サッカー少年
これまでのあらすじ
2023年3月某日
栃木県足利市の、ある竹藪で一人の男が逮捕された。
男はタケノコを取ろうとして足を滑らせ気絶したのだが、
その時、竹が光って見えたと警察に言ったが
取り合えってもらえず無罪放免。
1週間後、足利小学校に小6の女の子が転校してきた。
名前は、調宮神楽耶
謎の転校生の来た翌日、熊が人を襲った。
そのけが人があの男なのか?
いまだ不明である。
そんな中、黒繁香、調宮神楽耶、渡部千晶の3人が
香の親の家業である苺農園でいちご狩りをする。
そしてサッカー観戦のため、渡良瀬川へ向かった
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河川敷ではサッカーの試合が行われていた。
三人のお目当ては、同級生の潮田英樹くんだった。
「どこにいるのかなぁ?」
神楽耶たちは英樹君の姿を探した。
「あ!いた!」
千晶が叫ぶ。
「あ~!いたいた!」
香も神楽耶も彼の姿を確認した。
神楽耶が香に
「すごいんだね。英樹君。あ、速い!」
と感心するように言った。
潮田英樹が走り出すと、あっと言う間に敵のボールを奪い、そのままドリブルしてゴール前に迫った。
「いけ~!シュートだぁ!」
香が叫ぶ。
その声が聞こえたのか聞こえなかったのか?
英樹君のシュートはゴールポストの上を大きく外れて飛んで行く。
「あ~!惜しい!」
3人はため息をつく。
英樹がそんな3人に気が付く。
彼は3人に向かって大きく手を振りながら、ハーフラインまで戻ってゆく。
「かっこいいね、英樹君」
千晶がそう言うと、
「でしょう?学校にいるときは冴えないのにね! (笑) 」
そんなことを言ってるのも分からず、英樹はにこにこしながらまだ手をふっていた。
その3人の背後に、あの例の男がいた。
木陰に隠れ、じっと見ている姿は誰が見ても怪しかったが、河川敷には色んな人が行き交っているので、この男を気に留める人はほとんどいなかった。
試合の前半が終わり、英樹が3人の元にかけよってきた。
「お~!見に来てくれたの~?」
「そうよ、どんだけ負けるかね!」
香が皮肉っぽくなじる。
が、英樹は怒るわけでもなく、むしろ喜んでいる。
「その反対でごめんね~!いま、1-0で勝ってるの。もうちょっと2-0だったんだけどね。おれが外さなければさ!」
「大きく外れたけど~」
「うっせーな!」
英樹が味方チームへ戻った。
香によると、英樹とは幼馴染で、香も4年生までは一緒にサッカーをやってたらしい。
2人のやりとりを千晶と神楽耶は羨ましそうに見ていた。
「仲いいね~」
千晶がいあたずらっぽく香をからかった。
「違うよ!そんな仲じゃないよ!腐れ縁かなぁ~。サッカーに関しては私の方が上だった。でも悔しいけど足の速さではあいつにはもう勝てない。ま、私もサッカーやめちゃったし」
ちょっと寂しげな表情を浮かべる。
神楽耶はそんな香の横顔を見て想像をめぐらせていた。
その時、サッカーボールが3人がいる方向へ飛んでくる。
「あ、危ない!」
誰かが叫ぶ。
香と千晶は思わず顔を手で覆い、うずくまるが、ボールが飛んできた気配がしない。目を開けると、ボールは神楽耶の顔の前で止まっていた。
「か、かぐや!ボール止まってる?」
そう言うか言わないか、ボールは神楽耶の足元に落ちた。
「すいませ~~~ん!大丈夫ですか!!?」
サッカーをしていた少年が駆け寄る。
「大丈夫です。」
神楽耶は穏やかな笑顔で答えた。
「大丈夫~?かぐや?手で抑えたの?なんかびっくりしちゃたよ~」
「うん、なんかちょっとボールが手前で曲がったのかな?」
3人にけがはなく、試合は続行された。
しかし、その異変に気が付いた者がいた。
あの例の男である。
「見たぞ!ボールが空中で止まった!あの子は手をだしてなんかいない!明らかに空中で止まったんだ!やはり、あいつは人間じゃねー!」
やがて試合も終わり、英樹のチームは2-1で勝った。
「よかったね!英樹!ゴールはなかったけどさ!」
「いうなよ!それは!でもいいんだ!アシストゴールできたしな!」
「じゃぁ、またね!月曜日学校で!」
「おー!」
香と英樹は無二の親友のような間柄だった。
転校してきた千晶と神楽耶にとって、ちょっとうらやましい関係だった。
「じゃ、帰るか。駅まで送るよ」
3人はそのまま徒歩で足利フラワーパーク駅まで歩いた。
その3人をついてゆく黒い姿。
神楽耶はとうにその存在に気が付いていた。
続く




