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『たからもの』  作者: サファイアの涙
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第46章

 七夕祭りの翌日・・・8日の木曜は、「特別休校」と決まった。


 この日は、前日に亡くなった鈴木先生のため、K小学校全員がに服す大切な一日となった。


 そして、この日の翌日の9日の金曜日が「創立記念日」となっていたこともあり、12日の月曜までが連続して休みとなった。


 校長先生は、鈴木先生の告別式に参列するため、ずっと学校を留守にしていた。


 その間、教頭が学校の最高責任者代理として、K小学校を守っていたわけである。


 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆


 鈴木先生の葬儀はつつがなく執り行われ・・・荼毘だびに付されたのちに、先生の最後の勤務地であり、先生自身の故郷でもあったA市内の「D寺」の墓地に葬られた。


 参列した校長先生も、持病の糖尿病の悪化と、これまでの心労により・・・葬儀の数日後に、鈴木先生の後を追うように、心筋梗塞で急死した。


 立て続けに、児童たちになじみの深かった先生が亡くなった事に、K小学校全体が、言い知れぬ不安と、先が見えない恐怖感に包まれるようになっていた。


 新校長には、鈴木先生の新しい赴任先であった「A小学校」の校長が、特別赴任することになった。


 この校長は、実は鈴木先生の小学校時代の元担任で、鈴木先生ご自身が最も敬愛する恩師でもあった。


 児童・教職員全体が、まだ心の傷が癒えていないK小学校にとっては・・・この人物ほど、新しい校長にふさわしい人材はいなかったに違いない。


 鈴木先生をわが子のように愛し、かわいがってきた、中野校長先生は、朝礼のたびに、そのやわらかいまなざしと、鈴木先生をはぐくんできた大きく深い愛情と包容力でもって、疲れきった児童・教師たちに「励ましのエール」を送ってくれた。


 さすがは、人格者だったあの鈴木先生が最も信頼し、長年、安心してわが身を預けただけのことはあった。


 そんな新校長の力量と、人間としての「絶対値の大きさ」を感じた在校生、教職員たちも、しだいに心の傷が癒され・・・少しずつではあったが、元の日常を取り戻すことができたのだった。

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