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神様の恋バナ!  作者: 原初
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第2話「真理の勉強法」

めっちゃ頑張って書きました。高評価やとりあえず指摘でもいいのでコメントお願いします。

 真理とは、それが真に真実であり、曇りなく絶対的に正しく、それら全てに当てはめられることを言う。歴史に名を遺す哲学者はみんな真理を追究してきた。だが、誰一人として真理をつかむことなくこの世を去った。しかし、そもそも真理はあるのだろうか?数学的に『真理』と言えば、命題や論証を言うのだろうがその数学は真理なのだろうか。


 第2話「真理の勉強法」

 

 星章学園は入学式の3日後に新入生テストがある。特に難しい訳ではなく問題数が多いのである。

 神様である恋華にとってテストの回答は予言の通り、満点であった。

 テスト返却日の放課後のこと。

 恋華は同じクラスの月之宮リアに話しかけていた。そういえばだが、リアは全世界で50万近くの大企業を支配下に置く月之宮財閥の御曹司らしい。彼女の母親は法務大臣を務めていて、父親はその財閥の現在社長だが、最近医療関係の趣味を持ち、12年近く勉強をし外国で医者をしているようだ。彼女もまた全教科満点の成績優秀者であり、身体能力が常軌を逸している。さらにはIQが160近くあるといわれる完全にして完璧の美少女である。ふんわりロングの金髪であり、黄土色の瞳を携えておりハーフでもあることから、恋華と同じくらい男子からの視線が熱いのである。

 「それでね、私のおじいちゃんが殴り掛かった不良をあっという間にねじ伏せてね。」

 リアは嬉しそうに言葉を繋いでいく。声帯が良く、これなら男子でもイチコロだなあと思いながら恋華は耳を傾ける。

 「私にジュース買ってくれた後『ちょっとコイツシバイてくるわ』って怖いこと言って15分くらい戻ってこなかったの~。でね。戻ってきた時なにしてたのって聞いたの。そしたら、」

 一拍置いて言った。

 「『説教して、ジュースと激辛グミおごってメアド交換して住所教えてもらった』だってさ♪」

 「・・・・・。・・・・・・・・・。」

 (こういう他愛のない話をするのは分かってたけど、え?は?)

 恋華は神様である。だが神でも予想だにしないことはあるものである。それも唐突におこるものである。恋華はやはり女子高生という立場だ。だからこそできるだけ話を繋げようとする。

 「えぇ・・・・、どうやったら説教とジュースとグミでメアドと住所教えてくれるの?リアのおじいさん何者?」

 (いまいちこの子の考えてることが理解できない・・・・・。特におじいさんに至っては人間なのか怪しい。)

 当のご本人はこれが日常ですと言わんばかりの笑顔で話している。恋華は余りにも現実を逸した話についていけなくなっている。最後に発した言葉が「おじいさん何者?」で区切ったせいでそのあとの言葉が思いつかない。神の知識の応用と全人類の文学知識を総結集しても絶対悪い未来に繋がる予感しかしない。なので、残る手は一つ。それは、

 誤魔化す。

 「う、・・・・あ・・・・いや、あぁそういえばこの前ね。変な少年見つけたの。電車の中でね。」

 「それって前の入学式で生徒会の無のぅ、いや、会長を正論でねじ伏せた人っ!?」

 一瞬「無能」と言いかけたが予想以上に話に食いついてきた。しかも「誰?」とは聞かず、限定で。瞳の奥から底なしの光があふれ出ている。しかし「無能」と言い「ねじ伏せた」と言い、本当にこの人は優秀な女子なのだろうかと疑念がよぎる。とりあえず返答はしておくべきだと、頷く。

 すると、リアはなぜか頬を染めている。

 「ん?・・・・・どうしたの?」

 恋華が聞くと、リアは、ビクッと一瞬動きを止めてわたわた腕を動かす。

 「うぇっえ!いやこりゅあしょのにゃにゃにゃんででもにゅにゃぁぁぁぁぁぁにぃっっ!!!」

 慌てすぎて、呂律が回りにくくなったようだ。なんかこっそり漫画を見てたらお母さんに見つかったときの表情によく似ている。そのままリアが目を回しながらにゃんにゃんと鳴いていると、バッグに入っているリアのスマホが鳴った。さらにリアがびくびくびくぅー!と姿勢を強張らせる。

 (さっきの赤面といい呂律といい忙しいやっちゃなー。どれか一つに絞ってくれないかなー。)

