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『たからもの』  作者: サファイアの涙
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第44章

 良作は、あたたかい仲間に囲まれながら、彼らが書いた「短冊たんざく」のところへ案内された。


 ぶら下げてある短冊の数々・・・その、どれもこれもが、良作の回復を願うメッセージばかりだった。


 『早く高田君が良くなって、元気で戻ってきますように』


 『高田君が治ったら、今まで話せなかった分、いっぱい話がしたい!』


 『高田さん、好きです。私、ずっと高田さんのファンでした!』


 クラスメート全体が・・・ずっと良作を気にして、心から心配してくれていたのだ。


 良作は、今まで、どれほど自分が自らクラスメートを避け、みんなの真意を知ろうともせずに、ひたすら自分のカラに閉じこもってきたのかを思い知った。


 「・・・俺たち、すっごく書くのが恥ずかしかったんだけど・・・こうして願いがかなって、高田君が戻ってきてくれたんだもんな。うれしくて、しょうがないよ。」


 「そうよ。・・・この里香ちゃんだって、本当は良作君のこと、ずっと前から好きだったんだから・・・。あたし、ちゃーんと知ってたんだもんね!」


 「ちょっとぉ、やめてよ、麻美あさみ。なんで、本人の前でバラしちゃうのよぉ。・・・でも、良作君、転校してっちゃった『あの子』のことが好きだったんだよね。今でも、好きなんでしょ・・・?」


 「え・・・? あぁ・・・うん。」


 良作は、美絵子の話題が出ると、かすかに眉をひそめた。


 「・・・あ、ごめんね。つらいこと、思い出させちゃったよね。良作君、一年生が書いた短冊も、見てあげて。」


 良作は、まだ彼に抱きついて離れない一年生たちといっしょに、案内されるまま、かわいい彼らが書いた短冊の方へ向かった。


 「おにいちゃん、あたしの書いた『願い事』、読んでみて。」


 「なに言ってんだい! 僕が書いたのを先に読んでよぉ!」


 「ほらほら、ケンカしないの。おにいちゃん、じっくり読んでくれるからね。」


 クラスメートの遠山里香が、一年生にそう話しかけ・・・そして良作は、彼らが書いた『願い事』に目を通す。


 『きゅうしょくのおにいちゃん、はやくよくなってね。』


 『おにいちゃん、またあそぼ。』


 『おにいちゃん、しなないで!』


 (ばか・・・。死ぬもんか。でも・・・みんな、ありがとね。うれしい。うれしいよ・・・。)


 良作がその他の学年の短冊も見て回ると・・・みんな良作の回復と復帰を願う、それはあたたかく、優しいメッセージであふれていたのだった・・・。

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