①−2 憂鬱な学園
もともと、友達という人は学園にはいない。話をすることは、多少あるが雑談ではなく、必要最低限の学園のことだけ。
呪われ襲われ、そんなことがあって、首謀者は捕まり罰を与えられて…
首謀者に同情する生徒がほとんどで、すべての元凶が私だと、近づかなくなっていた。
とても理不尽。被害者は私なのに……
訓練も参加できないし、学園も楽しくなくなった。
「暗い顔」
ロイ。もう少し、言い方があるでしょ?同じクラスなのに、あまり話しかけてこないくせに、こんな時に声かけて……。
「心配してやってんだよ。お前には返しきれない恩があるからな」
ロイとは、学園の入学前にあったんだっけ。きっかけはなんであれ、縁なんだろうな。単純バカで、ダブりで、
「無口のほうが可愛気があるぞ」
失礼な!
ロイを訓練場まで引っ張っていく。先に練習をしている生徒に謝って、場所を開けてもらった。
木剣をロイに投げて、自分も木剣を持って構える。
おいおい!失礼なこと言ってんじゃねぇーよ。
「おい!何怒ってんだよ」
怒るでしょうがっ。女心がわかってない!私はしゃべっていても、かわいい……気がする。
もやもやと怒りを一撃にぶつける。ロイはすべて受け止める。ロイの攻撃は突きが多い。どちらかと言えばフェンシングの感じ。速さはロイのほうが上。
ロイにはレイビアみたいな剣が合うかもしれない。
そういえばロイと手合わせするのは初めてだ。
「そこの2人!それまで!」
私達を止めたのは、グレアだ。
「グレアじゃん」
「エメルドはどうでもいい」
普通に名前で呼んでる。2人知り合い?
「君は殿下から止められているんじゃないか?」
…………
「ナナシは俺が誘ったんだ、少しくらい体動かしたっていいだろ」
ロイが庇ってくれた。私が無理やり引っ張ってきたのに…
いいヤツ。
「ま、そういうことにしとくよ」
よかった。
「黙っておくので、私とも相手、お願いします」
もちろん、いいけど……グレアは双剣なのでは?
どから出したのか、双剣の木剣を出してきた。
「私はこの武器がいいのでね、学園の許可をもらって作ったんです」
それもアリなのか…
グレアにお願いして、持たせてもらった。しっかり重みもある。木剣で、どうやって重みをつけんるだろ?
私は普通の木剣。グレアは双剣を構える。
手数が多い分、油断ができない。グレアとの手合わせは鍛冶屋以来で、久しぶり。
グレアの剣は一直線ではない。円を描くような軌道で私を狙ってくる。
以前は片方で剣を受け止め、もう片方で攻撃するスタイルだった。
今回は両剣で攻撃をしてくる。片方ずつのときと、両方のとき。こちらが攻撃を仕掛けると、すぐ片方で受け止められ攻撃される。2つの剣をみていないと交わすこともできない。
違う武器での訓練もありかも。普通の剣では動きはみんな同じだし……グレアのような武器は、観察力も洞察力養うし、私の動きも単調になりにくくなる。……けど、
剣を叩き落とされた。
疲れた。グレアの一撃一撃は強く、力をこめて受け止めていたから、手が痺れて、震える。
筋力もまだまだ。
「双剣の攻撃は初めてにしては、かなりついてこれてるね」
ついて行くのが、やっとで肺が苦しいくらい息切れをしている。
「体力と筋力をつけてからでないと、私の本気の攻撃は受けれないよ」
あれが本気でない?……手加減してくれていたんだ。手加減で、あの攻撃と動きとは……
私はまだまだだな。
ロイにも、グレアとの手合わせをするよう、手振りをしてみた。
「ムリムリっ。あんなのついけてねぇって」
残念。見てみたかったのに。
特にグレアの動きを。
剣でもグレアのような軌道を描けれるかな。
ロイはグレアと何か話していたので、お辞儀をした後、訓練場をあとにして、教室へもどった。