校に小6の女の子が転校してきた。
名前は、調宮神楽耶
竹藪の奥にある家に住んでいる。
彼女は仲良くなった黒繁香、渡部千晶の3人と、
サッカー観戦のため、渡良瀬川へ向かった
そしてその帰り、神楽耶の後をつける男が捕まった。
学校ではその男の逮捕で大騒ぎになっていた。
そしてその日、防災訓練が行われたが、
本当に避難することになってしまう。
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「母、今日はうまく行きましたね。気象庁では今、テレビを通して説明しています。足利市の避難情報はこれで疑われることはありませんね」
神楽耶はテレビを見てうなずていた。
黙って見守る神楽耶の母。
「母、明日は通常通りで行きますが、引き続き、警戒態勢は解かないでください。まだまだ緊張状態を続けます。」
「承知です。では次の計画までは私は動きません。それまでは消防の方々に街を守っていただきましょう。」
「そうですね。何より彼らが一番の頼りですから。」
夜が更けてゆく。
気象庁が発表したのは、那須岳の火山性の地震だった。
ここしばらくは警戒するように呼び掛けていた。
また浅間山の噴火経過レベルも2にあがっていた。
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ねぇねぇ、昨日のニュー見た?」
香りがさっそく、神楽耶や千晶に聞いた。
「見た見た、那須岳が噴火するかもって!」
そこに潮田英樹と黒岩草太が会話に入ってくる。
「おれなんかさぁ、ユーチューブで見たぞ!那須岳は明日噴火して山が崩壊。浅間山も噴火して、次は富士山も爆発するそうだ!」
偉そうに黒岩草太が自慢する。
「見た見た!俺も~!富士山が6月に噴火して南海トラフも揺れて津波が来るって!」
「ほんとなの~!こわーい!」
女の子たちは怖がった。
「でも、その動画って怖がらせるだけが目的じゃないの?」
神楽耶が男子二人に言い正した。
「そうです!神楽耶さんが正しいです!」
山崎小鉄だ。
小鉄君が自説を主張しだした。
「那須岳が噴火しそうなのは事実だとしても、浅間山と那須岳の火山活動は別物です。また富士山もそうです。日本には火山が沢山あり、その全てを南海トラフ地震と結びつけるのは暴論です!」
小鉄が熱弁を語りだした。
「あ~、わかったわかった!たかが都市伝説に熱くなるなよ~!」
英樹と草太がうろたえていると、
「いえ、そういう人を恐怖に導くようなもの好きではありません!」
「ごもっとも。。」
英樹と草太はしゅんとしてしまう。
「まぁまぁ、お3人とも!仲良くしましょう!仲良く!」
香りが場の雰囲気をなんとか変えようと必死になるが、空気が重い。
「あの・・」
神楽耶がボソッと話始める。
「確か、那須岳は那須火山帯、浅間山は富士火山帯ですよね?確かに関連性はないけど、太平洋プレートが北米プレートに沈み込むことによって地震が起きるとしたら、どちらの火山群も噴火するかもしれませんね。南海トラフはフィリピン海プレートだったかしら?」
「お詳しいですね、神楽耶さんは。そうです。南海トラフはフィリンピン海プレートと大陸プレートの間にあります。だから富士山の噴火にも影響があるのは事実です。でも、今回の那須岳や浅間山の火山性地震がすぐに大地震になったり富士山噴火にはなりません。それよりもマグマがどのくらい溜まっているのか?プレートのひずみがどのくらいあるのか?それは何百か所に定点pointを置いて観測することが重要です!」
小鉄は難しい言葉を並べてすらすらと論じた。
「いあや~何いってるんのかわかんねえぇぇぇっぇ!って!小鉄!」
英樹と草太が参ったという顔でわめく。
「だから~、小鉄君のお父さんは国土地理院で働いていて、そういう不確かな情報は許せないのよね?ね、小鉄君!」
うなずく小鉄。
「それにしても、神楽耶さんは凄い。お父さんはどんなお仕事を?」
神楽耶に聞く小鉄。
「あ、私、父はいないんです。まだ子供だった頃に亡くなりまして」
「これはすいません!」
頭を下げる小鉄。
「いんです。ただ私の家には父が残した本が沢山あって、その中で知ったことで、学校以外で知識を得る手段になっているのかなと思っています。」
「なんか、神楽耶と小鉄、すごい気が合ってる。すごいわ~。二人とも博士ちゃんだね!」
なんとか重い空気は晴れた。
チャイムが鳴る。
授業が始まる。
続く




