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双刀炎神《デュアルブレイム》  作者: ゆりゅ
目覚めた魔の龍
12/15

4-1 不安と緊張

 戦闘が終わり──世良は束の間の日常へ戻っていた。

 もっとも、それは安らぎとは程遠いものだったが。

 今まで噂程度だった上位者の暗殺は、結衣への襲撃によって現実となった。

 学園内は一時騒然としたものの、学園長による安全性の保証と、ノアの『私が倒す』という一言で、表向きは沈静化している。

 だが、世良にとっての問題は別にあった。

「ノア……頼むから、これ以上横にいるのは辞めてくれないか?」

「どうして?」

 本気で分かっていないらしい。

 周囲から突き刺さる視線を、ノアはまるで気にも留めていなかった。

「皆、特に男子が俺を睨んでるんだよ……」

「そう? 私は気にしないけどね」

 ──お前が気にしなくても、俺は気にするんだ。

「それにアンタは監視対象よ。いつ、その力が暴走してもおかしくないの。いざとなったら──」

 その視線はまるで、敵を見ているかのようだ。

 言葉の続きを、世良は聞かなかった。

「せめてトイレまで付いてくるのはやめてくれ。視線が痛い」

「今更そんなこと気にするの? 意外ね」

「お前は俺を何だと思ってるんだ……」

 ノアとの関係は、あくまで任務。

 そう言い聞かせるしかなかった。

戦闘科アサシン所属、赤瀬ノア。至急、管理棟最上階の学園長室まで来なさい』

 ──チャイムが告げる。

「私、行ってくるから。絶対に余計な行動を取らない事。分かった?」

「分かったから……普通に授業受けてるよ」

 


 赤瀬ノアは、チャイムの指示に従い足早に進む。

 学園長室。

 そこは、結界と防音の魔法が施されており、特定の人物や指定された生徒しか入る事は出来ない。

 塔を駆け上り、息一つ乱さず到着。

「失礼します」

 ノアは、淡々と入室。

「来ましたか、早かったですね」

 奥にいるのは、闘戦学園のトップ。

 城ヶ崎賢吾。

 杖をついているが、その立ち振る舞いは歴戦の強者を想像させる。

「あなたに来てもらったのは、他でもない。今回の事件についてです。今後の対策も交えながら話そうと思っています」

 学園長は、タブレットを取り出して画面をスクロールさせている。

「まず今回の不知火結衣襲撃事件。これは予想通りでした。単独の上位者が狙われる──結衣さんは格好の的だったでしょう……ああいう子ほど、狙われる」

 ノアは、頷く。

「そうね。彼女も、自ら1人の空間を作り出していたし。あの二人の蟠りをいち早く察知して、速攻で首を狩りに来た。奴は素早い行動力と観察力を持ってると考えていいわね」

「はい。幾つもの監視網を張っているでしょう。既に──闘戦学園の一部にも入ってきている」

「それはまずいわね──もしかして、その対策が議題?」

「そうです。その対策として案があります。奴の監視網は複雑化しています。そう簡単には、解けない。しかし、事件が起こった場所には必ず魔力の残留がありました」

 魔力の残留。

 異形と激しい戦闘を繰り広げたあの場所には、強くハッキリと、色濃く魔力の残留が残っている。

 だからこそ、この対策の本質がすぐに理解出来た。

「魔力の残留が強い場所へ行き、調査する……これが対策?」

 ノアは、そう確信する。

「理解が早くて助かります。ですがもう少し付け足すとしたら──世良龍人を使うことです」

 ──使う?

 その言い方が、強く耳に残る。

「最強殺しには複数の部下を従えている。勿論、全員がSに匹敵するほどに強いと予想しています。だからこそ、世良龍人の魔龍化を使って、なるべく早く殲滅していただきたいのです」

「そう──上手くいくかしら」

 その言葉の意味には、複数の意味が込められている。

「その為の、保険があなたです。赤瀬ノア」

「……そういう事」

 ノアは完全に理解した。

「いざという時は──お願いしますね」

 学園長の本質を。

 彼を人として、見ていないことを──。

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