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保健專は人気者!  作者: 桜騎
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始まりは

 「はあ…」

私はさっきの授業の教科書・ノートを整えて、机の中にしまった。すると突然目の前に手が出てきた。

「美羽…」

手を出したのは、私の親友の白石美羽だった。

「奈津、大丈夫?そんなに面倒なら、行かなければいいじゃん。奈津の仕事って、べつにやんなくてもいいんでしょ?」

私は力なく首を振る。

「だめだよ。美樹先生が私の仕事を適当にやるから、なおさないと先輩に怒られるの私…」

「ああ、あの保健室の先生?あの先生は大変だよね」

私は頷くと、ゆっくりと教室を出た。

 私は、如月奈津。木葉中学校、1年3組の保健專|(保健専門委員)をやっている。最近の私の悩みは、美樹先生が私を保健專として呼びつけ、恋バナを聞こうとする事だ。それと私の仕事の話がどうつながるかは、きっとこの後わかる。

 「先生、来たよ…」

「や、なっちゃん!なっちゃんの仕事は終わらせてあるから、今日も恋バナ聞かせて」

…というわけだ。私は今日もため息をつく。

「あのねえ、いつも言ってるでしょ?私の仕事を勝手にやらないで。どうせまた適当にやってあるんでしょ。怒られるの私なんだからね!」

先生は語気を荒げた私の言葉を無視して「恋バナ…恋バナ…」と呟いている。

「いつも言っているとおり、恋バナはありません。まぁ、その、あの、私の事が好きって言う人がいるのならべつに…」

先生はニヤニヤしながら私をみている。

「ふ~ん…」

「わ…私を好きって言う人なんていないから!」

先生は真顔になって「そうかな?」なんて言って出て行った。

 しばらく自分の仕事をして待ってみたが、先生は戻って来なかった。…怒らせちゃったかな?仕事が終わっても先生は戻って来ないから、私は教室に戻った。

 「あ!お帰り、奈津」

「ただいま」

私は、またため息をつきながら席についた。

「先生がまた何か?」

私は次の授業の準備をしながら答えた。

「いつもと同じだけど…。先生見なかった?」

「見たっていうか、話した」

「は!?」

美羽は少し言いづらそうな顔をした。

「詳しくは言えないけど、奈津の事について」

「そっか…」

…なんで先生は私に何も言わないの?

「いや、あの…別に悪口じゃないよ?」

「うん、わかってる。あの先生が悪口とか想像出来ない」

何か、嫌な予感がする…。あの先生、何をするの?

    次の日

 「お~、なっちゃん!昨日は一人にしてごめんね。寂しかったでしょ?」

「いや、全然」

先生はしょんぼりとした様子を私に見せつけ(というか、そうとしか見ない)、勝手にすねた。しばらくして、先生は私の気をひくように何度も同じ事を繰り返し呟いた。

「もういいもん。なっちゃんのために昨日はあちこち歩き回ったんだからね!」

何度も同じ言葉が聞こえるため、仕方なく私は訊ねた。というか、聞いておかないと怖い。

「え?聞きたい?聞きたいのぉ?」

「はいはい。聞きたいですよ」

自分が知っている中でも一番の棒読み口調で訊ねた。

「えぇ、聞きたいのぉ?どおしよっかな、どおしよっかな」

もう我慢出来そうない。

「あぁもう!聞きたいんですよ。美樹先生が私のためにしてくれた事はなんですか?」

「ふっふっふ。では教えてあげよう!」

ここで、少しの間がある。私はまた棒読み口調で「わーい」と言っておいた。

「それはね…。明日のお楽しみ!」

…。しばらくの沈黙の後、保健室にはとても大きな声が響いた。

「はあ!?」

今までの私の頑張りは何のためだったのか。仕事をせずに正座していた私のあの時間は何だったのか。この私の時間を奪った犯人は、楽しそうにニコニコしている。

「おどろいた?これで明日も保健室に来るのが楽しみになったでしょう!」

いや全然。逆に学校に来る事まで嫌になった。

「てことで、明日は必ず保健室に来るように!」

私はさっさと仕事を終わらせて、無駄にした時間を取り戻そうと走って教室に戻った。

 「あ、美羽」

教室に戻ると美羽が私の席で待ち伏せしていた。

「今日はどうだった?」

私は半泣きななりながらさっきの事を話した。

 「…でね、結局あの先生が何をたくらんでいるのかわからなかったの。…はぁ、明日は学校休もうかな」

私の最後の一言に美羽は慌てたように見えた。

「そ、それはちょっとどうかと…。だ、だってあの先生、奈津が来なかったら校内放送が大変な事になりそうなんだもん」

眉根を寄せて何かを探るような顔の私が美羽の言葉に納得すると、美羽はとてもホッとした顔をして緊張をほどいた。今日の美羽、何か変…。

「でもあの先生、全部計算して動いているんだよ?だって、私のやってもやんなくてもどっちでもいい仕事、あの先生が私に付けたんだよ。そして私の仕事を適当にやって私が絶対来なくちゃいけないようにして、最後、いつの間にか私が先生の話相手になってんの。今回も、何が起こるかわからないよ」

「…頑張れ!」

「ん!」

何を頑張るのかよくわからなかったけど、とにかく大変な事に巻き込まれない事を頑張る!…?授業開始の合図がなり、皆席につく。先生が入って来て、挨拶をした。


 

 この小説を読んでくださった方、ありがとうございます。はじめまして、桜騎です。じつは私、いつもはファンタジーを書いています(ノートに書いて知人に読んでもらっている)。なので今回初めてです!もし、今回の小説に何かわからない所があったらごめんなさい。次回からがんばります。もしかしたら、何でファンタジーを書かないの?と思う人がいるかもしれません。それは、私の書くファンタジーを認めてくださる方がいるか不安だっただけです。すみません。

て事で、次回もよろしくお願いします。

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