第47章
良作は、すっかりクラスメートたちともなじみ・・・これまでの孤独な日々が、まるでウソのように、明るく元気な毎日を送っていた。
鈴木先生が亡くなった当初は、「もしかしたら、美絵子ちゃんもいっしょに亡くなってしまったのかもしれない。」という不安も頭をよぎったが、夢の中で握った、あたたかい美絵子の左手の「体温」を思い出し、いまだ会えない状態ではあるものの、彼女の存在を強く感じ取っていた。
(・・・きっと美絵子ちゃんは、元気でいるさ。そう感じるもんな。)
そして良作は、あの夢の中での美絵子が、自分に向かって何か告げようとして、かすかに唇を動かしたことを思い出した。
おそらく美絵子は、自分の担任であった、あの面倒見のいい、優しかった鈴木先生の「最期」を予感し・・・それを良作に伝えようとしたに違いない。
同時に良作は・・・鈴木先生からの「美絵子の回復を告げるメッセージ」を、もう受け取れなくなってしまったことにも気がついた。
だが良作には、そんな絶望的ともいえる状況になってしまった現在でも、いつかは必ず美絵子に会えるという強い確信があり・・・日々、その可能性にわずかな望みを託しつつ、前向きに毎日を送っていたのだった。




