Episode2【目覚め】
ZEENの操縦は脳波コントロールみたいなものです
操縦をする必要はありません、お得ですね!
「俺の刃に切り刻まれろォォ!!!!」
そう言うとカマイタチはマシーンの両腕についた大きな刃を振り回し接近してきた。
「何スかあのスピード!あんなどデカいもんつけてるのにっス!」
「ケケケ、俺のZEENはカッターでなァ!速くて鋭い最強のZEENなんだよォ!!」
一回、二回、三回と次々に斬撃を繰り出すカッター、それを紙一重でかわすセルバトラー各機。
「ユウガさん!これをよけるのもギリギリッスこのままじゃいつか!」
「わかっている!」
ユウガは腰に装備した煙幕弾のはいったミニバズーカを取り出し
「各機バズーカの合図と共に後退しろ!」
そう言うとユウガは煙幕弾を撃った、それにあわせて各機が後退していく。
それをみたカマイタチは
「あ?下がんのかァ?無駄なんだよなァ!!そォんな作戦!!!」
カマイタチは構えをかえ、静かに静止した。
「ヤツめ、攻撃をやめた?何を考えて…」
「どうするユウガ、作戦は変える?」
「いや、このまま後退、遠距離で攻撃し、牽制したのち、スキを見てコアを奪回して撤退する」
「わかったわ」「了解ッス」
セルバトラーとカッターの距離がさらに離れていく。
「ケケケ、そろそろかなァァア」
カッターが腕を大きく振り上げた、そして、それを素早く振り下げた、すると
凄まじい速さでニケルの方へと何かが飛んでいった。
「!?」
その正体は斬撃だった。
「避けろ!ニケェェェル!!」
「な、何スかァァァァァァァァ!!!」
カッターの放った斬撃が空を飛んでいき、そのままニケルのセルバトラーに直撃した。
セルバトラーは爆発し機体の胸部からコックピッドが射出された。
「ユウガ!ニケルが!」
「大丈夫だ、緊急脱出システムが護ってくれる、ニケルは後で回収する」
「オラオラァ!逃げろよォ!避けろよォ!!」
そう言ってカマイタチはさらに刃を振り回し斬撃を飛ばした。それも二つや三つではなく、二十、三十もの数の斬撃を飛ばしてきた。
「ケケケ、どうだァ見たか!これが俺の必殺技【サウザンドカット】だァ!!」
繰り出された無数の斬撃がセルバトラーを襲う。
「く、まさか斬撃が飛ぶなどとは!」
「なんて数なの!捌ききれない!」
「セイラ、かわしつつ後退だ!」
飛んできた斬撃を小型ナイフ、ミニガンで相殺するも、防ぎきれずに斬撃がかすった。
「く、被弾した、いや被斬か?」
「馬鹿なこと言ってないで後退しなさいよ!」
そんな会話の中、二機はサウザンドカットの射程内からの脱出に成功した。
「どうするのさユウガ、近づいても離れても斬撃が来るんじゃ倒せないよ!」
シイラが指摘してくる。
「シイラ、お前はここでヤツのスキを見て狙撃しろ、俺は中距離からヤツを牽制する」
ユウガが作戦を提案する。
「ちょっと!それじゃあユウガが的になっちゃうじゃない」
「いや、的になるのは俺じゃない」
そう言うとユウガは上を指した。
「上?あっ!!」
上空には白い機体が五機こちらへ接近していた。
「あれは国際連合軍のザーグ?、国連軍も動き出したのね!」
「ああ、国連には悪いが利用させてもらう」
「ふーん、そういうことね、わかったわ」
「よし、作戦開始だ!」
作戦開始、その合図でユウガは影に隠れシイラは高台へと移動した。
「こちら隊長機、各機ついて来てるか!」
「ハッ、全機無事であります」
「最後尾!隊列が乱れる!速度を上げんか!」
「す、すみません隊長」
「ったく、未確認の鹵獲ってのに気が抜けすぎだお前ら!」
国連軍のザーグはV字型の隊列をつくりZEENに近づいていった。
「あーあー未確認のパイロットに告ぐ、ただちに武装解除し投降せよ、さもなくばこちらは武力行使に移る、繰り返す、ただちに武装解除し投降せよ」
隊長がカマイタチに呼びかける。
「なんだァ?国連かァ?丁度いいぜェ…俺のZEENを世界に知らしめるいい機会だ」
カッターは斬撃の構えをとった
「隊長、未確認に投降する素振ありません」
「よぉし、全機攻撃だ、無反応だった時のため撃墜許可取ってている」
「了解、攻撃開始!ミサイルを撃つぞ!」
ザーグは隊列を変えミサイルの発射体勢にはいった。
「ケケケ、コイツァお笑いだ!ンなモンでこの俺を倒そうなんてなァァァ!!!」
カマイタチは斬撃を飛ばした。
「た!隊長!未確認が攻撃してきました!!」
「バカヤロゥ!あたりめぇだ!全機散開!!」
「駄目です、速すぎますぅ!う、うわああ!!」
