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迂闊な彼女と心配症な彼

夜にもう一本行けたらいいなぁ。


あー、ペリル怒ってるなぁなんて呑気な事思っている場合じゃ無いけど、私はケーニッヒから離れ安全地帯に逃げ込めたので気が緩んでしまった。


案の定、ペリルに寄って一旦洗浄魔法をかけられた後に口撃の上塗りをされたが、相手が違うとこうも気持ちが違うのだなと改めて確信して、ザワザワした気持ちがホッとした。


少し落ち着いたのを見計らってペリルは話し始めた。ペリル自身もイライラしていたのか、いつもより声が低くなっていた。


「何でチャコは俺が目を離すと誰かに襲われるのか・・・」

ペリルはハァーと長い溜め息を吐いた。


私を膝の上に乗せたままソファに座り先ほど見た光景の事情聴取をされた。私はとりあえず時系列順にあった事だけを淡々と述べていった。


「ん、チャコに非は全く無いね。全くエッさんがいながら何であんな事になるんだか。チャコごめんね?怖かったよな」

ペリルは私を責める事は無かった。さっきからずっと宥めるように私を抱きしめ撫でている。


「ナトゥーア国は皆あんな感じなんだよ。キスは挨拶。拒否されなければそのまま押し倒すなんて事は日常茶飯事なんだ」

体験してみて思った。ペリルの母国だけどやっぱり私には無理な国だわ?だって断るのが苦手なんだもの


「チャコの魔力がまた揺れたから何事かと思った。1人にしてごめんね」

ペリルは私のトラウマを理解してるからひたすらに優しく甘やかしてくれる。私も安心し切ってペリルに身を委ねていた。


「私、嫌だって強く思う事が出来なくて。嫌だなって感じたら気持ちを切り離しちゃうみたい。何も感じなくなるの。今、ペリルがそばに居て初めて嫌だったって分かるのよ?鈍感すぎるわよね?」

私はいつも傷つきたくなくて心を切り離すんだなと改めて自分の気持ちを理解した。誤解されていなければいいけど。


「チャコ、大丈夫だよ。チャコの魔力はちゃんと嫌がっていたから。だから俺にはちゃんと分かってるから大丈夫」


ペリルは私が相手を受け入れたいと思ったわけでは無い事をちゃんと理解していた。誤解はしてない事も伝えてくれた。私は安心した途端に複雑な気持ちになった。


「・・・ペリル。怖かった」

私はペリルに縋りつき、自分の内側の気持ちを話し出した。エストラゴンに助けを求めたけど軽く見られていた事、レティヒハントさんは助け舟を出してくれたけど2人が仕事の話に夢中になってる隙に襲われた不満をペリルに改めてぶつけた。さっきは事実確認だから感情は話さなかったから


「・・・助けてって言ったのに!何でも言ってって言ったのに!嘘つき!!どいつもこいつも私は何もして欲しく無いのに勝手に手出しするとか何よ!バカー!」

話すうちに怒りの感情が湧いて来てふーふー息を吐くほど私は声を荒げて不満を言った。ついでに涙も出て来た。


「チャコ、俺をみて?」

興奮して叫ぶ間はペリルの顔は見えていなかった。こんな醜い姿を見ているペリルを見れなかったんだ。でも、見てと言われたら見ない選択は出来ない。


「チャコ、よく言った。頑張ったな?」

ペリルは不満を爆発させた私の涙を優しく拭いながら褒めてくれた。え?何で褒めたの?と困惑したら


「チャコは俺がナトゥーアだから理解しようとして何でも直ぐに飲み込もうとするだろう?だけどやっと不満を言ってくれたね?ありがとう」

ペリルはずっと私が不満に思っちゃいけないと気持ちを飲み込むことまでお見通しだったのか。ありがとうって・・・何?


「何でありがとう?」

感情的でみっともない姿見せたのよ?


「やっとチャコの本心の気持ちを聞かせてくれたんだ。ゆっくりでいいって言ったけど今は俺を信じてくれたんだろ?だからありがとう」

そうか、私はペリルならってペリルには甘えられるって思ったんだ・・・


「私ね、ペリルなら甘えてもいい。大丈夫だって思えたの。甘えても許してくれるって。それって・・・」

私の言葉は優しくペリルに止められてしまった。もう、最後まで言わせてよ。


ペリルのこと信じているからだねって


言葉には出来なかったから思いを伝える為に腕を伸ばしてペリルを抱きしめた。それに気付いたペリルは腕の力を強くして私を抱きしめ持ち上げた。そしてキスをしたまま器用にベッドに移動した。


「・・・あの人には技量じゃ叶わないかもしれないけど頑張るよ」

ペリル、何言ってるのかしら?


「ペリル、人には好みがあるのよ?周りがどう感じるかより私がどう感じたかじゃ無い?」

2人で見つめ合ってプッと笑う


「キスは俺の勝ち?」

だから何が不安なのかしら?


「好きでも無い人にされても気持ちが乗らなきゃ意味ないでしょう?生理的な反応はあるけど心は動かないわよ?私はペリル専用だしそれ以外は全く求めてないよ?」

あ、ちょっと嬉しそうだ。


「ペリルの圧倒的な勝利よ?」

そう伝えるとペリルはやる気スイッチが入った様だった。ペリルなりに不安に思ったみたい。不安が無くなりちょっと自信が出たのか今日のペリルはいつもと違った。


また私の脳内ペリルが更新されてしまった。


乙女心のわからないおっさん達は朝までほったらかして2人で仲良くしちゃいます。2人ともケーニッヒが早く帰らないかなーって考えてます。

レティヒハントは必死に対応中?


反応、評価、ブクマ、コメント、首を長くしてお待ちしてます

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