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完全無欠の革命歌  作者: ウエハル
序章
1/88

プロローグ



 2044年

 アメリカ合衆国 

 ペンシルベニア州南東部


空は自分の心に抗うように晴天が広がり、憂鬱とした気分を更に悪化させる。

視界にはねずみ色の古びた歩道だけが映る。

白い防護柵の横を弱々しく歩いていると、人の流れは自分をどんどん追い抜かしていく。笑う声や話す声が全て自分を貶している声に聞こえる。

彼、リアス・ペルフは決して良いとは言えない日常を送り、ここまでやってきた。顔は悪いわけではないのだが、問題はそれ以外だ。紺色の後ろに向かう刺々しい髪に虚ろな黒い瞳。パーカーからTシャツ越しに覗く肉体はそれなりに鍛えられており、ラインはスッキリとしている。


高校生活も最後になり、いつも通りの日々を送る。

ときどき自分が感情の芽生えたロボットではないのかと思う。

自分に個性がないから?自分が他の人と違うから?そんなこと分からない。理解したくもない。

青空の下を歩いて話を聞いて夕空の下を帰るだけの日々。

面白いと言われれば面白いのかもしれない。自分には十二分な暮らしかもしれない。


夕暮れの下、横一列に立ち並ぶ住宅街に帰る。

全く同じ形をした二階建ての家は自分よりも個性的で魅力的だ。芝生の中にひかれた小道を進むと目の前に白く窓の付いた扉が目に入る。

ここからが一日で一番楽しい時間だ。

扉を開けるとすぐ耳に入る優しく柔らかい声。

それは無情に慈悲を植えつけるように自分を迎え入れる、はずだった。

薄暗い部屋。いつもは明るく美味しい香りがするはずなのに。

静寂。いつもは皿を置く音と火にかける音と迎えの声が聞こえるはずなのに。


「母…さん?」

ただいま。母のその声は永久に響かなかった。



これは世界で一人だけ「能力」を持たない平凡な少年リアス・ペルフが母を捜す物語。

これは世界でもう一人「能力」を持たない可憐な少女ユノ・エクトスが檻から脱出する物語。



「静電気は最強に憧れる」と同じ世界です。

少し書き方を変えました。

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