①−1 再び!私の学園生活
『ナナの心に、エンディングへのルート』からのストーリー3つ目です。
声が出なくなっても、学園に通うことにした。1人より、たくさんの人達と関わることが、精神的にも良い方向になるんではないかと思ったから。
首謀者は捕まってすでに流刑にされている。脅威は去ったので、午前だけの授業ではなく、午後も授業に出れるようになった。
ただ、医師からは『まず、昼休憩のときに自分の具合を確認し、よければ午後の授業に参加すること』と言われた。昼休憩に医務室へ行き、医務室の医師にてもらう。
始めのうちは、午前だけだったが、日数が経つと『午後の1科目まで』、『2科目まで』と増えていき、とうとう午後の授業全部出れるようになった。
放課後、生徒会室のメイズとシーブルに、助けてくれたことのお礼をするために訪れた。
「久しぶり!」
生徒会室にはメイズだけだった。シーブルは席を離れているようだった。
あの時、メイズの魔法でルディは怪我を免れた。剣は魔法を守ると言っても、死角がどうしてもできてしまう。そこから攻撃をされれば守りきれない。
「僕もあの時に、課題ができたんだよ」
ほぼ完璧なメイズが、課題?
「複数人に補助魔法を使うことが、あんなに大変だとは思わなかったよ。殿下って、すごいね!」
ルディが魔法を2人へ同時に使っていた。1人1人の状況を瞬時に判断し、必要な魔法を使う。時に1番難しい多重使用にだってなることもある。
「多重魔法の練習をしているところだよ」
自信満々で『どや』顔。多重使用は確かに難しいけどコツさえ分かれば、できるようになる。
生徒会長!頑張って!
「そんなことより、卒業できるか心配しろ」
書類や本を持って、シーブルが生徒会室に入ってきた。
「そんなことって………ひどいなぁ、重要なことだよ」
「お前の重要は〝卒業できず〟〝留年になる〟ことだ」
卒業すら危うい成績なんだ〜。もう1年、3学年をしてもいいと思うけど…
「ナナシ、またいつか手合わせをお願いしたい、今は生徒会の引き継ぎで忙しいが…」
手合わせは、もちろん歓迎なんだけど、あのハルバードを受け止めるのは、今の体力じゃ無理かな。
学園では訓練を止められている。
引きこもっていたこともあって、もう少し体力が戻ってからと言われている。
基礎体力つくりを騎士団の訓練場で行っている。
自分剣すら、重く感じるくらい体力が落ちている。
呪いのせいで、なかなか来れなかった生徒会室。せっかくだからと、生徒会の仕事を手伝う。
メイズにも生徒会長として、やるべきことはあるが、メイズの生徒会長はマスコット的。
メイズに憧れて生徒会に入りたい生徒はたくさん出てくる。
もしメイズが留年したら、生徒会長はそのままなのかな?その時には、いつも支えてくれてるシーブルは卒業しているから、誰がメイズの面倒をみるんだろ?
あっという間に、帰宅の時間になってしまい、生徒会室をあとにした。
「言わなくていいのかな」
「秘密にしとけと言われただろ」
馬車には、いつも通り、ルディが待っている。
馬車に乗降の時には手を差し伸べて支えてくれる。
お礼を言葉にしたいのに、声が出ないからもどかしい。
向かいに座ったルディに口を見るように指を口元に当てる。
『あ』『り』『が』『と』『う』
「どう、いたしまして」
口パクがわかったみたい。
いつになったら、声が出るようになるんだろう。声って、すごく大切だってことが、無くしたことで気付かされる。
伝えたいのに伝えれないことが…もどかしくて……
苦しいしくて、悲しい気持ちになった。