斬撃が後方のザーグ二機に直撃した。
「くっそぉ!!!よくもぉぉぉ!!」
隊員の一人がカッターに向かって突撃していった。
「バカヤロウ!!隊列を崩すなぁ!!!」
「仲間の仇ィ!!!」
だがカマイタチは焦る素振も無く
「甘ェェェんだよォ!!!サァァウザンドカットォォォォ!!!!!」
「グアッ!?クソっ…仇もとれずにっ…!うあああああ!!」
無惨にも突っ込んだザーグはバラバラになり残ったのは隊長機と隊員機の二機だけだった。
「隊長…一体どうしたら」
「軍人に逃げ場は無い、死ぬまで戦え」
「た…隊長」
そうしている間にも斬撃は飛び続けている、その中で隊長機は斬撃を避けつつ前進していく。
「クッ・・・」
斬撃が脚のパーツに当たり減速した、減速したスピードではうまく避けることができず、次々に身体に斬撃の痕がついてゆく。
「せ…めて・・・一発で・・・も・・・」
隊長機が爆発すると同時に、装備してあったミサイルが発射された。
「ヘヘッ!この程度のミサイルでェ!!!」
カッターはミサイルを叩き切った。すると爆発がおこり辺りが煙に包まれた。
「やったか…?」
残された隊員が呟いた
「…所詮…軍の兵器なんてこんなもんかァ」
「ヒッ…」
煙から出てきたのは先ほどと何も変わらない無傷のカッターだった。
「さて、そろそろ終わらせるかァ…ケケケ」
「うわああ!くるなぁ!くるなぁ!」
「そのまま動くなよォ!!切ィィり刻んでやるからよォォォォォ!!!!」
腕を振り上げ凄い速さで接近してくるカッター
「いくぜェェ!!サウザンッ!!!カァ!?ォォォォイ!?」
カッターが技を繰り出そうとした瞬間カッターの上半身が爆発に包まれた。
「誰だァァ!!邪魔しやがったのはァ!!」
「馬鹿か貴様、この短時間で俺達を忘れるとはな」
爆撃の正体はユウガの放ったグレネードだった。
「クッソ!!前が見えねェェェ!!!」
爆風で砂が巻き上げられ何も見えない
「シイラ!撃て!」
「言われなくてもォ!!」
その遥か遠くでシイラは引き金を引いた。
「狙撃かァ!!だがそんなんじゃZEENの装甲はなァァァ!!!」
「狙いは貴様では無い!!」
シイラの撃った狙撃弾は寸分の狂いも無くカッターの腰についているコアに直撃した。
「んなァ!!しまったァァ!!」
当たった反動で宙を舞うコア。
「よし!あとはアレを回収すればぁ!!」
ユウガがコアに手を伸ばす、そしてあと少しで届く、そんなときに
「させませんよ!」
コアに一筋の光線が当たった、その衝撃でコアはさらに奥の岩場へと飛んでいった。
「誰だ!」
ユウガは叫んだ
空からゆっくりとロケットを模したようなデザインのマシーンが降りて来る。
「おや、お初にお目にかかります、私、ブラッドのZEENパイロット、ブーストと申します、ZEENはロケットです」
「…ZEENが二機とは俺も随分と運がないな」
流砂がおさまりカッターが出てきた
「遅ェェェんだよォ!クソが!」
「ごめんね、昼食作りに時間かかってね」
「んなこったァ後にしやがれェェ!!」
作戦に失敗したユウガは
「シイラ聞こえるな…」
「聞こえるよ、失敗…だよね」
「俺はこのまま二機の注意を引いてここから離れる、お前はなんとかコアを回収し撤退しろ」
「無理だよ!相手はZEEN、それも二機だよ!?」
「やらずに死ぬよりはマシだ、いくぞ!!」
ユウガは右手にナイフ、左手にバズーカを持ち、カッターの後ろへ回り込むように走った。
「かかって来い!ZEEN共!お前ら如き俺一人で十分だ!!」
「ンだとォ!オラアアァァァァ!チョーシこいてんじゃァねェェェェェぞォォォ!!!」
「(よし、かかったか!)」
相手が挑発に乗ったのを確認して、ユウガは少しずつ後退していった。
「甘いよ、君」
そこに一声いれたのはブーストだった。
「私達をコアから放して回収する作戦のようですが、そんな挑発なんて単細胞のカマイタチぐらいにしか効きませんよ」
ブーストはそう言ってロケットをシイラの方へとの動かした。
「ク、行かせるかァ!!!」
そこにユウガが道をふさぐように回り込んだ。
「甘いと言ったはずだよね!加速ッ!!」
加速の掛け声と共にロケットの背中から赤い炎のような物が出て立ちふさがったユウガをひらりとかわし直進していった。
「まずい!逃げろ!シイ…!!」
「テメェの相手は俺だァァァ!!!」
追いかけようとしたユウガの前にカッターが現れる
「クソッ…!」
セルバトラー単機ではZEENの性能には遠く及ばない、ユウガが諦めかけたその時。
!!!!!!!!!
