私は煩悩に塗れていた
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風を切って走るのが楽しくてトップスピードで走っていく。頬に当たる風が、物凄い勢いで後方に流れていくのが分かる。
ふと、ガッチリ抱きつきいるソージュが、ちゃんと息をしているのか心配になった。
「ソージュさん!息してますか?」
と尋ねてみたら
「はぁ、大丈夫だ、はぁ、はぁ、問題ない」
喘ぎ喘ぎソージュは返事をした。完全に息切れしてる。
「もう少し、ゆっくり走りますか?」
可愛そうになったので、少しスピードを緩めると
「いいよ、はぁ、はあ、そのまま、はぁ、大丈夫」
ソージュが更にギュッと抱きつき、耳の近くで喋ってきた。
耳元で吐息が!走っているから……
耳に!唇が!あ!た!る!ヤメテ!
「くうっ!煩悩退散!」
私は、こみ上げてくる何かを力に変えて、更にスピードアップして走ったので、あっという間に櫓に着いてしまった。
「もう着いちゃいましたね?」
櫓を見上げて、ソージュを下ろして、解放してあげようとしたが、
「あれ?ロープが無い?」
さっき確かにペリルが縛っていたのに。どこいった?
「ソージュさん。ロープ無くなっちゃったみたいだから、降りていいですよ?」
ソージュはまだ背中にしがみついたまま乗っている。
「……だ」
ソージュが何が言ったが、声が小さくて聞こえない。
「え?聞こえませんよ?何ですか?」
もう一度聞き直したら
「魔法のロープだから、縛った奴しか外せないから降りれない!」
あら、困った。
「だから、さっき、反対していたんですね?」
失敗したなぁ、どうしようかな……
「とりあえず、櫓の下の兵舎の中に入るか?」
たしかに、こんな姿通りすがる人に、見られたくないよね?
「そうですね、ソージュさんいつまでもおんぶじゃ恥ずかしいですよね?」
いい大人な男性だし。
「……お気遣いありがとう」
ソージュは、自分のカバンから鍵を取り出して、私に兵舎の鍵を渡して来た。
「お邪魔しまーす」
中には簡易的な炊事場と、4人程が座れる机と2段ベットが置いてある。
「とりあえず座りたいです、椅子はソージュさん挟まっちゃうし、ベットの下段に座っていいですか?」
振り向くと、目の前に情けない顔した美形が居た。
「……好きにしてくれ」
ソージュは何かを諦めた様な物言いだった。
ヨイショとベットに座れば、丁度ソージュが座った足の間に、私が収まる様な状態になる。側から見たらまあ、なんて言うか、いちゃいちゃしているカップルの座り位置だ。
ソージュは抱きしめていた腕を離し、少しでも身体を離そうとしたが、魔法のロープに阻まれ、足も縛られているので、前傾姿勢から身体が起こせない様だ。
「済まない。かなり密着した状態で縛られている。腕が後ろに行かないから、このままでいいか?」
脇の下あたりまで固定されているのか腕が後ろに行かず、前に下す事しかできなかった様だ。
ソージュさんがダラリと腕の力を抜く。
「!! あの……腕が!」
残念ながらソージュが腕を解くと、私の胸にぽにぽに当たる。
「あ?ああ!ごめん!わざとじゃ無いんだ!」
ソージュは慌ててバンザイした!
強烈な美男子の癖に、そんな事で一喜一憂するソージュが面白くて思春期の少年かと、ケラケラ笑ってしまった。
「チャコ、随分といい性格じゃ無いか?俺がは離れないと言う事は、お前は俺から逃げれないんだぞ?」
耳元でソージュがこれでもかと言う程、何かが色々出ちゃってる声でもって私を詰める。
バンザイしていた左腕が、スルリと私の脇の下から回り込みお腹を囲い込んだ。右腕が私の左頬から左肩を撫でながら、意味ありげに往復している。
「でも、触ることしか出来ませんよね?それって返ってソージュさん自身が辛くて、自爆しませんか?」
……むしろその方が心配だ。
そして、気づいてしまった。
私にはソージュのわざと仕掛けてくる煽りは、全く効かない。ソージュの無意識の自然な色気にはヤバいレベルで興奮するらしい。
さっき走っている時はかなりヤバかった。
あれは理性が飛ぶ。
素敵!抱いて!
となるが、今はまったくもって平気だ。
「……前から思ったんだが、チャコは男の生態についてやたらと詳しくないか?」
ソージュのイタズラしていた手は大人しくなり、結局今はただのハグになっている。
「私の居た世界では、成人女性であればある程度知識としてあったと思いますよ?友人達との会話での情報も、書物や物語も多いし目にする機会も多かったので」
ネットなんて、油断すると大変な事になってるし、知らずに過ごす方が難しいと思う。
まあ、私の場合は、それなりに経験値はあるけど、わざわざ言うことでもないだろう。
「……そうなのか?俺は男として少々自信を無くすぞ?」
しゅんとしたソージュは手持ち無沙汰なのか、抱きついたまま私の手を取り手を弄っている。
——なんか小さな子供みたいね?
「その顔と声で自信無いなら、一般市民は生きていけなくなるので、自信持って下さい」
ソージュがはぁ、と長いため息をついて、私の首元に顔を埋めて抱きしめてきた。
私は、巻きついて、しなしなになっているソージュの腕をポンと叩いて慰めた。
ソージュ、次回己と戦います。
次回、天国と地獄です。
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