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趣味それは、人それぞれなのです。

お待たせ?いたしました。


「なんで!なんで!なんで!!なんで!!!」



誰もいない裏庭で苛立ちをぶつけるように叫びながら、拳をにぎる

「なんで、なんで上手くいかないのよ!!」


苛立ちながら頭を掻き毟ると思い出すのは、あの日。

私がこのゲームの世界に来たと知ったのは、入学式だった。

なんだか見たことがあると、既視感に少しの頭痛と一緒に思い出したのは、とあるゲームのシナリオと自分の役割だった。

主人公は、顔は出ないが濃いピンクのロングヘヤーの女の子。そう、ゲーム初期設定の名前こそ。ちゃんと覚えていないが、『マリアンヌ』だったような気もする。それに周りを見渡しても幼い頃から自分くらいだったのだ。

なにがって?それは、この髪の色。この世界では、自分の属性によって髪の色が決まる為。色んな色の髪の人がいるがピンク色の髪を持っているのは、自分だけだった。

そう、この世界で自分は主人公なのだ。そう確信した瞬間だった。

今までは、自分でも頑張ってきたつもりだったけれどたまに自分でもよくわからないうちに何故か自分の思い通りに進むことがよくあった。

それもそのはずだ。だって私はヒロインなんだから。


だったら、なにを我慢する必要があるのかと、何かが囁いた気がした。

そして、私は、この世界で初めて好きなように生きてみることにした瞬間だった。


それからの私は、興奮していたんだと思うだってイベントどおりにいけばちゃんと攻略対象と仲良くなっていったんだもの。

普通は知り合えないはずの高貴な人達もイベントが起こる場所までいけばあっちから話しかけてくれた。


だけど、やっとの思いで折角ストーリー中盤の断罪イベントまでもっていったのに。不気味なほど途中までうまくいってた。

断罪イベント終了からメインヒーローの王子が私のことを気になる女の子から好きな女の子になるイベントが次々と起こるのを楽しみにしていた。

これからなのだ。それなのに何故かあの後からアンドリュー様は私に話しかけてこなくなった。

それもあのエリザベスとかいう。つり目の女がアンドリュー様とこの頃一緒にいる所をよくみるようになった。なぜだろう婚約破棄はされなかったようだ。

ストーリーでは、あのつり目女に罪を認めさせてさっさと婚約者の地位を降りてもらう話だったのはずなのにあの侍女は、なんなの?


こっちの思うようには動かないし、中間イベントの断罪イベントは、起こったはずなのに何故かそのままなかったことになってしまっているし、本当はつり目女の悪行の陰でついでのように他の攻略対象の婚約者もマリアンヌに嫌がらせなどをやっていたのが、ばれて他の婚約者がいる攻略対象全員の婚約者の見直しをされることになり、皆一旦婚約解消されるようになるはずだった。そして、婚約者が居なくなってから色んな分岐点の恋愛要素の甘い要素がたくさん入っていく。そういう物語がはじまるはずなのに・・・。


全員なにも起こらなかった。

ただ私は放置されただけだった。なんで主役の私があんな脇役みたいな扱いされなきゃならないのよ。

それにセドリック様には、『ほんとになんの役にも立たない人ですね。』っていわれたし。あの男。いいのは、顔だけで性格は腹黒だしファザコン(父親を尊敬してるんだけど、父親は、あまりかまってくれなかった為。父親に対して、捻くれた性格になってしまい。父親に対して嫌味をいい。父親も嫌味を返す。よくわからない。コミニケーションの取り方をしている。つまり、親子揃って好きな子ほどいじめたいっという性格の為。ファンからは、ツンデレファザコンといわれ愛されてきたキャラである。)の癖に。

リアルでいたら腹立つって思ってたけどやっぱり性格は最悪だったし。ほんとむかつく男だった。

お前なんか一生父親と仲違いしてればいいのだとおもった。


それならばと、私は断罪イベントが起こった後に登場・接触できる攻略対象2人に接触するため行動にうつしたはずなのに。1人はまだ中途半端な時期なのか。なかなか来ないし、もう1人は、攻略激ムズでなぜか従者から仲良くならないとあえないから、その従者をさがしてたのになんであえないの?

意味わからないわ。

代わりになぜかあの黒髪の女。エリザベスのメイドっていってるやつとよく合うし。


なにかがおかしい。

なんでこんなにストーリーがかわってるの?

