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三話ログイン

 

 彼は、一度状況を整理する。

 これって新手の詐欺かもしれないし…。

 

 でも書いてあることがもしも、もしも本当ならば!

 彼は、パソコンの前で気持ちの悪い笑みを浮かべる。

 

 「マジかよ...。」


 彼は、全ゲームプレイヤーが一度は夢に見るであろう

 仮想現実世界が発明されたのに加え

 心の中ではもう折り合いをつけたSLOが進化してまた登場するのに

 彼の高鳴る高揚を止められるか?いや断じて止められぬ!


 またそれのβテストプレイヤーに選ばれる。 

 つまり世界で初めて仮想現実世界にいけるということ。


 それだけではない。


 なにやら称号というのがもらえるらしい。


 以前のSLOでは、称号はNPCであった王やボスモンスターのみが

 持っており、その性能にのどから俺が欲しがっていたものだ。


 勿論プレイヤーの中で称号を持っている人は誰一人いなかった。


 総合プレイヤーランキング一位の俺でさえだ。


 しかしそれは置いておいて呪いによる職業制限についてだ。


 以前にもプレイヤーキルなど悪質な行為をしているプレイヤー

 に制裁としてレベルダウンやスキル使用不能などの制裁型呪い。


 ボスモンスターにたおされたときにまれにかかるマーキング型の呪いと呼ばれる


 二種類の呪いシステムは知っていたが、職業制限の呪いなんか聞いたことがない。


 しかもレアリティに関しても俺が常識だと思っていたのは


 コモン級、アンコモン級、レア級、スーパーレア級、ユニーク級の5種類だ。


 これは右に行くにしたがってレアリティが上がる。


 しかしこの称号の呪いによる職業たち五種類は神話級と書かれている。


 神話級がどのレアリティに属すかわからないが職業がどれも


 彼の心を躍らす。


 そして最後に書かれた友達になりましたというやつに疑問を抱きながらも


 思いもよらなかったメールの内容に興奮しすぎてしまった。


 

 それからというものたまった脂肪を消費し痩せるべくダイエットを決心する。


 最初は三日続けばいいなと思っていたのが気づけば筋トレの魅力を知ってしまい


 毎日腹筋背筋腕立て百回を朝と夕方に一セットずつ、

 ランニングを二キロを二か月繰り返していた。


 初めは自分の走っている姿を近所のばあちゃんに不審者と勘違いされたり

 ぶたが走っているとクソガキどもに笑われたりして悔しかったが、

 絶対見返してやると思いながらブヒブヒと筋トレをした。


 時間がたつにつれ筋トレはやりすぎるとかえって体に悪いことや

 食事面で三食決まった時間に栄養バランスを考えて食べることが大切

 なのを学び、いつしかダイエットや筋トレがゲームのように感じるようになった。


 また、学校もゲームに費やしていた分がなくなり、そのスペースに

 勉強を自然にするようになった。


 もともと県の中で上位の新学校にいたので勉強環境はとてもよく

 すんなりと勉強が習慣となった。


 不登校に近かった落ちこぼれ生徒が人が変わったように

 毎日学校に来て勉強を売るようになったのだ。


 先生たちは、あまりにも驚いたらしくのちに知ったが、職員会議でも話題となったらしい。


 気づけば五か月後、

 かつての肥満体系や顔の吹き出物、長さがそろっていないいびつな髪形はなく、

 適度以上に鍛えられた肉体、さらっとした肌質、決まっているオールバックの髪型。


 なんてことだ。


 彼は思う。


 最近新調した鏡に向かって筋肉の調子を見るのが趣味となってしまっている。


 いや今日も決まっているなあ、ククク…!


 「ああ、美しいおっれ!」


 声が漏れたのか姉がなぜか俺を心配する。


 「たーくん最近変だよ?」


 「どこが?」


 「いや全てだよ。」


 「すべてとはひどいな姉よ」


 「ほら!前まで名前で呼んでくれていたのに!やっぱおかしいなんかキモイ」


 「キモイだと?俺はむしろかっこよすぎると思うが?」


 「ポテンシャル高かったのは十分わかるよ?さすがにこれはやりすぎじゃない?」


 「愚かな。今では、背丈も伸びたくましくなっているでないか!」


 「もういいよ!」


 姉がびんたをしてくる。


 だっが、おそい!遅すぎるぞ姉よ!


 「ビンタはやっちゃいけないぞ?」


 「もう嫌い!!」


 姉は去っていった。


 やれやれ、最近の姉はおかしいな。


 自分がおかしくなっていることに全く気付かない大志であった。


 学校でも最近は友達と呼べる人ができた。


 二年の期間はできなかったが新学年になり縁ができたのだ。


 「それにしても信じられないよ。大志の変わりっぷりには」


 「俺が変わったんじゃない。周りの俺を見る目が変わっただけだ。本質を見るんだ(けい)


