あなたは……一体誰?
秘密を知られる相手が、迂闊にバラす事がない人間だと安心したのか、彼女は自身の能力や現在の話をしてくれた。
信じて貰うには、先ず自分から話そうと思ったらしい。私も少し警戒を緩めて話をした。
「所でティトは、他のメンバーにあった?」
今のところ、私もティトも隠しているわね?
「えっと、魔法使いの子にはあったよ?」
魔法使いの子って……
「え?アルゼに会ったの?」
つい昨日話をしたのに、全く聞いてないわ?
「あれ?知ってるんだ?」
ティトはキョトンとしたままこちらを見ている。
「昨日話した時、聖女以外は知らないって……」
嘘付いていたのかしら……何でかな?
「あ、それは私が口止めしていたからだよ?彼女の話はどこまで聞いた?私はかなり聞いてると思う。心読めるし」
心が読めるなら、嘘はつけないわね……
「確かに。ティトには嘘つけないのかな?
私もかなり聞いた方かも?ソージュと魂の関係の話も彼女から、家族間の事とかも聞いたわ
」
何故ティトの事だけ、隠したのかしら?
「じゃあ、大丈夫そうね?彼女も魂の転生者でしょ?生まれた時からこちらで生活しているから、私の身分への理解がかなり出来ているの。信用するしないではなくて高位貴族の言葉は、絶対裏切れないのよ」
あ、そうか、貴族への考えがそもそも私とは違うのか
「彼女に初めて会ったのも、襲われたのを偶然助けた後だったし、立場が染み付いているの。多少は緩んだけどね。私は気にしないのに」
ティトは、困った顔をしている
「そうか、だから知らなかった事にしたんだね。その方が賢いわ」
刷り込みみたいな物だから難しいのかも?
「因みに私は聖女にはまだ会っていないわ?見ての通り子供だから一人では行動出来ないもの」
話していると忘れてしまうが、ティトは今は10歳位かな?
「ティト、貴方今幾つなの?」
もしかしたら違うのかな?
「え?今?もうすぐ11歳ですわ」
今は私が思った通り10歳なのね?
「まだ子供だもの……遠方に1人行動は確かに無理ね?聖女はフェルゼンにいるらしいよ。私は紹介状描いてもらったよ」
聖女は幾つなのかしら?
「そうなの?そのうち行く機会があるから私もアルゼに書いて貰おうかな」
ティトはアルゼに願う気満々だ。
「ティトは、前世の記憶はしっかりあるの?」
アルゼには……一部しか無かったわ。きっと寂しいだろうな
「しっかりあるわよ?能力開花した時に全て思い出したの」
ティトの表情に影が差した。
「……何かあった?」
何か、悲しいことでもあったのかな?
「うん、まあ納得はしているけど、今思えば結構大変だったなって思うのよね」
何だか物言いが達観している。もしかして大人だったのかな?
「変なこと聞くけど魂の転生者って……」
転移じゃないってことは……
「ん?死んで転生するんだよ。知らなかった?」
やっぱり、そうなんだ……
「アルゼは、人間関係の記憶がないとしか言わなかったわね」
思い出として記憶のあるティトは、更に苦しい筈だわ
「そっか、ある意味幸せかもね?私は死に際までしっかりあるわよ。何なら向こうで忘れていた記憶まで能力のお陰で見れちゃうのよ。疲れるから見ないようにしているわ」
やっぱり……人2人分の記憶なんてきついに決まってる。
「それは、大変そうね?」
いいことばかりではないだろうし……
「見なければ平気よ?ただ、しっかりある記憶に関しては、こちらとの違いを比較しちゃう時もあるのよね」
ティトは嫌な事が結構あったのかな?
「前世、大変だったの?」
どんな人だったのかな?
「よくある話よ?親がクソだった事と悪い男に良いように利用されただけ。ようやく解放されたのに若いのに病気で早死が予定外なくらい?」
え……かなりキツくない?
「かなり、ハードモードじゃない!幾つだったの?」
若い時にって……
「26歳だったかな?自分で店を持って2年?若いからあっという間だった」
——26歳だなんて、若過ぎるわ!
「ごめん、軽く聞いて良い内容じゃなかったわ」
失敗した。興味本位で聞いていいことじゃなかった。
「いいの、終わった事だし、今は幸せだから」
ティトが寂しそうだけど、綺麗に笑う
「それは救いだわ」
今が幸せなら、報われるわね
「チャコ姉は?いきなり転移でしょ?残してきた家族が心配だよね?」
私か……
「……私は祖父母に育てられて、その祖父母も既に他界して天外孤独の身だから、まあ仕事関連と生徒が心配しているくらいね?」
今、道場はどうなっているんだろう?
「さっきも生徒がって言っていたけど、チャコ姉って学校の先生なの?」
ティトが首を傾げて聞いて来た。小動物みたいで可愛い
「学校ではないわ?道場を経営しているのよ」
警察とかに連絡言ってるのかな?
「道場?何の」
あら?気になるのかな?
「弓道って分かるかしら?弓の」
学校によってはあるから知っているかな?
「……弓道の道場?祖父母?」
ティトの表情がガラリと険しいものに変わった
「どうかした?」
余りの変貌にこちらが驚いてしまう。正直、子供のする表情じゃない
「チャコ姉ってもしかして……に住んでた?」
ティトの口から、日本語で私の住んでいた町の名前が出た。
「え?何で知ってるの?近くに住んでいたの?家の道場に来た事あった?それか祖父母のお知り合いだったりする?」
思いの外、ご縁があった魂の転生のようだ。