「何だ!この振動は!」
グラグラと地面が揺れ、地響きが鳴り響き、一機のマシーンが猛スピードで姿を現した。
「あれは…あのZEENは…」
【ハヤトView】
「すげぇ、あのマシーンでっかい刃ついてるのになんて速さなんだ…」
ハヤトはセルバトラーとカッターの戦いを見ていて思った。
「あの三機も凄いコンビネーションだけど、性能が違いすぎる」
カッターが斬撃をとばし、一機を撃墜した。
「嘘だろ!斬撃を飛ばした!どんな構造だよ!」
その後何回も斬撃を飛ばし、相手を後退させていった。
そして、上空でマシーンのジェット音が聞こえた。
「ん?この音」
来たのは国連軍の主力マシーンザーグだった。
ザーグは飛行形態から地上、水中など様々な場所に適した人型のマシーンになることのできる可変式マシーンであり、接近してくるザーグは、空中戦に特化した空中専用ザーグであった。
「やっぱり、国連のザーグだ、あのマシーンを鹵獲しに来たのか!」
「あーあー未確認のパイロットに告ぐ、ただちに武装解除し投降せよ、さもなくばこちらは武力行使に移る」
ザーグは投降の意思が無い事を確認したら、隊列を攻撃態勢へと変えた。
「そろそろ避難するか?ここでドンパチされたら少し危険かも…」
しかし避難するかの答えが出る前に、斬撃によって二機のザーグが破壊された。
「馬鹿な!国連のマシーンがこうもあっさり!」
ハヤトは驚愕していた、その後もさらに二機のザーグが破壊され、ザーグ隊はほぼ壊滅していた。
「いったい何なんだ!あのマシーン、強さが尋常じゃない!」
最後のジーンに斬撃を喰らわせようとしたとき、死角からセルのマシーンがバズーカを撃った、砂が巻き上がり、ハヤタのところまで辺りが見えなくなった。
「凄い爆風だ…何も見えない」
ビームの発射音のような音が聞こえた
「何だ、何が起こっている…!」
次にゴゴゴと大きな音が近づいてくる、とても大きな音が。
「何だ何だ!何かが近づいてくr…」
グシャ
ハヤトはコアの下敷きになった
「ここは…どこだ…?」
目が覚めたときハヤトは暗闇の中にいた、前も後ろもわからない中を手探りで調べてゆく。
どうやらハヤトはは正方形の箱のような場所の中にいるようだった。
「俺…マシーンの戦いを見て…それから…」
「〝お前は死んだ〟」
「誰だ!?」
ハヤトの頭に声が流れてくる
「〝お前は我を知っているはずだ〟」
「お前…あのマシーンか!」
ハヤトは本能的に悟った、この声の主があのマシーンであると。
「〝戦え…戦え…我がファクター〟」
すると何も無い空間から椅子のようなものが生成された。
「戦え?戦うって何だよ!教えろ!一体俺に何をさせるつもりだ!」
返事は無かった、残ったのは異様な威圧感を放つ椅子だけであった。
「俺が死んだ?戦う?一体何なんだ!?俺が何かしたのか!?」
ハヤトが軽く混乱していると地面から触手のような物が生え、そのままハヤトを椅子へ押し込んだ。
「なっ!何だこれ!クッ…離れない!」
両手、両足共に締め付けられ動かせない。
さらに椅子の隙間から触手が生えハヤトの腕と脚に刺さった。
「ぐあぁあああああああああ!!!!!」
あまりの痛みに絶叫するハヤト
地面が揺れ何かが動いた
次に顔付近にゴーグルが創られていく、
「ハァ…何かが…見える…これは…外…なのか…?」
ゴーグルを通して見えたのは先ほど戦闘のあった場所だった。
そこには二機のZEENとセルバトラーが映っていた。
「あのマシーン…さっきより小さい…?」
ハヤトはマシーンを見て言った
「いや、俺がでかく…なっているのか」
「〝お前は我となり戦う〟」
「我となる?つまりこれは、お前の見てる景色ってことか!?」
「〝戦え…ファクター〟」
「戦うってあいつらとか!?何故だ!?」
「〝ZEENの宿命だ〟」
「ZEEN?このマシーンの名か!?教えろ!」
「〝時間が無い、ゆくぞ〟」
「!?」
視点が急に動いた、すさましい足音と共にZEENは走る、そして二機のZEENの元へ向かった。