大人の慰めは2人だけの秘密
自分の恋愛観を話すなんて、なんだか恥ずかしいなと照れ笑いしたら、目の前に少し弱っているようなペリルの顔がある。
「チャコ、キスしていい?」
ペリルの瞳には、寂しさのような切なさが溢れている。
「……どうしたのペリル、泣きそうだよ?」
心配になって思わずペリルの頬に手を当てる
「ん、チャコが真っ直ぐだから、何だか切なくて、自分が汚れているように感じたから」
ペリルが、合わせていた目を逸らす
「ペリルが汚れてる?どうして」
何か、そうおもわせちゃったかな?
「俺は、求められたら、相手が望むならとりあえず手を出したよ。
そこに愛も恋も無いのにね?チャコの目からすると酷い男だと思うだろ」
ペリルは、自分を嫌悪するかのように笑う
「ペリルのは、なんか違うって感じたのは多分それだね。自分の欲の為じゃないからだよ。
私は、自分の欲のために手当たり次第なのはちょっと嫌だけど、ペリルは相手の望みを叶えてあげたいだけでしょう?
それって汚れてるって言えるのかな?それは人によるんじゃ無い?」
私だって似たようなな感じだったよ……
「チャコは俺の事、酷いとは思わないの?」
ペリル、やっとこっち見たな?
「思わないわよ?だって、さっきも言ったけど私も似たような感じだもの」
ね?って首を傾げたら、ペリルもつられて、同じように首を傾げた。
「チャコも?!誘われたら許しちゃうの?」
ペリルの目がぱちぱちしてる。
さすがに驚いたのかな?
「ん、まあ、そんな事もありますよね?」
ん?普通はないのかな
「チャコ、俺が言う事じゃないけど、簡単に許したらダメだよ?」
あら?ペリルに怒られてしまったわ
「……流されやすかったの。以前も、今日だってそうでしょ?」
ペリルは思い当たる事が直前にあった事を思い出したのか、眉間に皺がよる。
頬に当てていた手で、思わず皺になった眉間を触っていたら
「チャコは無警戒過ぎるよ?」
ペリルのおでこにあった手を取られ、握られてしまった
「無警戒?どこが?」
服に露出はないはずだよなと、キョロキョロしていたら
「酒が入っているのに、こんな近距離で男の顔を触るなんて、とって食って下さいって言ってるみたいに見えちゃうよ?」
そう言って、ペリルは私の手のひらに、見せつけるようにキスをする
多分、警戒させるために、わざとやってみせたのだろう。
——ペリルは優しいよね。
「そんな風に見えるのは知らなかった。でも、触りたい時はどうすればいいの?」
もしかしたら、今までもそうだったのかな?
でも、触りたくなる時もあるよね?
「触りたいって、んんっ、触るなら触られる覚悟を持って触って?」
覚悟?覚悟っているの?
「覚悟ってどの覚悟?」
やばいわからない、私今まで緩すぎた?
あ、酔ってるからかな?
「……チャコ、俺ですらかなり我慢してる。
ソージュ様が相手なら、多分2人で部屋に入った時点で喰われる覚悟、一般的にはこの距離でも覚悟がいると思う。
チャコから触ったら、まず間違いなく、了承とみなされるだろうね?」
そっちの覚悟ね?!
そんなにシビアなの?やだ、知らなかった
「……ペリルは凄いんだね?」
尊敬するわと笑顔を見せたら
「その顔もダメ!」
グイッと、抱き寄せた私の顔を、ペリルの胸元に押し付けられた。
ペリルの鼓動がお酒のせいか早い。
暖かいし、なんか、いい匂いがする。
「チャコ?」
呼ばれて、顔を上げたらペリルと目が合った
「……していい?」
返事をしようとしたら、私の返事はペリルによって塞がれた。
同じお酒の味がした。
ソージュとは全く違う、優しい思いやりに溢れていた。
私は気付けば、縋るようにペリルの背中を抱きしめていた。彼の腕は居心地が良い。
「チャコ、ダメ、これ以上は俺の我慢が限界になるから、離れて?」
居心地のよいペリルが離れていくのが嫌で、思わずしがみついてしまった。
「チャコ?どうした?」
なんて言ったら良いのか分からないけど、今は側にいて欲しい。
「わからない。けど……」
どうしたんだろう?身体が動かない
「……前の男トラウマだったんだよな?身内無くして、寂しかった時、慰めて欲しかったんだろ?そんな時に裏切られた。辛かったな?」
ペリルは、私の気持ちを理解しているのか、離れずにまた抱き寄せてくれた。
「ずっと、誰かに甘えたかったの。ペリルごめんなさい」
——困るよね?
「チャコ、何で俺なの?後腐れないから?」
ペリルが温度のない声で聞いてきた。
「違う!ペリルはずっと私を包むみたいに優しくしてくれた。ペリルだと安心するの。怖くないの。だから……」
私、狡いな、涙が出て来ちゃった
「チャコ、ごめん、俺意地悪だね?あちこちに散々手を出してきた癖に、好きな子相手には自分を見て欲しいと思っちゃった」
抱きしめる腕に力が入った
「でもね?このままだと俺、無理だよ?ただ慰めて欲しいなら、喜んで全力で引き受けるけどどうする?」
ペリルは冗談と本気を入り交えて聞いてくる
私が断りやすい様にだ。
この人はどこまでも優しい
「このままだと、ペリルはどうなるの?」
興味本位で、空気も読まず聞いてしまった
「チャコは悪魔かな?我慢できる範囲で我慢するかな。無理だったら、チャコを眠らせてから水風呂に直行かな……頭冷やすよ」
力無い笑いをしながら、それでも私を傷つけたくないから、ペリルは自分は抑え込むんだ。
「ペリルの慰め方は?」
ついでに聞いておく
「普通聞かないでしょう?まあ、それがチャコなんだろうね。俺の慰め方は、まあ、大人の慰め方になるかな?」
……そうなるわよね?
「因みに、この部屋に誰か入ってきます?」
最中に乱入とか嫌だし
「……誰も入れないよ。ソージュ様は朝まで起きないし、後の2人は御者台から離れない」
今、一瞬で何かしたよね?
ならいいかな?
「……ペリル、内緒で甘えていい?」
ペリルを見つめると、覚悟した顔をしている。何の覚悟だろう?
「チャコ、誰にも言わない?」
ペリルが念押ししてくる
「言わない。慰めて」
今は、ペリルの優しさに縋りたいの
「チャコ、ありがとう」
私が求めたのに、ペリルはお礼を言ってきた
チャコ、流されずに自ら行きました!
流されたのペリルでした。落とすつもりが完全に落ちました。
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