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神の悪戯  作者: 山本正純
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 午前9時。警視庁の会議室に『東都西公園死体遺棄事件』の捜査本部が設立された。

 捜査本部の正面の席に千間刑事部長が座り、捜査会議が始まった。号令の後で北条はモニターに防犯カメラの映像を映す。

「これは東都西公園の駐車場に設置されていた防犯カメラの映像です。午前1時に一台の自動車が停まりました。暗いため人相は分かりませんが、犯人は2人組の可能性が高いと思います」

 映像の中で2人組の人影は自動車から寝袋やスコップを取り出していた。

「この映像から分かるように、犯人は岡野さんの遺体を寝袋に詰め、運んだものと思われます。さらにこの2人組が犯人であるという根拠として、防犯カメラの映像を早送りしてみます」

 防犯カメラの映像が早送りされていく。その映像には怪しい人影が写っていなかった。それどころか2月3日の深夜の時間帯に東都西公園を訪れた人物は午前1時頃に映った怪しい2人組の人影しかいないことが分かった。

「犯人はこの2人組の可能性が高いということか。北条。この防犯カメラの映像を解析して、犯人が乗っていた自動車のナンバープレートを特定できないのか」

「やってみます」


 千間からの指示を受け北条は会議室を退室した。その後木原は近隣住民の目撃証言について報告する。

「午前0時45分頃、コンビニヘブンマートに挙動不審な男が来店したそうです。その男は焦っているように見えたそうです。その防犯カメラの映像を借りていますので、後ほど北条さんに解析してもらいます」

 報告を聞き大野が手を挙げた。

「因みにその人物はコンビニで何を買ったのですか」

「タバコを一箱です」

「やっぱりそうですか」

 大野は何かを確信すると、木原に続くように報告を始めた。

「現場となった東都西公園にタバコの吸い殻が落ちていました。東都西公園は禁煙ですから、公園内からタバコの吸い殻が発見されることはあり得ません。そして先ほどの証言から犯人はタバコを吸うことで気を落ち着かせようとしたと推理することが可能です。それ以外の遺留品は発見されませんでした」

「つまり2人組の犯人の内一人は喫煙者だったということか。犯人特定まで時間の問題だ。犯人に繋がる目撃証言を集め電光石火の如く犯人を検挙する。捜査会議は以上で終わりだ」

 捜査会議が終わり、刑事たちは会議室を退室した。


 その頃松本叶は豪邸の居間でテレビのニュースを見ていた。

『次のニュースです。午前1時頃東都西公園で男性の遺体が発見されました。遺体の身元は岡野友則さん。59歳。警視庁は目撃証言を募集しています』

 そのニュース番組はテロップで電話番号が表示されていた。そのニュースを確認すると松本叶はテレビの電源を切った。

「目撃証言」

「時間の問題ですか」

 ソファーに座っていた松本叶の背後から執事に変装したラグエルが声をかけた。

「目撃証言という言葉が気になって。もしかしたらあの2人がミスを犯したのかもしれないよね」

「大丈夫ですよ。あの2人がミスを犯そうが、関係ありません。それにあの事実が公にならない限り、あなた方と岡野との接点はみつからないでしょう。捜査一課がこの洋館に辿り着いたとしても、彼はこの洋館を訪れていないと証言すれば、警察を欺くことができる。さらにお父上の力を使えば事件自体を隠蔽することも可能」

「あなたの口から隠蔽という言葉が聞けるとは思わなかった」

「僕は野々原です。あなたが知っている愛澤春樹ではありません」

 その言葉を聞き松本叶は微笑んだ。


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