表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/60

どう…向き合えばいい?

 何日過ぎようと、私に向けられる目は、変わらなかった。気にしないようにしてみたが、どうしてもヒソヒソ声や視線が気になってしかたない。この視線はクラスだけでなく、他の学年からも向けられてる。


「早く隣国に帰りなさいよ」「なんであんな」

「いなければ」「邪魔」


 ホントはルディに物申したいが、会いに行けば余計悪化しそうで怖い。怖いから、ずっと避けて、逃げてる。


学園でも寮でも、休めない。唯一気を緩めることができるのは自分の部屋だけ。


ジュリ姐さんの訓練も身が入らない。



 剣と魔法の合同訓練の日が来てしまった。ルディもいる。あっという間に、他の生徒はパートナーを決めてしまった。本来なら、余らないはずの剣があぶれてしまった。 

「あれ?ナナシ、相手いないの?」

ロイは剣だから、パートナーにはなれない。訓練は参加したいが……

「仕方ない、私が臨時でパートナーになろう」

声が聞こえただけで、固まってしまった。ヤバいヤバい、ヒソヒソも視線も痛いよ。

「イ、イエ…、オ腹、イタくナッタ ノデ 見学 シマス!」

ルディを見ずに、訓練場の隅に逃げた。

いつまで耐えれるだろ。卒業までこのままかな…。



「あら?どうしたの?」

寮に戻ってきた。気だるくて、集中できなくなって早退した。ここに戻るのも、足が重かった。

「部屋で、休みます」

部屋に入りすぐ鍵をかけ、窓にカーテンをかける。


……1人で抱えるな

  ……お前は一人じゃない

    ……もっと周りを頼れ


 でも…、私がしなきゃ……

    剣も……魔法も……そうしないと……

      みんな…死んじゃう……


   魔法が…使えない……どうしよう……

     みんな……死んじゃう…

   魔法が………

    シスターが……

『貧困区のせいで!家族が苦しんでいるんだ!』

わたしたちも苦しんでる

『こんなとこがあるからいけないんだ!!』

     「あなたがいるから」

        「隣国へ帰りなさいよ」

やめて、わたしのせいじゃない


 これで…何人目?…………シスター?……

 グォーブさん!シスターが!


 ……あ、な、た、が、い、な、け、れ、ば………


外はすっかり暗くなってる。1回寝たから、すぐに寝れないけど、そのまま寝て過ごそう。お腹すいたけど…食堂に行く気力もない。


「ナナシちゃん、起きてる?」

ノックがして、ジュリ姐さんの声が聞こえた。扉は開けずに返事をした。

「窓、見れる?」

窓?重い体を起こし、窓へ近づきカーテンを開けた。真っ暗だ。星も月も見える。


「ナナ…」

見上げていた目線を、声の方へ落とした。

姿と声を聞いて、涙があふれ、止まらなくなった。

「ルディ…ごめ…なさ…い……ごめ…ん…」

「何に謝ってるのか…わからないな」

ほんとは合同訓練のとき、私とパートナーになってくれることが、うれしかったのに、周りの目や言葉が怖くなって逃げてしまった。きっとルディを傷つけた。そのことが、悔しくて…やりきれなくて、早退してしまった。

「私の方こそ、すまない。軽率だった」

窓越しに抱きしめてくれた。ますます涙が止まらなくなった。


 ひとしきり泣いて、やっと涙が止まった。泣きすぎて目が熱い。鼻水が出てびちゃびちゃだ。

「思い切り泣いたら、なんかスッキリしました」

「本当に…」

ルディの頭にチョップをした。

「ルディも悪くない。悪いのは、あのご令嬢方です」

ノックがして、ジュリ姐さんの声がした。

「水と、食事持ってきたわ」

昼から何も食べてなかったし、散々泣いたので余計にお腹が空いてしまった。

鍵を開け、食事を受けとってかぶりついた。

「殿下、今回だけだからね」

「ありがと」

お腹が落ちつたら、今度は腹が立ってきた。よくも私を追い詰めたな〜


でも、どうしたら……

「ルディ…本当に、申し訳なく思ってるならお願いがある」

ルディとジュリ姐さんに私の考えたことを話す。


「……。まじで?それするの?」

言葉を出さず頷き、ルディを見た。

「私から話すよ」

お願い、とルディを見送った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