自業自得な甘い考え
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部屋で1人これからの事を考えてみた。
ティトと話をして、私の前世での認識の甘さを知った。
私は自分が道場を継ぎ、子供達から必要とされていて、私がいなければ道場が無くなってしまうと思っていた。
でも、それは幻想で、実際の運営は祖父の甥の叔父さんと叔母さんが、お爺ちゃんから受け継ぎ担っていた。
——みっともないわね
私は1人でその気になって、勝手に空回りしてただけだった。
お爺ちゃんお婆ちゃんには、大学へは行きなさいと言われたが、早く祖父母の力になりたくて、高校を出て就職した。
お爺ちゃんが倒れた時、会社を辞めて道場を手伝うようになったんだ。
お婆ちゃんには、会社を辞める事を止められたっっけ……
お爺ちゃんが亡くなる前、私は自由に生きていいと言われ、道場はもう終わりにすると言われた時、私は必要ないと思われたくなかった。
私がやると、家を継ぐ事に固執した。きっとあの時、叔父さんが手を貸してくれたんだ。
——お爺ちゃん呆れただろうな。
私は、表面的な事だけして満足していた。
子供のおままごとの延長だったんだ……
叔父さんはいつか飽きるだろうと、ずっと、見守っていたんだろうな
叔父さんから給料を貰っていた事にすら、何も疑問を持たないなんて、どの口が経営していたなんて言えるのか。
迷惑しかかけてなかった。
私が転移したのは、叔父さん達にも都合が良かったかもしれない。
ふぅとため息が出る。
現実を知り、もっと悲しくなるのかと思ったが、実際には肩の荷が降りたように感じた。
私は背負わなくて良い荷物を、自ら持っていただけだったみたいだ。
「情けないな」
気付いたら呆気ない。私は祖父母から愛されていたし、叔父さんも優しかった。
自分だけ不幸だと、孤独だと、勝手に可哀想な子に成り下がっていた。
「しっかりしなきゃな……」
浮気男も騙されたと思っていたけど、彼自体は元々は普通の人だったし、以前とは違って上手く付き合っていた。
自分が道場に固執して、祖母の介護に意識が逸れてから、恋人らしい関係は崩れた。
「自分の事で手一杯だったよな」
疲れているからと相手を邪魔にして、イライラしてる時八つ当たりもした。
私の苦労を、何で貴方は理解してくれないのかと責めた。
彼は、何度も無理するなと、気晴らしをしようと言ってくれたんだ。
言われる度に、私は無能だと言われているように感じてしまい、貴方には分からないと助言を聞き入れる事をしなかった。
「私が悪いんじゃない……」
甘え過ぎたんだ。
別れた後も、自分の至らぬところを認めたくなくて。いつまでもぐじぐじしていた。
だから、彼はわざわざ荷物を届けに来て、先へ進めと、しっかりしろと背中を押したつもりだったのかもしれない。
「いや、でも、アレはきっと、いつまでも私を気にしていたのがバレて、彼女から、陰道渡すように言われたやつだな」
ふふっと笑いが湧いてきた。
なんだ、私もう彼の事なんて気にしてなかったんだ。自分のプライドが私を裏切るなんて許さないってた。
それだけだったんだ……
彼は彼なりに頑張っていたんだ。
私は彼の気持ちを無視していた。
私は彼の思いに胡座を描いていた。
愛される努力はしていなかったわ。
「そりゃ私よりも、彼を求める子がいたなら、そっちに靡くわよね……」
ちょっとしたキッカケで、自分がどんどん冷静になっていくのが分かる。
彼からも傷つけられたと思っていた。
また、裏切られたと。
でも、一歩引いてみれば、それは自分の思い込みだった。
「なんだろ、もしかしたら、私は思い込みが激しかったのかも知れないわ?」
元々そうだったかな?と思いを馳せるが、記憶の中がごちゃついていて思い出せない。
お爺ちゃんお婆ちゃんが元気だった時は、そんな事はなかったはずだ。
基本的には楽天家だ。そうか、祖父母に不調が、現れて不安だったんだわ。
不安を受け止める事が出来ずに、見て見ぬ振りをした結果、視野が狭くなったのかな。
否定されるのが怖くて、人の話も聞かなくなって、独りよがりな考えになったんだ……
「あー、自業自得じゃ無い。嫌になるわ」
その時コンコンと扉をノックする音がした
「はい?どうしましたか?」
扉を開けると、ペリルがいた
「うん、考え事するなら、甘い物あった方がいいかなって思って」
そう言って、ペリルが、一緒に作ったクッキーを差し入れてくれた。
「あと、これも」
もう一つ貰ったのは、ソージュ作のアイスクリームだ。
「お茶は持ってる?こっちは気にしなくていい。ゆっくり考える時間も大切だよ」
ペリルは私の顔を注意深くみつめている。
「……ありがとう。ソージュにも後からお礼するわ。お茶も持ってるから大丈夫。もう少し自分と向き合ってみるね」
2人とも心配してくれているんだ。
ちゃんと考えよう。
「分かった。夕食は取っておくから好きな時に食べるんだよ?」
ペリルが頭を撫でてから、扉を閉めた。
「夕食?もうそんな時間だったの?」
この部屋には窓がない。時計をしている訳でもないから時間がわからなかった。
「……美味しい」
ペリルが届けてくれたアイスクリームはいちご味で前に食べた物ではなく、ソージュが新しく作ってくれたみたいだ。
「私、随分と大切にされてるわね」
冷静な今だから分かる。
こちらに来てから、皆これでもかと大切にしてくれている。
そのお陰で、私はお爺ちゃんお婆ちゃんを失った悲しみと、失恋した落ち込みを受け入れる事が出来たんだ。
過去は変えられないんだから、それはそれとして受け入れて、前に進もう。
もう、傷ついたからといって、感傷に浸るのにも疲れてきた。
記憶と心に多少の歪さは今でもあるけど、私は幸せだったんだ。
「これからの事、考えなくちゃ」
こちらで生きていく。
もう、決めてしまおう
迷うかも知れない。でも、いざとなったら、帰るくらいの気楽さで、エストラゴンの娘として新しい人生を始めてみよう。
「魔王討伐迄に、この世界の事と、貴族の事を学ばなきゃね?」
ソージュの隊にしてもそうだ。
「やれる事は沢山あるはずだよね。ちゃんとお仕事としてやらせて貰おう」
ソージュとペリルに関しては、この先、時間ができるんだから、今までほど、焦らないはずだ。私も幸せになる為にじっくり見定めたい。
「とりあえず、色々教えてもらわなきゃね」
アイスとクッキーを食べたのに、テンションが上がってきたからか、お腹が空いた
「夜ご飯、皆食べちゃったかな?」
よし!っと気合い入れて立ち上がり、グッと背伸びをして扉に向かう。
ガチャっと扉を開くと
皆が食卓についたままこちらをみた。
卓上には何もない。
もう食べ終わったのかな?
「お?チャコ、もう飯食うか?」
パパが手招きしている。
「俺が持ってくる。オリガン手伝え」
ソージュとオリガンがキッチンに向かう
「チャコ、皆今から食事だからちょうど良かったよ?」
ペリルはそう言うが、どう見ても待っていてくれたのだろう事がわかる。
「ありがとう。お腹空いた!」
——もう、泣かない。
私は配膳を手伝う為にキッチンへ向かった。
チャコ、やっと残る気になりました。
3人の関係は、ほんの僅かなズレが先を決める鍵になるのです
チャコが気付き始めます
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