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第123章
・・・午後9時。
生まれ故郷のY市に着いた良作は、迎えてくれた母に、滝田良子から頂いた、おみやげのケーキ類を預けると、功氏が自分のために遺してくれた「バースデイ・プレゼントたち」を、いとおしそうに胸に抱き、ゆっくりと二階の自室に戻った。
ここには、美絵子の祖母、故・山田セツさんが昔くれた、美絵子と理沙が仲良く写った、机上の写真・・・そして、なにより、最愛の恋人の、「最後のメッセージ」が、良作の帰りを、そっと待ってくれていた。
・・・静かな夜だった。
良作は、彼が初めて美絵子と会った、あの日からの記憶の数々・・・愛しい美絵子との想い出の数々を、そっとひもとき、なつかしい・・・そして、どこか切なく、甘酸っぱい、彼女との追憶の日々を・・・功氏のくれた「想い出のアルバム」の中に息づく、いつしか忘れかけていた、愛らしい美絵子の笑顔の数々とともに、心に、またよみがえらせ、美絵子からの「最後のメッセージ」・・・今宵、そこに・・・ようやくそこに、たどりついたのであった。




