表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『たからもの』  作者: サファイアの涙
85/126

第84章

 「美絵子ちゃん・・・あのときは、本当にごめんよ。つらかったよね・・・苦しかったよね。許してね・・・。」


 「ううん。あたし、なんにも覚えてない。覚えてるのは・・・良作君との楽しい想い出だけ。あたしね・・・とっても幸せだったの。だって、良作君、あたしを大事にかわいがってくれてたでしょ・・・? だから、良作君との想い出の中に、悪いことなんて、なんにもなかったよ。」


 「美絵子ちゃん・・・君は・・・!」


 良作は、美絵子の、自分を気遣う、そんな優しい言葉を聞くと・・・知らず知らずに涙があふれだし、さらに強く、ぎゅっと美絵子を抱きしめた。


 「良作君・・・。」


 美絵子も、そんな良作の愛に応えるように、良作の肩に頭をのせて・・・気がつくと二人は、いつしか熱いくちづけを交わしていた。


 美絵子の父は微笑すると、それを見ないようにして、そっと奥の部屋に入っていった。


 「・・・良作君、ごめんなさい。あたし、お盆に何度もここに来ていたの。でもね、お母さんが、良作君とは関わらないように、強く警告していたの。話題にも出すな、絶対に会うなって・・・」


 「そうだったのか・・・すまない。僕のせいで、美絵子ちゃんにまで、そんな負担をかけてしまっていたとは・・・。」


 「ううん、ちがうの。あたし・・・ずっと、お母さんには苦労かけっぱなしだったから、それ以上、ストレスを与えたくなかったの。それにお父さんがね、いつか良作君は必ずここに来てくれるはずだから、今は辛抱しなさいって、言ってくれてたの。・・・そして、お父さんのいったとおり、今日、良作君、こうして会いに来てくれたわ。・・・本当に、ありがとう。」


 「待たせたね、美絵子ちゃん・・・もう、離さない。誰にも、君を渡すもんか!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