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異世界転移~俺は人生を異世界、この世界でやり直す~  作者: じんむ
ウィンクルム騎士団 鉱脈調査編
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ディベスト山

 バリクさんを先導とし、メスト街道で馬を走らせる。テンポ良く蹄の音が聞こえる中、後方を見れば軽い砂煙がたっている。バリク隊はメールタットを離れ調査対象地域に向かう途中だ。


 先ほどメールタットで行われた会議で告げられたことは三つ。


 まず一つは昨日俺が応戦した敵について。

 昨夜襲ってきたのはこの世界ではシノビと呼ばれる者達らしい。

 おもに弥国にいるという暗殺者の呼称だ。ただそれ以外あまり情報が無かったことから、この大陸であまりその存在について詳しくは知られてないようだ。とは言っても日本でいう忍者とそうそう変わらないとみていいだろう。まず身なりが忍者だからな。


 二つ目は鉱脈調査の続行。

 今回の件を疎通石を通して団長に知らせたところ、鉱脈調査は続行と決定された。狙いはシノビの生け捕りとの事。


 そして三つ目は調査にあたっての駐屯場所。

 当初ディーベス村で駐屯する予定だったが、シノビが急襲してきた場合村人にも危険が及ぶので今回はそのまま山に入って陣営を張るという事だ。少し残念だけど村の人たちを巻き込むわけにはいかないので仕方がないと割り切る。


 しかしまさか調査続行とはな。てっきり一度引き返すくらいに思っていたんだけど……。もしかして三番隊ってけっこう信頼されているのかな。一応先輩方ってけっこう強いらしいしな、騎士団で不祥事を起こしてもクビにならないくらい……。いや待てよ、問題児が集まる隊なわけだから、捨て駒にされたって可能性も考えられるか? まぁなんにせよ、今度シノビと戦う事になったら刃には気を付けよう。いやマジで辛いよ毒。ティミーにも心配かけちゃうし……。


「ねぇねぇ、なんか面白くなってきたねぇ、アキちん?」


 状況を整理していたところ、ファルクがうざったいテンションで話しかけてくる。


「無駄口叩いてる暇があったら馬を走らせろ」

「僕は無駄口叩いても馬を走らせるから問題ないよん。……あ、そっかー、アキちんはそんな器用な事できない不器用さんだもんねー? だとしたらそう言ったのも納得! 無理言ってごめーんねっ?」

「言ってろ……」


 もうファルクにいちいち付き合ってたら埒が明かない。というかこいつ、よくもまぁこんな緊迫した雰囲気の中で軽い調子でいられるな。

 見てみろよ周りを、必死で馬を走らせる先輩方の表情ときたらいつ敵が急襲してくるかと……。


「やっとこさ騎士団らしい仕事になってきたなぁ?」

「ここいらで俺らの力を見せつけてやろうぜ」

「早く襲ってくりゃいいのになぁ?」


 ワクワクしてるみたいだね! なに、さっき会議終わった時みんな神妙な面持ちだったよね? けっこう緊迫した感じだったよね?


「まぁまぁアキちん、どうせシノビ君達もこんな陽の出てるうちは襲ってこないって。リラックスリラックス~」

「この空気じゃもうお前が羨ましいよ……」


 ほんと、俺ももっと物事を楽観的に見れるようになりたいね。どうも昔から物事をよからぬ方向に考えがちなんだよな……。色々あったし、治さなきゃならないのは分かってるんだけどなかなかなぁ……。それでも最近が頑張ってきてるつもりなんだけど、どうにもな。


 そうこうしながらも馬はひたすらメスト街道を突き進む。

 まだ新設街道なので関所が一つくらいしか無く、スムーズにディベスト山へと近づいていくと、一度ディーベス村に馬だけ置かせてもらい、バリク隊は街道を逸れて雑木林の中へと踏み入れた。





