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『たからもの』  作者: サファイアの涙
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第90章

 朝もやの中、列車から降りた良作たちがまず目にしたのは・・・魚の干物ひものやスルメ、そして、青果、野菜類を売り歩く、行商人の集団であった。


 当時、札幌駅構内のプラットホームでは、こうした行商人があちらこちらに小さな露店をかまえ、あるいは歩きながら大声で客に呼びかけ、自分たちが仕入れた魚や、その他、食料品を売り歩く・・・このように、令和時代の今から見れば、ノスタルジーあふれるような光景が見られたものだ。


 良作は、その行商の様子を、寝不足の頭でぼんやりと眺めながら・・・かつて、美絵子とK小学校でともに過ごしていた、あの時期、似たような光景をCMで観たことを思い出した。


 (なんか、とってもなつかしい光景だなぁ・・・。あのCM・・・今はもう、流していないもんなぁ・・・また、もう一度観てみたいなぁ・・・。)


 ここで、一行は朝食を摂ることとなった。


 まだ飲食店が開店していない早朝ということもあり・・・この駅構内での「駅弁」を全員分、同行の教師が購入し、それぞれが、駅構内のベンチに座ったりして、朝の食事を終えた。


 その駅弁は、「海鮮弁当」ともいうべき、地元の魚介類をふんだんに使った、なかなか旅行者の舌を楽しませる、いわば「名物」のようなものだったが・・・魚介類が大嫌いな良作にとっては、よほどの空腹でもなければ、まず口にしない、不快な食材でしかなった。


 しかし彼は、ただでさえ睡眠不足により「体力」と「思考能力」が衰えているという状況もあり・・・このあと実施される厳しい農業実習での試練というものも考慮し・・・弁当にあしらわれた、魚介類の生臭い匂いに鼻をつまみ、目を白黒させながらも、なんとか、残らずかきこんで胃の中に入れたのであった。

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