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お財布ゲットの依頼

 革製品店で、財布を(ルディが)値切ったら依頼を受けることになった。


あのあと、一旦寮に戻り、夕ご飯を食べ、剣を持って革製品店へ。ジュリさんに下着屋さんの件とこの後の事情を伝えた。

「なんですか!このメモ!」

「変なお店なかったはずよ?」

違う…。メモの余計な文章のこと!

「なんですか!好みのって!」

ムキになって怒る私の頭をポンポンする。

「照れなくていいじゃない〜。いずれは必要になるわよ」

と、からかわれた。いずれって……それって……

か、顔が熱い。


 私は革製品店の閉店間際に到着する。依頼は…

『閉店してから、翌日の間に商品が必ず1点なくなっているのです。店内をくまなく探したのですが、見つからず…閉店後から翌日の開店時間まで、見張ってほしいのです。とりあえず1日だけ。犯人が見つかれば、あの財布を半額。見つからなくても3割引きにします』

と、いう依頼。見つからなくても割引してくれるから、ラッキー。

んで、その依頼を一緒に聞いてた、ルディも参加している。店内と外を別れて見張ることにし、私は店内。ルディは外を見張っている。


 待機すること…どれくらいだろ。外も中も真っ暗で、次第に目は慣れてきたけど…

カタン…コト……かすかに音がした。微か過ぎて位置が定まらない。床から風魔法で網のように張り巡らせる。カタ…コト………。…触れた!


 倉庫か!素早く移動し、腕をひねり上げ後ろ手に捕まえた。ライトの魔法で倉庫内を確認する。男の側にバックが落ち、隅の方には床板が外れている。

「はーい、大人しくしてねー。しないなら、強制的に、動かせなくする方法もあるけど…痛いよ?」

「そんなハッタリ信じるかよ!」

「ハッタリじゃないよー。まず、両腕折って、両足折るの……、?……あなた、痩せすぎじゃ」

「ナナ!」

物音で気づいたのか、ルディが駆け込んで来た。

「犯人捕まえたので…店長さんには……朝でいいか」

捕まえた男は、あまりにも痩せていて、あの床から出てくるために痩せた……わけではなさそうだ。

「ルディ、この時間に食事できるところってあるかな?」

「たぶん居酒屋しかないと思う」

「じゃ、その居酒屋でお持ち帰りで買ってきてほしい、3人分」

お金を渡したが、突き返された。

「私が出すから」

「お願い」

ルディが行ったのを確認してから、もう一度男を見る。痩せた男は、食べ物もろくになかった貧困区の人たちを思い出させる。

「事情があるんでしょ?」

男は警戒しているが、痩せてるせいもあって、抵抗する体力はないようだ。

「名前は?」

「………ロイ」

「ロイくん!」

「くん、じゃねえよ。年下だと思うなよ」

体力はなくても、口は達者だ。

「何歳よ?」

「……17歳」

「なーんだ。そんなに変わんないね」


 ルディが走って戻ってきた。いい匂いがするが、革製品に匂いがついたらいけないので、魔法で匂いごと床板の外れた穴に送り込む。

「ルディ。こちらロイくん17歳です。さぁ食べよっ」

ロイはやっぱり、空腹だったようで、遠慮なくガツガツと食べた。


一息ついたところで、ロイに聞く。

「で、なんで盗んだの」

「借金があって…」


ロイが話したのは、街で木箱を運んでいた人とぶつかり、木箱の物品ワインが割れてしまった。そのワインは最高級の物で、弁償しろと言われ、その時通りがかった商会の人が肩代わりした。今度は商会に借金をしたことになり、生活費や学費も借金に充てたが足りず、今度はお金の代わりに依頼されたことをしないといけなくなった。


テンプレな詐欺だ。

「……ロイ、それ騙されてるよ」

「え?」

「ああ、始めからだな。ぶつかったやつもグルだ。おおよそ駒がほしかったんだろ」 

「そんな…」

借金の為に犯罪行為をさせられるなんて…やりきれないな。

「罰は受けて貰わないといけないが、これで犯罪の芽は摘める。ロイが証言をしてくれれば、悪いようにはしない」

「え?」

「こちら、この国の王太子フェルディオ殿下です」

驚き、慌てて土下座をした。あの、慌てふためくさまを見て笑ってしまった。

「ところで、あの床板の下って、どこに繋がってるの?」

「地下水路です。商会の人がそこから行けと言われまして…」

あー…商会の人、どこにどう繋がってるのか知ってるのか。



 次の日、店長に犯人を捕まえたことなど説明した。床板の剥がれてる部分は、早めにしかも頑丈に直すように伝えた。


 この犯罪の黒幕の商会は、盗んできた商品を裏ルートで横流しをして儲けていた。ロイが証言したことで、一網打尽。他にも騙さていた人もいて、解放された。商会の資金は革製品店や他の店の賠償に、充てられた。


 で、私は財布を選びに、再来店している。犯人捕まえて半額のところ、賠償金も出たので、1つ無料にしてくれた。色、悩むなー。

「2つの色の革を縫い合わせて、2色にできませんか?」

「できないこともないですが」

「工賃は払いますので」

赤と茶色を指定し、1週間後に受け取りにいく。

赤は私の髪色、茶色は……。



 ロイの罪は情状酌量の余地ありとなって、学園は1学年からやり直しとなった。

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