もしや・・・。あのメイド。

絶対あの女だわ!あのメイドに邪魔されているんだわ。

婚約破棄の時だって、いきなり予定にないことばかりいってたもの。

それに黒目黒髪なんて、まるで日本人みたいじゃない。


日本人・・・?。そうよ。


「もしかして、あの女転生者?」


もし転生者なら許さない。彼らは私のものなんだから、それを邪魔しようなんて許さないんだから。


これは、私の物語なのよ。


モブなんかに邪魔は、させないわ。






◇◇◇◇◇





それは、ある日の昼下りでございました。

私は、偶然にも、あの懐かしき日を思い出させるお方にあったのです。



「あんたでしょ?攻略対象のフラグをへし折っているのは!!」



そう、この良くわからい事を喋りながらピンクの髪をはためかせ、人に指を指さしたまま踏ん反り返っておられるお方こそ。


かの婚約破棄騒動の時。私に『もはや空気』と思われ、そして、この頃も日増しに空気にと徹底されているマリアンヌさんその人でした。


しかし、わたしは、懐かしんでいる場合では、ございません。

稼ぎ時それは、突然くるものでございます。


「申し訳ありません。それは、私に質問をされていると、そう解釈させて頂いてよろしいのでしょうか?」

私はすぐに反応いたします。


「そうよ!!」


そうヒステリックに叫ばれるかの方は、またもや踏ん反り返ってそのうち地面に手をついてブリッチでも、やるつもりなのでしょうか?


何故でしょう。このお方。美少女なんですが、残念感が漂っておられます。


ついでに言うと、胸はあまり無く。ちんちくり・・・。ゴホン。とにかくお嬢様の方が勝たれております。こんなところでもさすがお嬢様でございます。

私、感動で涙が・・・出てまいりました。


「ちょっ・・・なんで泣いてるのよ。あんた意味わかんないんだけど、とにかく私の邪魔しないで!」


しかし、私はハンカチを出し目元を拭っている間に無情にも話が進んでおりました。小遣い稼ぎを逃すとは、私もまだまだ修行が足りないと自覚した次第でございます。

ですが、話は、進んでも勝手に言いがかりをつけられたままではいけません。私もペサリー家に仕えている身でございます。そのまま放置すると、あとあと面倒に巻き込まれてしまいます。とりあえず話をしなければと私は彼女に話しかけました。

「しかし、邪魔と仰られましても、私は、なにもしておりません。」

「嘘よ。私が木に登ってた時にあなたが来て出会いイベントを邪魔したじゃない!あれは、大事なイベントなのに・・・。」


なにやら、ぶつぶつ呟いておられますが、まあ、気にせず私は考えます。

しかし、木に登る?彼女は一体何歳なんでしょうか?そういえば私も10歳までは木に登って、ヤンチャをしておりました。綱を使い『あああ〜〜〜〜〜〜』と言いながら風を切りながら木を渡っていく懐かしいターザンの思い出に浸りながらもしばし考えていると、つい口が滑ってしまったのは、仕方ないことでございます。


「木・・・登る・・・猿・・・」


「あなた心の声が出てるわよ!!」


おっと、考え事をするとつい口が滑りやすくなってしまう癖は、直さなければなりません。

しかし、叫ばれるマリアンヌさんを無視して私はポンっと平手を打ちます。

「ああ、あの時でございますね。毎日ある時間になると校舎裏の木に登って数時間待機なさってたアレでございますね。」


それは、ある日でございました。

不意に窓の外を眺めていた際。偶然にも何かいる・・・。

『はっ!!刺客か?!』っと、警戒を露わにした時でした。

木の上に刺客とは違うお粗末な隠れ方をしている凄い体勢のマリアンヌさんがおりました。何でしょうあれで隠れているつもりなのでしょうか?それともなにか我慢大会でもされているのでしょうか?

最初の印象は、そんな感じでございました。

しかし、それから、私は、とある事情のため彼女を見守ることにしたのです。

そして、私は毎日毎日そこを通るたびいつか落ちるのではと、従者の方と賭け・・・ゴホン。見守り続けました。初めは下手だった木登りも上達し熟練の達人をも思わせる上達ぶり。まさに猿・・・ゴホン。

私は感動して、陰ながらその努力を応援しておりました。もちろん。私はいつも落ちない方でございました。え?なにがって?それは、私と従者の皆様との秘密でございます。


「そ、そうよ。その前に毎日って・・・いつからあんた見てたのよ。」

ぎょっとしながら肯定されるマリアンヌさんに

「あの上達ぶりに私は感動を覚えておりました。」

と、つい握手を求めそうになると、マリアンヌさんは、何故か顔を引きつりながら後退なさっておられました。何故でしょう?

