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第五話

 孫策は俺の王城である、石城山を攻めて来た。

 今回は防衛戦だ。流石にあの数に、打って出ることはない。


「持って一ヵ月か。流石に兵力差があるな」


 俺は、楼閣から戦況を見ていた。

 だが幸いな事に孫策軍は、矢が少なかった。そして、俺達は、投石兵がメインだ。

 土地を利用した、戦術。小石はいくらでも手に入る。

 防衛戦だし、勢いだけの若造に遅れを取る事もない。


『行けっかな~。許昭次第なんだけどな~』


 内心冷汗が止まっていない。胃が痛い。

 まあ、そん時はそん時か。

 後は、袁胤だな~。孫策は、三国志演義と違い、袁胤より俺を優先して来た。同盟は組んでいないけど、互いの利益だよな~。

 希望的観測だけど、袁術には背後を突いて欲しいものだ。


 城は攻められたが、十日間守り通した。





 連絡が来た。


「許昭殿が、牛渚の要塞を落としたか。ふっ……予定通り過ぎて怖いな」――キラン


 周囲の将軍たちは、絶句してるよ。

 牛渚の要塞は、孫策軍の兵糧の集積所だ。元々張英の要塞であり、膨れ上がった孫策軍の補給基地でもある。

 これは、俺の転生知識だ。

 予定通り、大量の兵糧が手に入ったとのこと。

 孫策軍は、慌てて撤退だ。だが牛渚まで、一ヵ月はかかる。許昭が、兵糧を持ち出すのには十分な時間だろう。それと、要塞を破壊するように依頼してある。

 これで、孫策は軍を維持することはできなくなったはずだ。飢える兵士を抱える恐怖……。予定通り過ぎる。

 自分の計画の正確性が、恐ろしい。


「出陣するぞ! 着いて来い!」


「「「おお!!」」」


 孫策軍の殿(しんがり)は、太史慈だった。

 用兵も見事だ。だが、数が少ない。

 徳王軍は、包囲して削って行く。

 そうすると、太史慈が特攻して来た。


「いいだろう! 大将同士の一騎打ち、受けて立つぞ!」


「「「徳王様~!? 待って~!!」」」


 ――ガキン、ガキン、ガキン……


 数合打ち合う。手が痺れる。流石後世に名を残す武将だ。


「だが、まだまだだ!」


 俺は、馬ごと太史慈を叩き切った。


「徳王様が、太史慈を討ち取ったぞ~!」


「「「「「うおおお~~~! 徳王様~!!」」」」」


 部下が、喧伝してくれる。

 しかしなんだろう、俺の強さは……。転生特典?

 正史三国志の大将同士の一騎打ちなど、そんなになかった気がする。

 それに、俺が矛を振るうと、数人が吹き飛ぶ。まるで漫画の世界だ。

 三国志演義への転生だから、こんなもんかな?


 その後、孫策の殿軍を殲滅した。


「徳王様! 追撃の許可を!」


「ダメだ。罠を張って待ち構えている可能性がある。それに、補給のない軍なのだ。直に瓦解する」


 皆納得してないな。

 手柄を挙げるチャンスだけど、ここでの敗戦は将来に影響する。兵も将も減らしたくない。

 追撃の許可は出さなかった。





 その後孫策軍は、村々で略奪行為を始めた。

 まあ、そうなるよね。

 そして時間が経つにつれて、民衆の支持を失って行く。それに比例して、俺に忠誠を誓う部族が増えて行く。

 孫策が、曲阿城に着いた頃には、軍は瓦解していたとのことだ。劉繇の元居城で、孫策の仮の本拠地だ。

 だが孫策には、まだまだ優秀な部下が多数いる。

 油断は禁物だ。


 そして、江東江南の全ての部族が俺に恭順の意を示して来た。

 古の覇者と同じだな。

 外敵を防ぐ代わりに、貢物を送るのだとか。


「ふっ。覇者の真似事か。王であり覇者……。俺に相応しい称号だな」――キラン


 中二病全開で来たけど、すげぇ成果じゃない?

 やってみるもんだな。


「陛下、戦勝おめでとうございます」


「虞翻。各地の説得ご苦労だった。望む物を言え、何でも与えてやる」


「……徳王様の傍で、学ばせて頂きたい。それ以上の褒美などありえませぬ」


 俺の傍……? 元々山賊だったんだけど?


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