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双刀炎神《デュアルブレイム》  作者: ゆりゅ
目覚めた魔の龍
8/11

3-1

 管理棟最上階から一気に下へ駆け降りる。

 大股で、少しでも早く。

 とにかく、走った。

 生徒の間を抜き去る。

 技術科の教室。

 何処を探しても──彼女の姿は見当たらない。

 時間が経つたび、嫌な予感と焦りだけが膨らんでいく。

 息も絶え絶えになり、収穫もないまま彼女の教室を出る。

 すると、誰かが話しかけてきた。

「あの、結衣ちゃんなら──さっき」

 この子の姿は見覚えがある。

「君は、いつも結衣と一緒にいた──」

「親友のまゆみです。結衣ちゃんから話は聞いています。貴方の事も」

 話しかけてきたのは、俺の事を知っていたからだったのか。

「それで、探しているんですよね? 私、心当たりがあるんです」

「本当か? 悪いが、教えて欲しい──」

 縋る思いで、頼む。

「分かりました。最近ずっと様子が変だったから様子を見ていたんです。さっき、結衣ちゃんは、人気の少ない──技術科の校舎裏にある広場にいます」

 盲点だった。

 購買から既に離れていただなんて。

「分かった──ありがとう」

 お礼も軽く、足早にそこへ向かう。

 彼女の言っていた通り、校舎裏へ近づくほど──異様なオーラを感じ取れる。

 空気が重い。

 人気もどんどん少なくなっている。

 まるで、戻れない場所へ向かっている気がした。


 

 結衣は息を殺した。

 強烈な圧を感じる。

 何かが、息を潜めてずっと見ている。

 ──いる。

 誰? 

 認識した瞬間、更に気配が色濃くなる。

 無意識に刀に手を伸ばす。

 広場の真ん中、ただ1人佇む彼女。

 周りには死角、物陰。

 彼女は、意識を集中させた。

 目を閉じ、刀を構える。

 確実にいる何かに。

『私は気づいている』

 と、教えるかのように。

 その瞬間、風の向きが変わった。

 校舎の影が──動く。

 足音は一切ない。

 でも、極限まで高めた彼女の意識は──捉えた。

 殺意を持って振るわれたロングナイフを、ギリギリで防ぐ。

 身体と身体の間に刀とロングナイフを火花を散らす。

 結衣の前に、その暗殺者は姿を現した。

 全身が黒、フードを被っていて顔が見えない。

 だが、そのオーラは今までの敵とは次元が違う。

 濃厚な死の匂い。

 結衣は、それを前に一歩も退く気はない。

 退けば、この場所が地獄になると分かっていた。

 既に──戦いの火蓋は斬られた。

 決着は、死か生存か。

 その二択しか、あり得ない。

 初撃を受け止めた瞬間、腕が弾かれた。

 ──重い。

 異次元の怪力。

 受けることは死を意味すると理解した。

 一歩下がり、体制を立て直す。

 しかし、その僅かな隙を──奴は見逃さない。

 フード男は間合いを詰めてくる。

 心臓を狙った斬撃を、(きわ)で躱してみせる。

 ──速い、けれどギリギリ避けれる。

 対応できる。

 そう思った最中、奴は地面を抉る。

 踏み込んだ先には、生徒の姿が見えた。

 ──まさか。

 理解した瞬間、私は全力で追いかける。

 狙われた生徒を助けるために──。

 その判断が、致命的だった。

 背中を向けて走っていた奴が、いきなりコチラを向いた。

 策略により──おびき寄せられた。

 ナイフが腹部を切り裂き、血が流れる。

 必死に後ろへ飛んで、距離をとった。

 結衣は歯を食いしばった。

 立て。

 ここで──倒れるわけにはいかない。

 倒れたら、次はあの子だ。

 重症を負うも、まだ闘志は消えていない。

 あの子が離れた事を確認した結衣は、能力を使う。

「風月」

 彼女が刀を振ったその時、きみどり色の風の斬撃がフード男に向かって襲いかかる。

 刀を振う前から、風が色を持ち彼女に従っていた。

 能力の解放で、フード男を迎撃する。

 ベンチ、地面。

 風の斬撃が通った所が切り刻まれる。

 それでも奴は、凄まじい速度と身体能力で、躱し続ける。

 能力を使っても劣勢の状況は変わらない。

 背後を取られ、即座に振り向き攻撃。

 だが、反応され避けられた。

 奴の無慈悲な一撃は、結衣の脇腹を貫いた。

 追い込まれ、瀕死の状態。

 結衣は──悟った。

 ここで死ぬ。

 振るわれるナイフの視界を最後に、目を閉じた。

 その瞬間、金切り音が響いた。

 金属と金属が、削り合う音。

 でも、刀はもう握っていない。

 誰かが割り込んだ。

 真っ暗な視界の先に、誰かがいる。

 私は、理解した。

 助けられたんだと──。

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