【かつてない】カップラーメンという魔力【光景】
5月末ごろに別サイトで行われた、カップラーメンを題材にしたユーザー企画の参加作品の転載になります。
この企画を見つけて、「面白そうやん!」となったその日に、勢いだけで書いてみました。
カップラーメンというのは実に魅力的な食べ物だ。
3分で作り、3分で食べられる。
お湯と箸さえあればいい。なんと手軽なことか。
忙しい現代において、諸君もこの魔性の食い物に助けられた者は多かろう。
味のバリエーションも魅力的だ。
醤油、味噌、塩、シーフード、カレー、トムヤムクン、etc…
定番の味から期間限定の味、不評につき市場から消えゆく味…
市場原理に基づき、目まぐるしく変わるカップ麺コーナーの商品棚。
我々は日々カップラーメンを求め、コンビニなり、スーパーマーケットなり、商品棚に足を向けるのだ。
…そう、商品棚だ。
先日私は、とあるスーパーマーケットで衝撃的な光景を目にした。
折しも世間は、かのウィルス騒動による外出自粛が叫ばれていた時。
皆が当たり前のようにマスクをし、テレワークによる生活に皆がシフトし始めていた頃だ。
外出自粛を要請されていようとも、人間である以上腹は減る。
腹が減れば買い物に出る。食料を買いに行く。
私はあいにくと料理は苦手なのでね。
インスタント食品のコーナーへと足を向けるのは実に自然なことと言えよう。
そこで私が見たものは……
空っぽの棚。
無いのだ。
カップラーメンが。
1つたりとも。
……恐ろしい光景だとは思わんかね?
カップラーメンの棚と言えば、普段は常に商品がドッサリと置かれているというイメージはないか?
あまりにもありすぎて、これどのくらい廃棄されちゃうんだろうとか思ったことは無いかね?
スーパーによっては、綺麗に並べる時間の節約のために、カゴに煩雑に放り込まれているところもあるだろう。
お店からそんな扱いであっても、我々は当たり前のようにカップラーメンを手にしてしまう。
それが日常だったのだ。
誰でもすぐに食べられるカップラーメンは、誰もがすぐに買えるものでもある。
それが常識だったのだ。
それが、存在していなかったのだ。
足元が崩れていくかのような感覚に陥ったよ。
分かるだろうか?
常識が常識でなくなるという衝撃が。
賢明な諸君の中には、SNS等を通じてその光景を映した写真を見た者もいるかもしれない。
だが、写真で見るのと目の前で見るのでは衝撃が段違いだ。
それだけは声を大にして主張させていただこう。
人間の想像力というのは実に面白い。
平時であれば考えたこともないようなことも、衝撃的な体験をすれば急激に頭に浮かぶものだ。
私は空っぽの棚を前にして、今までしたことも無かった想像をしてしまったのだ。
カップラーメンがこの世界から消滅してしまったら。
…………実に恐ろしい想像だとは思わないかね?
当たり前のように食している、プラスチック容器に入ったこの麺が!
スープが! 具材が!!
二 度 と 食 べ ら れ な い !
我 々 の 口 に 入 る こ と は 無 い ! !
…そんな想像、諸君はしたことがあるかね?
無いならぜひ、この機会に頭の中で想像してみたまえ。
ここで恐るべき喪失感を感じないようであればおめでとう。
君はカップラーメンに頼ることなく生きていける世界へ成り上がった、世界で一握りの人間になれたということだ。
その日は結局、切り餅と海苔を買ってとぼとぼと帰宅したのだが…
しかしよく考えてみよう。
あれだけのカップラーメンは、どこへ行ったのだ?
答えは単純だ。
みんなが買ったのだ。
そうだ。
緊急事態宣言と相成った時、皆が真っ先に買うべきと考えたもの。
場所を選ばず、保存が効き、何より手軽に食べられる美食であると皆が考えたもの。
それがカップラーメンだったのだ。
……別の恐ろしさがあると思わないかね?
地震、雷、火事、親父。
台風、病魔、妻、津波。
常に危険と隣り合わせのこの国において。
危機を感じた我々が真っ先に買ってしまうものが。
水と、カップラーメンであるという事実に!!
もっとあるだろう!
買うべきものが!用意するべきものが!
だがしかし!手にしてしまうのだ!
カ ッ プ ラ ー メ ン を ! !
もはや無意識のうちに欲してしまうのだ!
人工的に作りだされたあの香りを!
ジャンクフード特有の濃厚なあの味を!
もうこの魅力から逃れることは出来ない!
我々はすでに!
カップラーメンという魔力に取り憑かれている!!!
……そう思うほどに、我々の生活には欠かせないものとなっていた。
それを改めて実感した。
このことをぜひ諸君に伝えたくて、筆を取った次第だ。
カップ麺業界では今もなお、各社が日々しのぎを削っている。
美味いカップラーメンとは何か、その真理を追究し。
我々の舌を楽しませようと、日々働く業界の皆様には改めて敬意を表したい。
そして諸君。
改めて感謝しようではないか。
この魔性の食べ物を作り、売りに出しているすべての人々に!
カップラーメンが存在しているという、この世界に!!
……おっといかん!
3分過ぎているではないか!
さぁ割り箸を持ちたまえ、蓋をめくりたまえ。
この時間に食べるという背徳感がたまらんのだ。
食べたい時に食べたいものを食べる、その幸せを存分に味わおうではないか。
諸君がお湯を入れたのは何味かね?
私は最も定番のものをいただくとしよう。
どれだけカップ麺巡りをしても、やはり最後はこれに戻ってきてしまうのだ。
では……いただきます!!