 「お前、いちいちかっこつけるなよ」


 彼は滝川慶(たきがわけい)。かなりいいステータスをしている。あといいやつだ。


 「いや慶。これは深いぞ!」


 「何言ってんだ雄介(ゆうすけ)。お前は、大志マジックに騙されるな。

  周りを見ろ。あいつらみたいに、目をハートにさせて奴の眷属にされるぞ。」


 「なっ!」


 この馬鹿は、大西雄介(おおにしゆうすけ)。天然キャラというやつだ。

 いや、ただの馬鹿だ。俺が言うのもなんだがな。ククク…。


 まあ奴らのおかげで学園生活を楽しくおくれている。


 この学校の生徒は、ほぼ大学進学を踏まえて、勉強に熱を入れている。


 だが、俺は大学に行かずやりたいことがありそれに人生を費やすつもりだ。


 なんてな。俺も将来食うためには仕事をしないといけないしリアルの厳しさは

 高校生ごと気がわかるはずがない。だから迫りくる未来のためにある程度

 勉強して大学に行く。そして学歴という武器を振りかざし入りたい企業

 の入社面接という名の強敵と対峙する。


 だが、なぜか納得しきれていない。


 自分の興味のある会社に入ってもそれが最善の答えとは思わない。


 でもそれは最高の道の一つでもあるだろう。


 だけれども。


 結局彼は答えを見つけられず、半年くらいがたつ。


 そしてメールが来る。


 一一月一三日、俺は指定された場所に向かう。


 場所は東京元国立競技場。


 二〇二〇年のオリンピックのため作られたこの競技場は、オリンピック以降

 競技の会場としては全く使われなくなり、それを国が売却し、民間企業が買い取ったのは

 知っていたがその後のことはわからなかった。


 なんじゃこりゃ。


 外観にはまだ競技場としてのおも影はあったが、国立競技場だったところに

 近づいていくと190センチはあるであろう屈強な警備員らしき人たちが入り口らしきところ    に立っていたのでそこへ向かう。


 なんだお前は!

 みたいに警戒されると思いきや、ただ一言、


 「暗証番号を」


 とだけ言われた。


 無事メールで送られてきた暗証番号を打ち終わると、何重にもなる扉が一気にシュイーンとしなやかにあく。


 俺は奥に足を運んでいく。


 すると一番奥のしまった扉の横に女性がたっていた。


 ていうかなんかやばそうなところだなとひよりながらも女性がいるところまで

 進んだ。


 じょせいとめがあうとにっこり笑ってくれた。


 「ようこそ、徳川大志様。お待ちしておりました。


 ぜひこちらへ。」


 女性が扉を開け、何やらエレベーターのようなものに乗る。


 というか何なんだこの美しい女性は!名前だけでも聞きたーい!


 「あっあの、貴方のお…」「はい。到着です。」


 …。


 無視された。


 俺は沈みながらも開いた扉を見る。


 なんじゃこりゃ


 めっちゃ広い空間にベッドにヘルメットみたいなものが置かれているのが

 いっぱいあり、その周りにはたくさんのロボットに白服の研究者たちがいる。


 そして、俺たちに目もくれず、淡々と研究をしているようだった。


 女性が、すたすたと歩きだす。

 おれは、それに従いついてゆく。


 数分歩き、徐々に寒くなっていくのを感じる。


 「あの…、なんか寒いんですけど?

  まだつかないんですか。」


 「サーバールームと呼ばれる部屋には、日々の研究データを蓄積しストレージに収納します。

  毎日新しいデータを蓄積するために稼働し続けているので

  わが社発明の自動冷却システムが稼働しているのでしょう。

  あと少しでつきますので我慢していただけると幸いです。」


 「あ、はい。」


 なんてハイテクなんだと思いながらも今頭はSLOのことですでに彼はいっぱいだった。

 

 「到着です、徳川大志様。」


 彼女が扉を開けると目の前には、先ほど見たヘルメットがベットの上に置かれていた。


 「やあ、君を心待ちにしていたよ大志君。」


 「あなたは、?」


 「ああ、僕は太宰津雲(だざいつくも)。このプロジェクトの総括みたいな人間だよ。」


 「えええええええええええ!!!!!!」


 太宰津雲って仮想現実世界を発明した天才集団のリーダーやんか!


 「尊敬してます太宰先生!会えてうれしいです!」


 「おお、君僕を知ってくれていたなんて嬉しいよ。」


 俺は、顔をぶんぶん上下に礼をする。


 「はは、そんなに緊張しないでいいよ。今から仮想現実世界に入ってもらうために

  この装置をつけてもらうよ。」


 俺は、先生に言われる通りに動く。


 ヘルメットみたいなやつをかぶり、それにコンセントのようなものを接続させる。


 「うん。準備はできたみたいだね。じゃあ早速。」


 先生がカチッとスイッチを入れた音がした。


 「大志君。目の前におうちのようなマークがあるだろ?そこをおすって

  意識してみて。そのあとのことは、あっちで説明するよ。」


 俺は目の前に表示されたマークを押そうと意識する。

 するとおうちの入り口が開き、体の感覚の意識が遠のいていく。

 すると光の塊のような姿をした自分がおうちの中に引き込まれていった。


 眩しさが消えたので、目を開ける。


 すると、目の前に見覚えのある村が見える。


 村の中心にあるでっかい木。


 あたり一面に広がる様々な畑。


 にぎわう人々。


 帰ってきた…。


 遂に…、!帰ってきたぞ!


 ただいま。セカンド・ライフ・オンライン!



 



 

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