しかし、もし木登りのオリンピックがあったならば彼女は代表選手になれたでしょう。

その感動を伝えようと私は説明をするため話します。

「ええっと、あれは、そう気づいてから、一ヶ月でしょうか?私も壺を埋める趣味が御座いますのでマリアンヌさんは、木に登る趣味があられるのかと思い、静かに見守っておりました。」

「別にそんな趣味はないわよ。」

即答なさるマリアンヌさんに趣味ではないといわれ、まさかの事実に驚愕しながら、新たに浮上していた疑惑をここで精算させるために私は彼女にお伺いしました。

「では、何故あの様な所に?」

「別にあんたには関係ないでしょ。」

怪しいやはり彼女は・・・私の目が光ります。

「いいえ。疑問がありまして、木に登ってキョロキョロと何かを探しておられたご様子でしたので、実はわたくしの壺を探しているのではと思っておりましたが?どうなのですか!!」

つい、攻める口調になってしまったのは仕方ないことです。私のツボが掛かっております。皆さんわかっておられると思いますが、悠長なことは、していられないのです!!

「なんで私があんたの壺なんか探さなきゃいけないのよ。私は、壺なんかに興味はないわよ!!」

そう叫ばれますが、つい、私は睨みを利かせいつもとは、違う少し低めの声で問います。

「それは、神・・・いえ。命をかけて誓えますか?」



「・・・ち、誓えるわ。」

ちょっと、怯えながら彼女は答えます。


・・・まあ、いいでしょう。

私の看破スキルでも嘘はついていないと言っています。


さて、誤解が解けたので私は明るく彼女にはなしかけます。

「しかし、誤解しておりました。あの木登りをされている時は失礼いたしました。疑惑があるのもは早めに釘を刺しておかないと、私のお金がかかっておりますので、しかし今、やっとマリアンヌさんの容疑が晴れました。おめでとうございます。」

ええ、私はマリアンヌさんに今でいう壺トレジャーハンターをしているんじゃないかと、疑いをかけておりました。

しかし、話しかけたのは、とある従者の方が通ろうとされるたびに彼女が落ちそうになったのでわざと止めに入った訳では、ありません。ええ、決して賭けの為ではありません。


「ありがとうございます?・・・じゃないわよ!!なんで私があんたの壺探さなきゃなんないのよ!!」


「しかし、今や空前の壺探しブームでございます。私にとっては、迷惑ですが、マリアンヌさんは参加されたことは無いのでございますか?」

「ないわよ!土を掘るなんて、なんでそんな事しなきゃいけないのよ!!バカみたい。」


「土を掘るなんて・・・バカみたい・・・?」

私は、ふらつく様に二、三歩後ろにさがると口に手を当て驚愕を表しました。


「ちょっと・・・そこまで驚かれる意味がわからないんだけど。」


そして、まだそんな事を呟く彼女に今日わたしは初めて対峙することを心に決めたのでした。


「マリアンヌ様。いくら私の事を罵らようが構いませんが、土を掘るのをバカにするのは、許せません。」

「え?そっち・・・。な、なによ。」

私の威勢につられて後ろにさがるマリアンヌさんですが、逃すわけにはいきません。

「マリアンヌさんには、土を掘る事の良さを・・・「いやよ。」」

「しかし、マリアンヌさんあなたもたぶん近い将来土を掘る事になると思います。」

「なんで私が土を掘らなきゃならないのよ。」

「まだわからないのですか!」

つい、声を荒げてしまいましたが、私は続けます。


「なによ・・・。」

「土を掘るそれは、未来に繋がることになのです。」

「いや、意味わからないけど・・・」

「仕方ありません。こちらをおもちください。」

私は、懐から磨かれたいつも愛用したスコップをお渡ししました。

「なにこれ・・・ってなんでスコップなのよ。」


「これは、私が小さい頃から愛用したものでございます。少し古いですが使い勝手もよく手に馴染む感じが掘りやすくなっている品です。それも、もう販売が終了してしまった。非売品でございます。特にこちら少し取っ手が特殊で世界に一本しかない今しかない期間限定商品ですが、ここはマリアンヌさんへの謝罪の意味も込めまして、特別割引をいたしますよ。」

