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乙女ゲームの世界で起きた「婚約破棄」の間接的被害者~メイド編~

作者: 白卯兎

閲覧ありがとう御座います。

拙い文章かと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです!



誤字報告ありがとう御座います!

4/20 21:30頃に修正させて頂きました!


「ミリア!お前との婚約を破棄する!」


ご自身の生誕祝賀会にて、そう仰られたのは第一王子殿下であるクロフォード様に御座います。

殿下はまだ幼く、舌ったらずの為に「する」が「しゅる」になってしまっているのが大変可愛らしゅう御座いますね。


そして、只今婚約破棄を突き付けられたのは侯爵家のご令嬢のルナミリア様で御座います。

殿下とは婚約関係の所謂「未来のお妃様」。

殿下とは一回り離れておりますが、大変にお優しく、お綺麗な方で社交界でも「彼女なら安心して殿下を任せられる!」とご評判。


因みに高嶺の花過ぎて婚約者が決まらずにいらっしゃった処を国王陛下が「うちに来ちゃいなよyou!」等と拉致・・・もとい誘拐・・・ではなく・・・まぁ、強権の餌食となってしまわれた被害者(レディ)で御座います。



「あの・・・殿下?それは、お父様・・・陛下にはお許し頂いているのですか?」


「ううん!内緒にしてた!」



そうでございましょうね。

陛下にお話していれば私も存じていた筈ですし、止めておりましたとも。

フンス!と可愛らしくドヤッていらっしゃる殿下ですが、それは内緒になさってはいけないことで御座います。

あまりの出来事に私だけでなく来賓の方々の口があんぐりと開いておりますよ?



「理由を教えて頂けますか?」


「だってミリアはボクよりすごく年上でしょ?ボクが大人になったらミリアはおばさんだもん!お姉さんのうちにボクじゃない人と結婚した方が良いよ!」



殿下の「おばさん」発言でミリア様の背後に魔王が見えましたが、仰られている内容は彼女を気遣ったものに御座いますね。


しかしですね、殿下。殿下との婚約は「お姉さんでいるうちに結婚出来なさそうだったから」で御座いますよ?


どうやら殿下も周りのざわめきで、何かがオカシイとお気付きになられたご様子ですね。


「・・・え?あ、あれ?ユ、ユキ!」


殿下に名前を呼ばれましたので返事を返して、お側へ参ります。

あぁ、私としたことが申し遅れておりました。

殿下の専属メイドを務めさせて頂いております、ユキハに御座います。

殿下からはユキの愛称を賜っております。



「ねぇ、ユキ!破棄ってどういう意味か知ってる?」


「恐れながら、殿下。破棄とは不要なもの、いらないものを捨てることに御座います」


「知らずに言ったんかーい!」と会場こ皆様が驚かれていらっしゃいます。

そして驚かれているのは殿下も、で御座いました。


「いらなくないよ!?ミリアのこと大好きだもん!!捨てないよ!?ねぇ!ユキ!破棄じゃないやつでミリアを婚約者じゃなくするのって何て言えば良いの!?」


それはそれは大変な慌てようで大変可愛らしゅう御座いま・・・すみません。睨まないで下さいミリア様。


「恐れながら、殿下。その様な場合、破棄ではなく解消と申します。また、とても大切な話に御座いますので、陛下とお話なさった上で後日、侯爵様を交えてお話するのがよろしいかと」


「わかった!ユキの言う通りにする!父上~!!」


私の言葉の通り陛下にお話をなさりに行かれたのでしょう。

パタパタと走って行く殿下が素直過ぎて生きるのが辛いです。


「・・・・・・・」


現実逃避に耽っておりましたが、ミリア様の笑顔と無言による圧力に負けそうです。

彼女の背後に現れた魔王が死神とタッグを組んで手招きする幻覚まで見えて参りました。

いいでしょう。このユキハ、魔王と死神なんぞに遅れは取りま「ユキハさん?お話が御座いますの。どうぞお座りになって?」した。


「お、恐れながら、ルナミリア様。座ろうにも椅子が御座いませ「誰が椅子に座れと?」かしこまりました」


あぁ、床が硬い冷たい汚・・・くないですね。流石王宮メイド衆。掃除が完璧です。


「さて、ユキハさん。まさか、殿下専属メイドの貴女ともあろう方が、今日の殿下の行動を存じなかった、思い当たらなかったなんてこと・・・御座いませんよね?」


「恐れながら、ルナミリア様。私も存じ上げなか「御座いませんね?」はい」


「何故、止めなかったのですか!?貴女のせいで殿下におばさんなんて呼ばれてしまったではありませんか!!!」


「恐れながらルナミリア様!気になさるのはそこですか!?理解はできますが!!」


女性として重要な部分なのは確かですが、破棄云々を気になさいな!


「それで?何故、殿下は急に婚約破棄などと仰られたのです。それも意味もわからないままに」


「おそらくですが、ルナミリア様。先日、姉君・・・王女殿下が留学先から婚約破棄されて帰国なされたからかと存じます」


王女殿下が通っていらっしゃった隣国にある学園の卒業式にて婚約者の・・・・・な、ナントカカントカさんに婚約破棄された上に、濡れ衣着せられたりと、散々な目に遭わせられて帰国なさったばかりで御座いました。


その際に「婚約ぅ!?そんなん破棄されたわ!ふっざけんな!!(自主規制)共がぁ!!!」と酷く憤られていらっしゃいました処、「破棄って何?」とクロフォード殿下がお(たず)ねになられてましたね。


今日の事は「なかったことにされたってことよ!」と言う王女殿下のお答えで思い付いたのでしょう・・・おそらくですが。


そう説明致しますと、会場のあちらこちらから「ああ、なるほどな」と納得なされた声が聞こえて参りました。



「なるほど。つまり王女殿下を絞めればよろしいのですね?久々に腕がなりますわぁ・・・・」


「恐れながら、ルナミリア様。眼がお座りになって顔がヤヴァイことになっておいでです。あと、絞めてはなりません」


心なしか背後の魔王と死神の顔も青ざめて震えております。

正面におります私の顔はもっと青白いことでしょうね。


「そうね。流石に王女殿下は絞めてはいけませんね。ということでユキハさんを絞めましょう!」


何故(なにゆえ)っ!?」


「殿下に訊ねられる前に、前もって訂正して穏便に済ませることが出来ましたでしょう?つまり貴女の職務怠慢が原因ですわ!さぁ、場所を移してゆっくりお話致しますわよ!」



「私は教育係で御座いませんし、そもそもの原因は最初に婚約破棄した隣国のナントカカントカさんです!絞めるなら彼を!」


多少の罪悪感と責任感を感じている私にそんなことを申せる筈もなく、大人しくルナミリア様のお叱りを受けることに致します。


あぁ・・・なんと申しましょうか・・・正座したまま引き摺られていくのは新鮮で御座いますね・・・。



会場の皆様からの哀れみの視線を浴びながら、ふと思います。

「王女殿下・・・クロフォード殿下から(しぱら)く「嘘吐き」と呼ばれるのでしょうね・・・」

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