 そう思っていたら、リアは「ちょっと席を外しますね。」と言い、スマホ片手にクラスを出ていった。肩にかかるくらいの金髪が風になびき、クラスの入り口付近にいた男子達の目をくぎ付けにした。「やべー。あの子超可愛くね?」「金髪て、2次元みたいやん。」「え、あの黒髪ロングも可愛い。」と、恋華とリアに羨望の眼差しを向ける。恋華がクラスに目を傾けると、放課後なのかあまり人がいない。というか、恋華とリアを見る為に来た人ぐらいしかいない。

 (・・・リアが電話の着信を見た瞬間に興奮状態になるとは・・・・相手は彼氏なのだろうか・・・

・・・あのリアを夢中にさせるような男性がこの世にいるとは・・・恐ろしい。)

 リアや恋華に声をかけた男子は多数いたが、全員あまり興味ないと言える態度をとっていた|(平均的な女子の視点でイケメンの部類に入るんじゃないか?、という感じの男子含める)。そんな彼女をべたぼれさせるような男子とはいったい何者なのだろうか。世界をも跪かせるほどの美貌なのだろうか。それともIQ180を超える頭脳を持った人間なのだろうか。

 しかし、だ。

 「遅くないか?10分29.34秒は経ったが、リアの足音や心拍数、呼吸音がまるで聞こえてこない。場所は、近いな。自習室の入り口かな。・・・・よし。行くか。」

 決まったら話は早い。恋華は入口付近の男子共を操作し、帰宅するように命令する。2階下の自習室付近に座標移動する。座標移動と言っても恋華が移動するのではなく、地球を含めたすべてが恋華を移動させるのだ。正直チートじみた能力だが、神なので仕方がない。一瞬で移動した恋華は、自習室の入り口付近にいるリアを発見する。目をつむっているので2m横にいる恋華に気づかない様子だ。

 「・・・・うん。・・・・・・・いえいえ。」

 先ほどとは全く興奮しておらず、声だけ上ずっていて、顔面は完全に真顔だ。

 恋華はこっそり、リアのスマホから発せられる電波を読み取って、頭の中で演算して翻訳する。

 (「分かりました。今週のお見合いは私の家で、日曜日の18時からですね。基山きやま君。これ以外の連絡はありますか?・・・・はい。お母様曰く『その件は引き受けました』とのことです。では、また明日学校で。」)

 リアはそう言い、スマホの電源を切る。そのあと教室に戻ろうと、足を運ぼうとした時だ。

 「わひゃっ!にゃにゃにゃにゃにゃにゃっっっ!!!にゃんでここに恋ちゃんがいるのにゃあっ!」

 完全に猫語になった。なぜか凄くわたわたしている。ちなみにリアは恋華のことを『恋ちゃん』という。なんかこっそり餌を食べているの飼い主に見られた時の猫のような顔をしている。証拠のスマホをポケットに隠すと恋華に恥じらいながらも聞いた。

 「れれれれれ恋ちゃんっ!!さっきの話聞いてたの!?」

 (はい。完璧に完全に。スマホ隠してるのもバレバレでした。ホントすいません。)

 というのも気が引けるものだが、『聞いてない』と言うと嘘になるので、ここは正直に言うことにした。

 「はい。日曜日の18時に基山さんとリアがお見合いをするという話ですか。しっかり聞きました。すいません。10分も待ったので、こちらからあなたを探すことにしたのです。あぁ、大丈夫ですよ。お見合いの件は無償で聞かなかったことにします。」

 しっかりと謝ると、なぜかリアは『はてな?』みたいな顔をしていた。そのあと、はっと我に返り、言った。

 「ああ、いえいえ、それだけですか?話の内容は・・・・。」

 「はい。それだけです。」

 リアは安堵し胸をなでおろす。

 「はあ~~~~。良かった~~~~~~~~。」

 (?・・・つまりは私にバレちゃいけないのはあの10分の間だけだったのか。まぁ、そこは深堀しない方がよさそうだ。どんな地雷が埋まってるか分からないしな。前みたいに記憶をさかのぼればいいけど、そこまで関わることもないだろう。)

 とりあえずだ。恋華は最近の女子高生らしく、聞くことにした。

 「なんで基山さんとお見合いするんですか?」

 「・・・・話してもいいですけど、ここで話すのは少し・・・・、近くのハンバーガショップでどうですか?」

 「はい。いいですけど。」

 リアと恋華は教室に戻り、バッグを片手に店に行くことにした。

 (うーん。友達とハンバーガショップに行くのは嬉しいけどなぁ。はぁ、行く理由がリアのお見合いの話でなんて。なんか難しい心境だなぁ。)

 

 =====================================


 ハンバーガショップにて。

 

