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②−1 ルディと里帰り

『ナナの心に、エンディングへのルート』の話からの2番目のルートストーリーです。

 声がでなくなってしまった。

『精神的なものでしょう。時が経てば、また声が出るようになります』とも、言われたが1カ月たった今も声がでない。


 イザベラから、会いたいと手紙が届いた。こちらに行きたいが、子育てで忙しいので、来てほしいという内容だった。

 ずっと王城で過ごしていたので、気分転換にと生まれ育った国へ行くことにした。


1人ではなく、ルディといっしょに。

ルディもイザベラに会いたいのだそう。


馬車酔い対策として、クッションが良くて、横にもなれる座席。届けて貰ったミント液。締め付けの少ない服装。換気もできる窓。休憩も含め、ゆとりのある日程を組んだ。



私の国からルディの国に行った時の逆の道のり。1年ほどしか経っていないのに、知らない道を走っているかのよう。

「外を見たら、また酔うよ?」

舗装されている街と比べて、郊外の道は均してあるもののガタガタと揺れる。

「ナナが酔わないように、道の整備が必要だね」

郊外の道を舗装しようとすれば、維持費がかかるし、道を使うのは馬車だけではないはず。荷物をたくさん積んだ荷車、普通に歩く人たち。野生の動物だって横切る。

雨が降れば泥濘むし、荷物の重みで道は歪む。


整備ができれば、人の行き来が増え、流通も良くなる。

でも、道の維持だけでなく、盗賊の犯罪集団にどうするかも考えないと。


なんて、考え込んでいたら…、また酔った。

ふらふらしながら、馬車の外で休憩をする。

「何を考えていたのかな?」

道のことを……。声がでないから、どう伝えればいいのかな。


小枝が目にとまり、手に取ってから地面に文字を書いた。考えていた道の利点と問題点。

「国に来る人が増えることは、経済的にも国が潤う。他国から来る犯罪も対策が必要になるな」

地面に書いては消しての繰り返しで、記録できないから、忘れてしまったらおしまいだ。

ペンとノートがほしい。

「次の町で買おうか」

……!言ってないのに、なんでわかったの?

「ふふ…、書いて消して、大変そうだなって。書いてた小枝を見て、ため息ついていたから」

そんなふうにしているところも、しっかり見られてたんだね。

「馬車の中では書くことは、禁止だからね」

……はい。


町に着いて、一先ず宿で休む。

余裕があれば、その日のうちに、お店でペンとノートを購入する。

……予定でした。宿に着いたまではよかったのだけど、久しぶりの長距離馬車で、世界が回った。

ルディは予想はしていたみたい。だから、まめに休憩をしたし…。

私が引きこもっていた間に体力が落ちたことが原因なのかもしれない。


またルディに、めいわ…

「迷惑じゃないからね」

なんで私の思ってること、わかっちゃうかな〜。もしかして…顔に出てる?

……、………出てたみたい。

ゆっくり行っても酔うんだったら、思い切って最大速度で行けるとこまで行ってもいいんでは?

「無謀なことを考えないの」

…、私の考えていることがわかるのは、ルディの能力なのでは?


『魔力が見える』改め、『私限定、読心術』


私限定って、自分で言ってて恥ずかしい。ルディを見たけど、読心術は分からなかったみたい。


翌日、ペンとノートを購入し、この町を発った。

あの揺れる馬車の中でルディは、昨日地面に書いた内容をわかりやすくまとめて書いていた。

酔うからと、馬車の中では見せてはくれない。


休憩の時に、ノートを読み、気がついたこと、思いついたことをノートの端に書いて、馬車の中で、それについてルディが意見を述べる。


そんなことをしていたら、あまり酔わなかった。ノートのまとめ方がキレイで、前世の私に見せてあげたいくらいだ。私のノートはただ黒板を書き写すだけのものだったから。読み返しても役にはたたなかった。



ミントの町に到着した。ミントの抽出液はここから送られた。

町の中はミントの香りで溢れている。

宿の人は、私のことを覚えてて、ミントの商品が好評だと喜んでた。私が声が出せないことを知ると、宿のおばちゃんが抱きしめてくれた。

あの時立ち寄ったときにはなかった、ミントの畑ができていた。しかも規模が大きい。


今回の旅も、香りで酔いが和らぎ、飲み物として喉を潤した。この町に、また来れてよかったと思う。ミントに出会えて感謝しかない。



この町から、イザベラの国まであと半分。久しぶりに親友に会える。貧困区の子供たちはどうしてるだろう。イザベラに会ったあとに、貧困区へ行ってみよう。

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