私はそう言って密かにポケットにはいった携帯型のプレーヤーでBGMを流します。


「えっ!・・・なんか曲がきこえるんだけど。ってそれよりなんで私があんたのスコップを買わなきゃならないのよ!!」

「本当にいいのですか?今しかない。限定商品でございますが残念ですが、別の方に・・・」

「うっ・・・限定?・・・」

「限定品でございます。」

私の限定品という言葉を聞いた彼女は、少し悩むそぶりを見せながらも悩み。悩み抜いて口を開かれました。

「・・・いくらなの?」

やはり私の『限定品』という後押しが効いたのでしょう

ふ、皆限定物に弱いものでございます。意外にチョロい・・・ゴホン。

「こちら、悩んでおられたマリアンヌ様の為。いつもは、ここまでおまけすることは、ないのですが初回特別に割引にて半額にいたしまして500円にて販売させて頂きます。」

「・・・安いわね。はぁ、わかったわよ。買うわ。ちょっと待って500円で買ってあげるから。その代わり、私の邪魔しないで」

ゴソゴソと財布を出されるマリアンヌさんの為にリボンまで可愛くつけて私は、スコップを渡しました。そして、代わりに受け取った500円をちゃんと確認し懐に仕舞いこみ彼女に向き直りました。

「邪魔と言われても具体的にお願いしてもよろしいですか?」

「は?他にもあったでしょう。あんたでしょ?『猪突猛進娘出現中。飛び出し注意』とかよくわからないこと書いたポスターを描いたのは!!あのイノシシ私でしょう?貼ってるところをみたんだから!」


「まさか・・・あの侍従仲間の為に書いた暗号に気づかれるとは・・・。」


「あんなデカデカと書いたポスター貼っときながら分からない奴なんていないわよ!!」


「そうですか?可愛く擬人化した猪のポスターを描いたのですが、なぜそれがマリアンヌさんだと?」

「わからないとおもってるの?ピンクの髪に黄色のリボンとか私の特徴を詰め込んだようなキャラを描いといてわからない方がおかしいでしょうが!!」

そう叫ばれるマリアンヌさんに私は目を逸らしながら反論します。

「そ、そんなことはないとおもいますが」

「はっ!!逆に似過ぎて怖いくらいだったわよ。」

「うっ・・・」

いや、久しぶりのお絵かきで、つい興がのり夢中で書いてしまったのですが、やっぱり本人にバレるほど似ておりましたか。今度からはバレないよう自重しなければなりません。

そんな邪な考えをとりあえず横に置き私は反論いたします。


「しかし、言わせていただきますが、あのポスターを貼ったのはマリアンヌさんの奇怪な行動のせいでございます。従者を見かけるといきなり突っ込んで行かれ押し倒す。まるでイノシシの様でございました。あの様な奇怪な行動をあの通路で取られますと、私どもは、迷惑で、御座います。私どもは、主人の為。洗濯物をしたり、主人の昼の食事などを運んだり1日歩き回っていおりますので、ああ何度もいろんな方に突撃されておられますと、私どもとしては、はなはな迷惑だと言わせていただきます。ですから、あそこに従者のための注意喚起を籠めたポスターを貼らせていただいたので御座います。」

「そ、そうだけど、別にあんたには、突っ込んでないでしょう。」

「ええ、そうですね。何故か顔立ちの整った水色の髪の従者の方ばっかりでしたが、まあ、皆学校指定で制服が決まっておりますのでいったい誰に突撃したかったかは、わかりませんが、私ども侍従仲間で相談した結果あそこに貼らせて頂きました。」

「え?・・・そうなの?」

「はい。あそこは、元々侍従しかあまり使わない通路で御座いますので大きめに貼らせて頂きました。まあ、途中から水色の髪の従者の方はあそこを通らず遠回りをしたりで苦情も学園には、入っていた様ですが・・・」

それを聞いたマリアンヌさんは何故か俯きながら「だからーーさまも通らなくなったのね。」とブツブツなにかを呟いておられたようでした。ですが、何かにつけて立ち直りの早いマリアンヌさんはまた私に言いがかりをつけました。

「で、でも、他にもあるのよ!!私が調理室で焼いたクッキーを全て持って行ったメイドは、あんたでしょう。私黒髪のメイドを見たんだから!!」

「それは、もしかして、あの黒こ・・・ゴホン。とても茶色に焼けていたクッキーでしょうか?」

「ええ、あの茶色はチョコよ!!それにいい感じに焼けてたのよ。」

「あれで・・・いい感じですか?」

「あなたね。私のチョコクッキーを全部持って行っておいてなんか文句あるの?」

文句。あれは、文句どころの問題ではありません。

今日こそは言わなければなりません。

「文句・・・いえ、あれは、クッキーと言う名では言い表せられないほどのものです。なぜなら、一口摘んだだけでも、私が吐き出す劇薬・・・いえ、劇チョコクッキーだったのですよ。最早この世界に持ち込んではいけない代物。なので至急。家に持ち帰り焼却処分にしたのち厳重に密閉して、1メートル程の地下に埋めさせていただきました。」