 隊列を組み各自ありとあらゆる場所を警戒しながら雑木林をひたすら進んでいく。

 真ん中には食料などを入れた大きな荷物を持つ人を数名置き、それを守るように囲む護衛隊形だ。一応他にもいくつかの隊形は騎士魔法の講義と共に教えられている。

 ちなみに俺は真ん中の荷物を運ぶ位置付けだ。


 いや違うから。別に俺が使えないからとかそういうんじゃないから。会議でシノビに俺の抹消も任務のうちみたいな事を言われた事を伝えたところだな、俺の身を案じてわざわざこの位置に配置にしてくれたんだ。だから決して俺が弱いから使えねぇとかそういう差別受けてるわけじゃない。た、たぶん……。

 ほら、荷物は魔法で軽くしてあるので楽と言えば楽だからなこの位置? ティミーとかスーザンに守られる立場だけど恥ずかしくないから! むしろヒモ万歳!


「左方から魔物! でも俺一人で十分だ!」

 

 自分でも見当違いな方向へ思考が転換していた所、突如ハイリが叫ぶ。

 声と共に木の陰から飛び出すのはかつて俺が養老の祠に行く途中倒した猪型の魔物。数は三匹のようだ。

 すぐさまハイリは左翼から分離。慣れた手つきで腰の短剣を引き抜く。


「ヴァン・セイフ」


 手に持つ短剣で宙を水平に切り裂く。その動作と共に現れたのは目視できるほどのまじい風の塊。

 鎌鼬(かまいたち)にも似たそれは目にも止まらぬような勢いで魔物の群れを真っ二つに斬り裂いた。

 後に残ったのは灰化した魔物の砂のみ。


 他にも敵がいない事を確認したか、短剣をしまい、ハイリはまた自らの守る位置へと舞い戻る。


「流石だなハイリ」


 あまり強くない敵とは言え、一発で全部仕留めるんだもんな。今から俺があいつらをやっちまうぜ! キーッ、って意気揚々と出た魔物達の哀れな末路よ……。こうもあっさりとやられると逆に同情してしまう。


「あれくらい寝ても倒せるぜ? はぁ、もっとこう強い奴来ねぇかなぁ? そうだアキ、ゴーレムとかまた出たら面白そうじゃないか?」


 ゴーレム……。そういえばそうだった。今回の鉱脈調査対象の場所って同じ山なんだよな。確かどんどん強化されて復活するゴーレムに苦戦させられた。……言っちゃなんですがあの時ボロボロにされたハイリの姿、露出度が増えてておいしかったと思います。


「またボロボロにされるんじゃないのか?」

「なんだと!? 言っとくけどなアキ、俺はあの時の俺とは違うぜ? あれからもっと鍛錬だってしたし、時間も多く経ってる。あんな無様な姿は二度とさらさないからな!」

「そうですかい……」


 残念だ。少女ハイリのあられもない姿も良かったとはいえ、今のお姉さんハイリのあんな姿も見てみたかったんけどな! ……なんて思っちゃったよ。社会的にやばいな俺。引きこもり時代に数多くのエロゲをたしなみ過ぎた弊害かも知れない。みんなもやりすぎには気を付けよう! やりすぎ、にはね!


 甚だどうでもいい思考を続けていると、不意に視界が開けると、川が流れ、その両側に砂利が敷き詰められた、広めの場所に出た。


「けっこう登ったかな……」


 思わず声が漏れる。


「今回の鉱脈調査はここを拠点にしようと思う。今日の所はこれから野営の準備をして、明日から調査を開始するつもりだけど、それでいいかいみんな?」

「「イエス!」」


 隊員は相変わらずバリクさんの号令に大きく返すと、せっせと用意を始める。

 俺の背負う荷物にも野営設備は入ってるはずなので、それを背中から降ろすと、今までかついでいたついでにテントを立てることにした。え、立て方? 講義で習った。






申し訳ありません。あまりにも次話との更新間隔を開けすぎたため、話の矛盾する事柄を書いてしましました。

 つきましては、この回にて、重要な改稿を施しました。内容は以下の通りです。


・騎士団の野営地となる場所を、「かつてゴーレムと戦った場所」から「川が流れその両側に砂利が敷き詰められた広めの場所」へと変更。


 この度は多大なる混乱を招いてしまったかと思いますので、改めまして読者の皆様にはお詫び申し上げます。



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