第45章
あたたかく、そしてやわらかい雰囲気に包まれる、七夕の会場。
すると突然、血相を変えた校長と教頭がドヤドヤと乗り込んできて・・・体育館西側の壇上に上がった。
「みなさん・・・!」
校長が、マイクで呼びかける。
「たった今・・・私のところに連絡がありました。私も皆さんも敬愛する、鈴木先生・・・鈴木よし子先生が・・・今朝ほど、自宅で倒れられて・・・なく・・・亡くなり・・・ました・・・。」
「えーーーーーっ!!」
会場に、児童の悲鳴、叫び声が響く。
「皆さん、どうか静粛に!!」
怒鳴る教頭・・・うろたえる児童、教師。
校長が続ける。
「鈴木先生は・・・長きに渡り、このK小学校のために尽くされ・・・児童の皆さんひとりひとりの『お母さん』として、ずっとあたたかく、そして優しく見守り・・・みま・・・もり・・・ううっ・・・。」
そう言ってがっくりと膝をつき、その場に泣きくずれた校長は、・・・あわてて両脇を支える教師二人に連れられて、会場をあとにした。
教頭が続ける。
「そういう事情なので皆さん・・・七夕祭りはここで中止といたします。これより、全校児童の一斉下校となります。」
しかし・・・誰一人会場から去ろうとする者はいなかった。
良作たち六年生も、五年生以下在校生たちも、みんな肩を抱き合って泣いた。
あまりのショックのために、床に座り込んだまま立ち上がれずに泣き続ける児童も大勢いた。
「せんせえ・・・鈴木せんせえ・・・どうしてなの・・・? なぜ死んじゃったの・・・?」
「あたしたちを置いてかないで・・・せんせい・・・。」
「せんせい・・・会いたい。今すぐ会いたい・・・せんせ・・・い。」
鈴木先生についに会うことができなかった新一年生たちも、先輩たちの先生を想う心に打たれ、同様に泣いた。