「そこまで厳重にすることないでしょ!!」

「しかし、言わせていただきますと、クッキーの周りにプレゼント用包装がありました。

あのクッキーを配られる予定だったのですよね。あれを配るなど毒を配るも同然。罪に問われる問題で御座います。なので感謝されるならわかりますが非難される謂れは、私には御座いません。」

私は、あのクッキーを食べてからずっと言いたかった言葉を吐き出しました。

「そ、そんなに酷くないわよ!!」

私の言葉を聞いてもマリアンヌさんには届かない様ですが私は叫びます。

「一口・・・一口でも、試食されたのですか!!!」

これは、私の心の叫びで御座いました。

「な!!」

「一口食べれば配るなどという暴挙しないはず、誰にあげる予定だったのかわかりませんが、あれを渡され方は、死んでいたかもしれないんですよ!!」

「あ、あんたの口に合わなかっただけかもしれないでしょ!!」

「そのような戯言を・・・私は、森の草花、海の生物、そして、さまざまの毒を食べ。そして、飲んできました。そんな私が食べれない食べ物。紫以上の劇チョコクッキーを作り出しておいてなにをおっしゃってるのですか!!!」

わたしが、思いの丈を吐き出しながら叫んだ時でした。


「おい!そこでなにやってる!!」

「あ、アンドリュー様。」

「なんですか・・・王太子様ですか。邪魔しないでください。」

「え?お前はエリザベスの所の・・・お前まさか・・・マリアンヌを・・・」

「え?そ、そうなんです。アンドリュー様」

一瞬驚いた顔をしたマリアンヌ様はすぐさま顔を変えすがりつく様にアンドリュー様の腕をとります。

「ほう・・・。まさかそんな事を言われますか?」

「なによ。」

「な、なにをするつもりだ。」

私は、胸ポケットから取り出した機械をポチっと押しました。

「『とにかく私の邪魔をしないで!』」

「え?」

「そこの壺埋め侍女。なんだそのマリアンヌらしき声は?」

壺埋め侍女?・・・。まあ、今は、いいでしょう。

しかし、おぼえておきましょう。さて


「王太子様。わかっておられると思いますが・・・」

「ああ、わかっている。500円くらいでいいか?」

「はい。しかたありません。今日は500円にしておかなましょう。」


私は、さっと手のひらを差し出すと催促します。早く。

「はぁ。・・・500円だ。」

そして、私は、500円の重みをしっかりと感じ取ると懐に仕舞い込みます。


「さて、毎度ありがとうございます。では、コレは、とある方から、また罪をなすりつけられない様にとの、ご配慮をいただき頂きました。最新式の録音機能つきBGMプレーヤーでございます。機能は、BGMを流す平常の機能と新しく短縮ボタンで日頃使うBGMをワンタッチで流せる機能も付いた最新機能でございます。」

「いや、そっちの機能じゃなく。出来れば録音機能の方が聞きたかったんだが」

「そちらですか?私としては、この画期的なBGM機能の方を取り上げたかったのですが、ここは、料金を頂いております。残念ですが私もプロでございます。説明いたしましょう。」

「ああ、たのむ・・・」

なんかブツブツと『お前と話すと疲れるな』どと呟いておられますが、私にも聞こえておりますよ。

「では、この録音機能は、なんと5分間の録音機能が付いており、五分間ではございますが複数回録音できる機能も付いております。」

「つまり」

「はい。いきなり『あんたでしょ?攻略対象のフラグをへし折っているのは!!』っと言われた為。内容はよくわからないまでも、なにやら、私を疑っておられたご様子だったので録音させていただきました。」

