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殴り書きとか

ぬいぐるみ

作者: 三隅 凛

 子供が居た。彼(あるいは彼女)は外に出る事がなく、家には悪趣味な主人が居る。彼はその主人の悪趣味な遊び、より正確に言うと虐待、を日常的に受けていた。

 そんな彼はある日ぬいぐるみを買い与えられる。残念ながらもう素直にぬいぐるみで喜べるような育ち方をしていなかった彼は、何かあるなと冷静に分析する。その通りで、子供がぬいぐるみを大事にして暫くしてから、主人はぬいぐるみを捨てようと企んでいた。

偶然その企みを知った彼は、ぬいぐるみを細切れにして燃やした。主人を喜ばせた方が暴力という実害が少ない事はとうの昔に理解していた。それでも悩む事なく、それどころか殆ど考える事なく、ぬいぐるみを処理した。大して悲しくないのに悲しい振りでもしておいた方が主人が喜ぶのは明白で、企みが上手くいかなかったと追加で暴力を受けるかもしれないのに。実際は幾らか不機嫌になっただけで、大した被害拡大にはならなかったのだけれど。

 何故、あんな事をしたのだろう。悪趣味な主人を嘲りたかったのかもしれない。今更ぬいぐるみくらいで、喜ぶと思っているのか、と。

 

 自分が思っていたよりも、自分はそのぬいぐるみに執着していたのかもしれない。他人の手に渡したくない程には。そんな風に、数年前の事を初めて真剣に考えた。同じデザインのぬいぐるみをショーウィンドウで見つけたから。

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