序幕
他人の好きなこと、他人が興味のあることが苦手。そもそも、他人と何かをするのが苦手。――ううん、そうじゃない。可能な限り、他人と関わりたくない。だって、他人はいつも私を傷つけるから。他人だけじゃない、家族にだって私の味方はいないから。
でも、何故だろう? ときどき、他人がとてもまぶしく見えるの。そのまぶしさに触れたいと思うけれど、そうすればたちまち、私はその光に焼き尽くされて消えてしまうような気がして。だから、光に手を伸ばすことなんかできなくて。
――――そう思っていたのに。
気がつけば、私は光の中心にいた。スポットライトを一身に浴びて、周りにはたくさんの仲間がいて。だから本当は、ずっと待っていたのかもしれない。その光を。その青春を。
これから、私の最後の舞台が幕を開く。――ううん、正確には最後じゃない。新しい舞台へと続く幕。あの人とともに創る新たな舞台へと繋がる幕と言ったほうが正しいのかな。
私が、今、こうやってプロとして舞台に立っていられるのは、あの人との出会いがあったから。あの人が、〈私〉という役者の幕を開けてくれたからだ。
私があの人と出会ったのは、たしか……、そう、高校の入学式の日の――