第一話 いとしのローズマリー
ああ、とうとうこの日が来たんだ。
私は感慨深く剛の物語のオープニングを堪能していた。
なんだかいい感じのヨーロッパの森。そして、BGMの格調のある音楽。
なんて言うのかな、あの楽器はチェンバロってやつだ。
ピアノの祖先のような楽器で、バッハの曲が有名だ。
バッハ…この曲はバッハなんだろうか…
そこは分からないけれど、なんだかいい感じのBGM。そして、そこからのナレーション。
うーん。なんか、こんな感じと言われれば、昭和の少女アニメってこんな出だしだったかもしれない。
ローズマリー
新郎にローズマリーの枝を渡して永遠に誓いをててた、伝説の花。
これは人生に翻弄されながらも、真実の愛に辿り着く物語である。
なんか、すごいナレーションから始まる。そして、その内容に不安になる。
昭和の少女漫画、結構、不幸設定なんだよなぁ。
なんて思っていると、笛の音が(O_O)
ヒョーって、悲しそうなイントロが嫌な予感を醸し出してる。
ああ、嫌いではない。嫌いではないけれどっ、でも、剛の話は、ハッピーエンドにしたいのよっ。
そして、なんての、今風な、ストレスフリーの溺愛ルンルンってそんな感じの物語にしておきたい。ん、ですけれどっ(T-T)
私の願いに関係なく、音楽は流れ、セイレーンさんの素敵な声で歌が始まる。
♪ローズマリーは冬の花〜
と、ここで嫌な予感が確信に変わる。だいたい冬とか出てくると苦労をするのが昭和のお約束である。
「なかなかいい感じないですか。」
いつの間にかメフィストが私の横で声をかけてくる。
「そうかな?」
不安な私は渋い顔になる。
「何か心配事ですか?」
「何かって、私、剛が幸せな家庭を持つ話を見たかったのよ。」
私は少し責めるように言った。メフィストは私を見て不思議そうに苦笑する。
「大丈夫ですよ。私たちの話なんだから。」
メフィストは優しく笑う。穏やかで、甘さのある優しい笑顔。なんだか腹が立ってくる。
「もうっ、私は、少女時代に見た漫画の新作は見たいわよ?でも、剛は不幸とかもういらないのよ。
容姿でいじめられたり、親が死んだり、災害に遭うとか、そうゆうのは、もういいの。」
私は悲しくなった。そう、もう、剛は苦労する必要はない。
悪役令嬢でいいから、みんなに好かれて溺愛されて、なんか、いい感じに好きな人を見つけて幸せになって欲しい。
願わくば、私の精神の安定の為に三角関係とか逆ハーレム展開は無い感じでお願いしたい。
「育成シュミレーションゲーム設定ですから、どうなるかは分かりませんが、剛さんなら大丈夫です。女の子に生まれても、あの性格はなかなか治るもんじゃまりませんから。」
わははと、メフィストは笑う。
「ちっとも楽しくないわ。もう。」
私はメフィストを睨んでそれから、剛が本当に生前の性格のまま女子に生まれたら、地獄だと、そう思った。