 リアの説明が始まった。

 「私の家は代々受け継がれている由緒正しい財閥なの。だから、婿もまた何かしらの社会的に位の高い家の出が良いっていう決まり事でね。許嫁がいるの。」

 「へえ~。凄いね。昔からの決まり事を守っているなんて。」

 私がだれが見ても純真無垢な笑顔をリアに見せると、リアは難しい顔をした。

 「いや、・・・・あ、その・・・・。」

 何か言いたそうな顔だった。恋華は、リアに『どうしたの?』と言う。これは予想外だった。恋華は未来がまた歪むのを感じた。恋華は神だからこそ未来を決定する絶対的な力を行使したにも関わらずだ。決定した未来では、『ええ~そうかな?ふふッありがとう。』と、反応を見せるはずだったのに。

なにかイレギュラーな事態があったようだ。恋華は頭の中でたどってきた歴史を見ようとする。そこへだ。

 「上野ぉ、君は話の本質を理解していない。」

 さっと覚めるような声を発した人物が恋華とリアのまえに立っていた。

 恋華とリアが声の主を見る。そこには生徒会委員長を論破した少年が立っていた。改めて見ると、少年の目は非常に腐っており、不健康とかいうレベルを超えたどす黒いクマがある。瞳が映すのは地獄。光も宿っておらず、ただひたすらに虚ろで、死神や悪魔でも塵すら残さず消え去りそうな殺気を放っていた。神である恋華もたじろぐほどだ。正直恋華はこの男子が嫌いだった。

 恋華は予期されていない未来に驚きだが、現れた人物に聞く。

 「・・・何ですか。影内かげうち来屠らいと君。私の言い方が悪いように言いますが一体何のことですか。」

 来屠は自分の名前を言われたことに、刹那虚ろな目を細めた。だがすぐに口を開いた。

 「先に、ごめんなさい月之宮さん。途中からでしたが、許嫁の話を聴いてしまいました。聞かなかったことにします。」

 と謝罪した。

 リアは、まさか男子にまで聞かれると思っていなかったろう、わたわた慌てて来屠に「は、はい。まあいいです。あ、その、すいません。」と、なんか謝ってしまう始末。来屠は恋華の方に向かうようにリアの席の隣に座った。リアは「にゃにゃぁっ!!」と驚いているが、来屠はそれを無視し、恋華にたしなめるように言った。

 「君さぁ、話聞いてなかったの?許嫁がいるところは本当に残酷なんだよね。」

 リアが少し俯いた。

 「自分が結婚したい人とではなく、家庭が勝手に決めた、それも人の人権を無視して決めた男性と結婚するんだ。その家庭に生まれただけでそんな未来が決定する。勿論、親同士が勝手に決めたことだから他の男子と恋愛をすると問答無用で引き離される。正直、独身で結婚できない人の方が自由さがある。だから、上野が言った事は少し違う。好きで決まり事を守っているんじゃない。他者によって強制されているんだ。」

 一息つき、コーヒーにシロップとミルクをどぼどぼ入れ始める。そのあと、スプーンでかき混ぜながら捕捉した。

 「・・・・まぁ、上野が悪意を持って言っている訳ではないようだしさ。僕という部外者が言うことではないけど、月之宮さんも、そこは感謝を述べるべきだと思う。友達でいたいのならそこらへんは分からないといけない。そうじゃないと、知らず知らずにお互いの権利を侵害してしまうからね。」

 「「!」」

 二人して驚いた。いつも自分の権利しか主張しない彼が、急に他人の人間関係を心配したからだ。恋華は来屠に少し感心した。

 「驚いた。来屠君が他人の人間関係に忠告するなんて。」

 来屠はそれを鼻で笑い飛ばし、キッと恋華を睨む。そのあと、溜息を洩らした。

 「僕は君と今日で2回しか会っていない。なのにさぁ、君は僕の何が分かるって言うのかなぁ。見ただけ、聞いただけ、話しただけで僕を判断しないでほしいんだよね。君が見ている僕ってそれが全てな訳?違うんだよ。目の前の全てが真理じゃないんだ。表面だけで僕を判断するのはやめてもらえないかなぁ。・・・・・端的に言えば、君の『世界』の影内来屠と、僕の『世界』の僕を同一視しないでほしいんだ。それくらいわかるよねぇ。無自覚的だろうと自覚的だろうと、僕を勝手に語るのは、つまり、僕の権利の侵害だよねぇ。」

 面と向かって、恋華に言う。恋華にはただただ重苦しい雰囲気だけが伝わり、言葉の意味を理解できなかった。だが、自分が失言したことが分かった。

 「・・・ごめん。」

 それから静寂が漂った。店内は部活帰りの生徒であふれており、部活の反省やらで騒々しかった。まるでそこだけお通夜でもあったかのような静かさだけが、3人に纏わりついていた。そこでリアがおずおずと話の続きを切り出した。

