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ひまわり畑の告白

作者: k.k.

 父に言われずとも、友達とバイトを始めた妹を迎えに行く。

 その帰り道で近頃様子の変な横顔を見やる。

 母が仕事とかで悩みはないか、それとなく話を聞くがないらしかった。

 では何なのか?

 他にも目を逸らされ、よそよそしいのも気になっている。心当たりは無く今も微妙な感じだ。

 友達や母に代わり遊びに映画や買い物へ出かけるので仲は悪くないはず。

 そして俺は異性として妹が好きだ。

 倫理的に駄目な事は理解してる。

 それでも何より妹優先で物事を考えてしまうし、思うと胸が切なく、それでいて温かな気持ちになる。

 けれど告白は関係を壊し、愛し合えないのが兄妹だと冷静な頭もある。

 だから他の子を好きになる為、教室で人気の子や巨乳の先輩、美人教師など人気の異性なら片思い出来ると考えた。意外と簡単に誰かに恋をするのか? と。

 しかし心は動かなかった。

 もし妹に恋人が出来ればと望むが考えるだけで嫌だ。

 苦悩の末世界に似た人間が三人いる説に行き着く。

 妹の写真を使用し、ネットで検索した。角度や一部似てるだけで目論見は外れる。

 なら実地でと進路調査表に全国妹探しと書き、教師から誤解と説教と再提出を求められた。

 成績的に進学も可能と。勉強を頑張れたのも今の自分があるのも全部妹が傍に居たからだった。

 学校の成績や苦手から逃げず、身嗜みに気をつけてるのも、かっこ悪い姿を一人の女の子に見せまいとする一心だ。

 二人ひまわり畑に差しかかる。

 まだ蕾なので緑色が多いけれど、例年鮮やかな黄色や濃いオレンジが広がる。

 すると妹に止められ、囁く様な声で。

「わたし……(にぃ)が好き」

 そう言葉にして二人が血縁関係にない事、それを知った経緯と続いた。

 友達と謎のノリでバイトの為作ったマイナカードを使い戸籍謄本をコンビニで印刷して知る。

 判明した事実に秘めていた恋心が抑え切れず、好きと言ったら嫌われると抱えていた悩みを明かし、震える指を組む。

「それでも(にぃ)が好き、です」

 繰り返した告白は脳を麻痺させ、血縁関係がないとか自分を恋愛対象として好きで両想いだったとか、情報過多で混乱する。

 ドキドキして顔が熱くなり、嬉しくて言葉にならない。

 しかしとっくに答えは出ている。昂ぶりを抑えて冷静に彼女を呼ぶ。

 そして返事を待つ瞳を見つめ、一言好きと伝える。

「俺も好きだ。結婚しよう……」

 どうやら想いが暴走したらしい。全然冷静なんかじゃない。

 風がひまわりを揺らし、彼女の瞳から涙が零れた。

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