詩 小雨の時の彼女
掲載日:2026/05/03
途中で小雨が降ってきた。
隣には自慢の彼女がいる。
「雨だ」
彼女が可愛い声で言い、空を見上げる。
こういう時は、男がエスコートするものだと思い、傘をさそうと思ったが、カバンの中になかった。
まるでジョーカーをひいた時のようなバツの悪い顔をし、彼女を見る。
彼女も俺を見、2人の世界となる。
綺麗なブラウンの瞳。
俺の姿だけが映りこみ、両手をあげて嬉しくなる。
「あの…傘、忘れちゃった」
「うん」
彼女が短く答えたので、俺はとっさにブレザーを脱ぐ。それを彼女の頭にかぶせ、濡れないようにする。
彼女はびっくりしたようだが、俺は平気なふりをして、軽く口笛をふく。
「寒くない?」
「ううん、平気」
彼女の俯いた顔が、ベリーのように真っ赤に染まっていく。
俺は髪をかきあげ、水滴を飛ばす。
今の俺、かっこよくないか?
自画自賛したが、表面には出さず、黙る。
すると、彼女が言う。
「ありがとう」
どういたしましてと、笑顔を向ける。




