序章
新作です。書かせていただきました。よろしくお読みになっていただけましたら幸いです。お願い申し上げます。
カーリー=シェーンは孤独だった。
友人らしい友人はいなかったし、兄妹もいなかった上に、両親までも早くに亡くしていた。
両親は病気で亡くしたのだが、亡くなる直前に、カーリーの為にと高性能なアンドロイドを購入してこの家に残していた。
アンドロイドは母親によって、ジェームズと名付けられた。アンドロイドも男性の設定の方がなにかと頼りになるのではと思われ、母親によってそう設定がなされたのであった。
家事全般と警備、その他会話などをこなせる万能アンドロイドであった。
そんなジェームズとの出逢いは、カーリーが16歳の春のことだったのである。
西暦2112年、地球の人々の生活は、AIとアンドロイドとによって劇的に変化していた。労働とよばれ?ものの殆どはAIとアンドロイドとのするものに取って代わられ、人間の出る幕の殆どは無くなってしまったのだ。
ジェームズと出逢ってから三ヶ月程経った頃である。カーリーは彼の仕事の合間に訊いてみたことがある。
「ジェームズはいつも独りで仕事をしていて寂しさを感じることはないの?」
と。ジェームズは少し考えてから答えた。
「なあに。決して一人ではありませんよ。いつでもカーリー様のお側にいられます。カーリー様、貴方様なたのお側にいられるから、孤独とは感じませんよ」
カーリーはその返答がひどく気に入ってしまって、忘れられずにいたのであるが。こんなことも訊いてみたことはある。
「わたしご病気がちだからジェームズにもたいへんな思いをさせてごめんね。たいへんじゃない?」
カーリーは、難病を患っていた。いつでも身体が辛くあまり激しく動き回ることが出来なかったのだが、そのせいでジェームズとあまりゆっくり話せないのを苦にしていたのだ。
彼は答えた。
「貴方様と一緒にいられて辛いことなどあるものですか。私はカーリー様の為に。為だけに存在しております。それだけで満足にございます」
彼はいてでもそんなお決まりの変化等ばかりするかと思いきや、突然、
「カーリー様の夢はなんですか?」
などと変則的な質問をしてきたりなどもするのであった。
不意な質問に彼女は答えられず、「今度考えておくわ」
とだけ返したのだったけれど。
ジェームズは、アンドロイドとは言え、見た目上、人間とそっくりな外観を有していた。カーリーも彼と居ると、本当に人間とともに生きているのだと錯覚する程なのであった。
お読みになっていただきまして誠にありがとうございました。