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タラッタリアへ

 朝、港に行き少し情報収集をしてからキアラと待ち合わせる場所へ来た。

 ただ、事が起きてから日がまだ浅いせいか、多少情報が錯そうしており、残念ながら有用な情報は得ていない。


「やっほー!」

「おう」


 明るい声と共に颯爽とキアラが手を振りながら駆け寄ってくるのでこちらも軽く挨拶しておく。

 その肩には元々かけていたのとは別にもう一つ袋をかけていた。


「念のためコリンは連れてこないようにしたけど、会いたかったら呼んでくるよー? コリンは会いたがってからさ」

「いやいい。あの元気さが懐かしくないって言えば嘘になるけど、状況が状況だからな」

「やっぱそうだよねー。あ、そうそう、これあげるよ」


 キアラが手に持つ紙袋をこちらに渡してきた。


「これは?」

「町人変装セットだよっ」

「町人変装セット?」


 言われたので中を見てみると、中にはそこらへんの人が着ていそうな布の服が入っていた。


「これを着れば騎士団だって分からないでしょ?」

「ああなるほど。でもこんなもんどうしたんだよ?」

「父親のおさがりですがどうかつかってやってください……」


 キアラが仰々しくこちらに礼をする。


「なるほどそうだったのか、ありがとう」


 一応朝方に服でも買おうとは思ったものの、手持ちの金では足りず買えなかったので非常にありがたい。

 にしてもこの世界の銀行って支店無いから不便だよなこういう時。王都の銀行に行けば十数万はあるから服も買えたんだけど……。

 この世界の銀行システムについて考えていると、視界の端でキアラが屈伸をしていた。


「よーしじゃあ早速情報収集にレッツゴー!」


 言うやいなや駆けだそうとするので慌てて止めにかかる。


「ちょ、待て! だいたいは終わってるから!」

「え、そうなのー?」

「そうだよ……」

 

 返すと、キアラはあ二十メートルほど先からてくてくこちらへと戻って来た。

 てかこの子ちょっと足速すぎやしませんかね……。転生でチート補正でもあったのかな、だとすれば羨ましい限りだ。


「行動が早くて感心だねぇ、うんうん」

「どっちがだよ……」


 まぁこいつ、行動力の早さには定評があるからな。改めて身をもって知ったよ。


「して、情報収集の結果は?」


 呆れを通り越して感心していると、キアラが聞いてくるので、どうにも王都で騎士団は敗北し、代わりに軍が守り抜いたとなっていた事と、ついでにカルロスに会った事も話しておく。


「ほっほう……カルロスとカーターがこんなところにいたとはねぇ。挨拶してこよっかな?」


 刹那、キアラの背中に背負われた二本の槍が宙を切り裂くので急いでそれを制す。


「や、やめとけよ!? てか挨拶と言いながら槍を抜くな!」

「冗談だって冗談」


 キアラはエヘヘーと笑いながら槍をおさめる。

 そういえばカーターに一番怒ってたのこいつだもんな……。だからって殺そうとするなよって感じだけど。いや冗談としてもね?


「でもそっかー、やっぱり騎士団負けてたのかー」

「ああ、それは確定だろうな」


 でも本当に騎士団も敵わないような相手――怪術師に軍ごときが勝てるのか? 剣を折られたくらいで心まで折れそうになる奴らだろ? 言っちゃ悪いけど、とてもそんな腑抜けに怪術師に勝てる力があるとは思えない。仮に勝ったとしてもどうやってあいつらを倒したんだ。決定的な弱点でも知ってたんだろうか。

 ってあれ? ……いや待てよ。もしかしたらあるんじゃないのか、王都を守り切る方法。いやでも、まさかな。


「他に何か情報は?」

「え、ああ。あとはなんか他国の攻撃だとか、そもそも今回の事件は全部嘘だとか、根も葉もない情報ばっかりだったよ。他国から攻められるとか平和条約破棄って事になって破棄した国が大陸の国全部敵に回す事になるからあるわけが無いってのにな」


 朝の港は王都の話が持ちきりだったものの、噂が噂を呼んでもう混沌とした感じだった。中には天から神の使役が来ただとか宗教団体が言いそうな話まであったからな……。


「なるほどねぇ。とりあえずこれからどうしよ?」


 これからはもう決まっている。


「タラッタリアに向かうつもりだ」

「タラッタリアかー」

「ああ。あまりここに長居してもいつ下手打っちゃうか分からないからな。それに、騎士団のいるあそこなら安全だろうし、信用できる情報を得られるだろう」

「でも本当に安全か分からないよ? もしかしたら本当に騎士団が悪いのかもしれないし」

「その通りだ。だからキアラはここに残るという選択もある」

「え、なんで? 私もタラッタリアに行くよ?」


 もしかしたら家族と会った事でと少し期待していたが、やはり無駄だった。


「そう言うと思ったよ。じゃあとりあえず行くか」

「りょーかい!」


 キアラの元気な返事と共に、馬の置いてある森の中へと向かった。




話に兼ね合いで短くなってしまいました(ー ー;)

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