「・・・先ほどの叫び声からも雰囲気でわかるがお前が虐めてたわけじゃないのは、わかった。すまなかった疑って・・・。」

「いえ。謝って頂ければ、別に報復など考えておりません。」

ええ、おりません。しかし、そろそろココアが切れてまいりました。ここは、お嬢様の為。ココアを貰いに行くのもいいかもしれません。

「そ、そうか・・・して、あれ?マリアンヌは、どこに行った?」

「教えて差し上げても宜しいですが・・・。」


「はぁ、わかっている。いくらだ?」

「はい。今回は簡単ですので100円にさせて頂きます。」

「はぁ、・・・100円。」

「では、マリアンヌさんですが、私がアンドリュー様と喋っている際中。まあ、正確には録音した音を流したすぐ後にアンドリュー様の後ろをこっそりと逃げていかれました。」

「そ、そうか・・・」

「しかし、アンドリュー様もしかしてまだマリアンヌさんを・・・」

私はジトーとした目で見てしまいました。エリザベス様という婚約者がいる立場でございます。

はっきりとしないと、私にも考えがございます。

もちろん。僅かながらの謝礼は頂きますが、私の総力をあげてお嬢様をお守りする為。アンドリュー様には生きているのが恥ずかしいと思わせるほどの屈辱を味わせて頂く所存にございます。

そんなどす黒い思いが漏れていたのかアンドリュー様は僅かに引きつりながら後ろに下がられました。

「い、いや、別に・・・」

「まったく。小さい頃あんなに一緒に遊んだエリザベス様じゃなくなんでぽっとでのマリアンヌさんなのか理解に苦しみます。」

わたしの小さくぼやいた言葉を拾ったのか怪訝な顔のアンドリュー様に見つめられます。

「見つめても残念ながらお菓子は出てきませんよ。アンドリュー様。」

「わかってる。しかし、お前はなにを言ってるんだ。私はエリザベスと子供の頃遊んだことなどないぞ」

「聞こえておられたのですか。・・・はぁ、忘れたのですか・・・」

「なにをだ!!」

「まったくこれだから色ボケ王子は・・・」

「お前。今なんかいっただろう?」

「いえ、別に思い出せないなら教えてあげても宜しいですが・・・」

「おい。また金か・・・はぁ、いくらだ。」


「いえ、ここは主人の為。心を鬼にして・・・グス。アンドリューさまが思い出されるまでわたしは・・・グス。口を閉ざさせて頂きます。」

「お、おい。何故泣く。泣くな。それにお前は、相変わらず口と心が伴ってないぞ」


「わーん。」

私は誘惑に負けない様に泣きながら走りました。


その後ろでアンドリュー様が「ちょっちょっとまて」っと叫ばれてるのは、私には聞こえませんでした。


ちなみに後日アンドリュー様には会わない様にちゃんとアンドリュー様の侍女様からココアを頂いたのは、アンドリュー様にもお嬢様にも内緒で御座います。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


数日後。


「ねえ。あなたアンドリュー様となにがあったの?」

お嬢様が神妙な顔で聞かれます


「なんのことでしょうか?別に色ボケ・・・ゴホン。アンドリュー様とは別に詐欺事件以来友好とは言いづらいですが、常に上お得意様をキープしておられる存在にございます。」


「すっごく気になる所はあるけど、そこはいまは、置いといて。あることを人伝に聞いたのです。とある女の子がアンドリュー様と泣きながら別れ話をしていたと言う噂をきいたのよ。」


「あの色ボケ王子を今すぐ抹殺してきます。」

「ま、まってまだあるのよ。その女の子は黒髪でメイド服を着ていたって」

お嬢様はカチャリと珍しく音を立てティーカップをおくと私の目を見つめました。

「あなたなの?」

「・・・。」




しかし、沈黙は続きませんでした。

「あなた!!いったい今度はどんな迷惑をかけたの?」



「お嬢様言いがかりでございます。わたくしお嬢様の為を思い。小遣い稼ぎを諦めた涙でございます。別れ話と言われるいわれはございません。むしろ別れたのは、稼ぎ損ねたお金とで御座います。」


私はこの日珍しくお嬢様のご機嫌とりに1日を費やすることになりました。

覚えておけ色ボケ王子め!!っと深く心に誓ったのは、私だけの秘密でございます。






皆様。いつも感想ありがとうございます。

いつもニヤニヤしながら読ませていただいております。笑

さて、昨日投稿するつもりで編集中寝た私ですが、投稿できて何よりです。

乙女ゲーム設定を忘れ・・・ごほん。

乙女ゲーム設定をつかわなきゃいけないなぁっと思っていたのですが中々使う機会がなく。

やっと、使えたのでこれで一安心です。

因みに激ムズ攻略対象は、水戸黄門などを演じているハイエルフのかの方です。笑

ついでにまだ来ていない方は、ただいまドラゴンを倒す侍女と旅をされておられます。笑

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