 「それでね、・・・・その決まり事、お母さんの代から始まって、・・・・この家族の子が若くして・・・・・・だから、・・・・養子に私を迎えて、私への許嫁を用意したの。」

 だんだんと、リアの声は悲しみを帯びていった。恋華はなぜかその声に怒気も含まれているように思えた。

 「その許嫁が、私と恋ちゃんと同じクラスの基山きやま神俱斗かぐと君なの。彼と私は4週間に一度、連休には1週間に一度の割合でお見合いをしていて、今回のクラス分けも、お母さんが手を回したって。」

 基山神俱斗とは宮大工や老舗の歌舞伎、能、着物などの古典的な日本の文化遺産を作る基山グループの社長の後継ぎであり、成績は学年第2位。背丈は180㎝あり、運動神経抜群の天才だ。プライドが高く、人望がこれでもかという程厚い。さらには勧善懲悪、優しい、責任感がある、イケメンというのもあって、女子ウケが大きい。

 恋華は、なぜかリアがあまり喜んでいないことに気づき、尋ねた。

 「リア、基山君はかなりハイスペックなのに、なんで嬉しくないの?」

 リアがまた俯いてしまい、小声で言った。

 「私は、・・・・基山君のこと好きじゃない。でも、・・・・・彼は私のこと物凄く好き。・・・・

・・・それが、私は嫌い。・・・・・大嫌い。でもって、私、・・・・・私が彼に告白したってことになっているのが、憎い。・・・・・・私が勝手に浮気してるみたいで・・・・・だから、嫌い。」

 一瞬、記憶を見てみるべきか悩んだ恋華だったが、どこまで踏み入れていいのか悩み、結局やめた。

 (むやみに他人の記憶の脳を覗くのも人道的に許されるべきなのか悩ましいところだ。女心とはよくわからない。私女なのに。)

 それどころか男心も分からないまである。恋華は、リアの隣にいる来屠を見る。彼はコーヒーを飲んでいた。辺りには30個近くのシロップの山が積み上げられていた。よく見れば、砂糖入れの中には砂糖が一個も入っておらず、彼のグラスの水面にプカプカ浮かんでいた。甘すぎるのでは?と思ったが、来屠は何気ない顔で飲んでいる。リアも冷たくなったハンバーガを食べ始めた。

 「そういえば来屠君は、何でここに来たの?」

 何気なく聞いてみると何事もなく無視した。そのことが気に食わなかった恋華はまた聞く。

 「なんでここに来たの?」

 来屠は虚ろな瞳を恋華に向け、口を開く。

 「僕にわざわざ言わせるの?愚問じゃない?まぁ、いいや。・・・・・・・・・暇だから。家帰っても誰もいないし。」

 「本当?」

 恋華の再度の問いに来屠は頷く。恋華にとって影内来屠はイレギュラーな存在だ。神の未来決定権をいとも簡単に無視し、記憶を見ようとも見れない。さらには、神をも恐れさせ、嫌悪させるような覇気を発している。彼を知るには彼の話を聴くしかできないのだ。

 「・・・・なんか、上野って・・・・・・女子高生って感じしないな。」

 ふと来屠がそんなことを言う。リアがその言葉に反応した。

 「来屠ッ!恋ちゃんはちゃんとした女子高生だよ。逆にこんな可愛い子が男子だったらこんな世界滅んだ方がマシだよ。」

 「いや、・・・・・・そうじゃなくて、・・・・・上野って人間というより、人間に似せた何か・・・・って感じがする。」

 虚ろすぎる腐った目が、恋華を見る。恋華はたじろぎ、少し驚いた。

 (感じって、・・・直感でそう思うなんて。この人はいったい何者なのだろうか。)

 見た感じで、恋華が人間ではないと気づきかける来屠だが、右ストレート(リアの)が来屠の左腕に必中しうめき声をあげる。見ればリアがニコニコと笑っている。怖い怖い。ふとニコニコを止めたリアが来屠に尋ねた。

 「そういえば、来屠君は入学式の時に生徒会の頭論破したときに言った、『協力』って言葉。なんで嫌いなの?」

 来屠は入学式に生徒会会長を泣かせるまで論破した。それもリアのおばあちゃんも混ざってだ。その時、来屠は『協力』を「綺麗ごと」や、「幻想」だと罵っていた。それほどまでに「協力」という言葉が嫌いなのだ。恋華にとってもこれは非常に良く分からなかった。

