表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の悪戯  作者: 山本正純
2/16

 2月4日。午前1時。東都西公園の駐車場に一台の自動車が停車した。

 その自動車に乗っているのは2人の男。助手席に座っていた長谷川は自動車から降りると、後部座席のドアを開け、後部座席に置かれた寝袋を担ぐ。

「本当にやるのか」

 長谷川が聞くと、運転席に座っている、櫟井連が頷いた。

「仕方ないだろう。お嬢様のためだ」

「そうじゃない。ここ以外にも場所ならいくらでもあるって言っているんだ」

「馬鹿か。ここ以外にどこがある。お嬢様との接点がある場所を選んだら元も子もない。それにここから脱出するには警察の検問を通らなければならない。警察の検問に捕まったら、全てが終わる。ここに捨てるしかないのさ」

「分かった。道具は後ろに積んである。早くしよう」

 櫟井連が道具を担ぐと、2つの影は公園の森に向かって歩いた。


 3分後2人は森の中に立っていた。2人はスコップを手にしている。長谷川が寝袋を開けるとそこには男の遺体があった。

 これから2人は男の遺体を埋めようとしている。2人がスコップで地面を掘ろうとした時、櫟井の携帯電話が鳴った。

「お嬢様。今作業中でございます。ご安心ください。我々に任せておけば完全犯罪ですから」

『分かった』

 お嬢様と呼ばれた若手議員松本叶は洋館の一室で電話を切る。そんな彼女の前には一人の灰色のスーツを着た男がソファーに座っている。その男の名前は愛澤春樹。テロ組織退屈な天使たちの幹部だ。

「愛澤さん。すみませんね。こんな時間に呼び出して」

「構いません」

「これからどうしますか」

「隠蔽するしかないでしょう。死体遺棄をしたのはあの2人の意思です。その意思をあなたは無駄にするつもりですか。ただ捜査を担当するのが警視庁捜査一課三係だったら厄介です。ご存じでしょう。政界の人間でも」

「彼らの正義は政界の闇までも暴くそうですね」

「大丈夫です。僕はあなたの味方ですから。味方になる条件として、1週間ほど執事として雇ってもらえませんか。もちろん変装をします。ご希望ならあなたが望む顔のイケメン執事に変装しますが」

「分かった。今日から働いてくれ。顔は任せる。ブサイクでも構わない」

「分かりました。約束は守ってください」

 

 愛澤春樹が変装をするための部屋を借りた頃、レミエルは首都高速を愛車であるポルシェ・ボクスターで走っていた。その助手席にはウリエルが乗っている。ウリエルはサマエルからの電話を受けていた。

「間違いありませんか」

『間違いない。これが神の悪戯という奴だろう。そのことでラグエルが潜入捜査をしている』

「結構早いですね」

『それを含めての神の悪戯だ。これは想定外だから早めに対処した方がいい』

「了解です」

 ウリエルは電話を切り、運転手のレミエルに報告する。

「サマエルからです。神の悪戯は早めに対処しろとのことでした」

「対処のためなら狙撃してもいいんだよな」

「構わないそうですよ。許可は受けています」

「それはよかった」

 レミエルは笑いながら愛車を走らせる。夜明けは近い。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