 「前にも言ったことあるんだけどさ、『協力』の逆説は『孤高の否定』になる。協力っていうのは、少なくとも2人以上で物事に取り組むということ。でも実際はそうそう仲良く『協力』はできない。例を挙げるなら、そう。AさんはBさんのことが好きだ。でも、CさんもBさんのことが好きだ。じゃあAさんがCさんに告白の協力を頼むとどうなる?正解は「自分も好きだからAさんを手伝わない」になる。このように、自分にとって不利益を被るときや、自分に何の得もないことをするのはお互い嫌なわけだ。それを簡単に人に強制させるのは『協力』とは言わない。小学校の先生は「みんなで協力しましょうね~。」ってよく言うけどさ。あれも一つの強制なんだよね。」

 くいっとコーヒーを飲む。恋華は、生徒会長を思い出す。とてもじゃないが人に強制しているようには見えなかった。なので。

 「でも、あの生徒会長ってそんなこと企んでいるようには見えなかったけどな。」

 「それは『カエルの子はカエル』と同じようなものさ。」

 「カエル?」

 「そう。大体の人は子供のころに親や先生から『みんなでやった方が良い』とか『協力すると達成感が共有できる』、『物事が早く終わるよ~』、『みんなでやった方が楽しい』とずっと言われて育ったんだ。だから、『協力』=『素晴らしい。プラスの概念』と勘違いをしたままになる。」

 リアが口を開いた。

 「だったら、来屠君が思う本当の『協力』って何?」

 「本来の協力はつまり、『お互いを自身の利益のために利用し合う(なお、相手への配慮はしなくていい)』ことなんだ。簡単に言えば、ゲームのインターネットプレイとか。例えば、魔法攻撃が得意な勇者アバターと物理攻撃の得意な勇者アバターがレアアイテムの貰えるビッグボスに出会ったら、その2人は『コイツの力を使ってボスを倒してレアアイテムを手に入れよう』という状態になる。そうなれば、下心満載でピンチの味方に回復魔法使ったりする。協力っていうのは身分とか全然考えない。『協力』は自身の手駒を増やすことを言う(裏切りも込みで)。」

 言い終わればリアがほあ~~と感動したような目線を来屠に送っている。恋華は過去にあったインターネットプレイをすべて見直し、その中の98%が最後の最後に強いアイテムを取っていることを確認し、納得した。

 (しかし、・・・なんで来屠君理解できにくいことをたくさん知っているのかな~?)

 イレギュラーな存在は何を知っているのか謎である。それと同じように来屠は存在どころか持っている世界観すらもお蔵入りのようなものなので人間として見ていいのか不安になってくる。そんな人間なのか分からない来屠は最後に一言。

 「だから、そこらへんで『協力』を前提とした『勧誘』には気を付けた方が良い。上野もリアも。基山とかあのイキリマウンティング(笑)・・・・・・まぁ、気を付けた方が良い。ろくなことにならないから。」

 言った本人の目はもう骨董品にして出してもいいくらい腐っていた。年代物と言った方が正しいかもしれないが。

 (『気を付けて』を2回言うあたり、何か黒いモノがあるんだろうな。)

 そう思った恋華だったが、そのことを問い詰めるのはやめた。絶対面倒ごとになると悟ったからだ。神の直感は絶対に外れないのだ。

 「そろそろ暗くなるし、帰ろうか。」

 とリアが切り出した。

 確かにガラス窓の外を見ればうっすらと暗くなっている。

 「じゃぁ、僕は失礼するよ。リアも上野も早く帰った方が良いよ。最近の世の中物騒だし。」

 来屠はそう言って支払いをすまし外に出て行った。よく見れば友達と思われる男女が来屠に手を振っていた。正直、恋華が思う苦手なオーラを放つ人たちだった。簡単に言えば『神』を嫌うような人々だ。

 「じゃぁ、私も。恋ちゃんもまた明日ね。」

 とリアも出て行った。そして恋華も自分の支払いを済ませようとしたら店員に注意された。

 「代金はあの目の・・・・あ、いや男性の方が全部払って行きましたよ。」

 絶句した。ほんの5~6秒しか驚いていただけなのにやけに長く感じた。

 

==================================


 外へ出たら辺りはもうすっかり暗くなっていた。

 私の家はすぐそばなので別に問題はなかった。

 しかし、度重なるイレギュラーが連続で人間の体はストレスで疲労しきっているなあ。

 瞬間移動で家に帰り、ベッドに飛び込む。

 意識が遠くなるのを感じる。

 

 一瞬だが、


 明日やばいことが起きる気がした。

 

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