SSS
WEB小説の異世界転生では男子が主人公の場合、女神は重要な役割をしている。
主人公をサポートし、時にはディスり、読者をちょっぴりセクシーにドキドキさせ、物語を盛り上げるのだ。
その、重要な女神の役を取った悪女は誰なのよっ(>_<。)
私はメフィストににじりよる。
「女神って、なに?私じゃないのっ(>_<。)
アンタ、何、勝手に私の話を改編してるのよっ!」
私の抗議を…メフィストはなんか余裕で…と、言うか、嬉しそうに受けていた。
「まあまあ、そんなに心を痛めないで…抱き締めたくなるじゃないですか。」
メフィストのふざけた台詞に怒りが込み上げるけれど…それより、なんか、自分が縮んでいる方に気をとられる。
私の視線は、メフィストのみぞおち辺り…顔を見るには見上げないといけない。
「バカな事はいいわ。その女神、消すわよ。」
私は不機嫌に空を見た。
ここは私の異世界…だったら、私だって、魔法がかけられるに違いない。
深夜アニメで見たような、なんか激しい破壊力のあるビームとかを出すことが出来るに違いない…やり方はわからないけれど。
「殺すなんて、残酷ぅ…でも、ソイツは無理だと思いますよ。」
「無理?」
「はい。ステイタスが違いますから。貴女がノーマルなら、向こうはトリプルスーパーレアて感じですから。」
「は?」
「は?って…ほら、ゲーム屋さんに売ってるカードの左端のあたりにあるでしょ?Rとか、SSSとか。あれですよぅ。」
メフィストに言われて、なんか、納得する。
なんか、豪華なカードについてるSSSって、トリプルスーパーっていうんだ。
「エスエスエスって…呼び名があるんだ…あれ、星みたいに表記だけだと思っていたよ。」
「まあ、決まってるって訳じゃないですがね。って、ここ、アストラル界ですよ?理解してますか?」
メフィストに不満げに聞かれて混乱する。
確かに、異世界を目指したんだから、アストラル界に設定した。
「うん。それがどうしたのよ?」
私の顔を…メフィストはしばらく見て失意に首を横にふる。
「はぁ…理解できてないですね…。ここ、ガチのアストラル界。曲がりなりにもこの地獄大公メフィストフェレスが監修したのですから…」
メフィストはそこで私を椅子に座らせる。
確かに、アイテムボックス無しで奇術師の様に自然に椅子を出現させている。
「う…ん?」
私は椅子に座ってホッとしながら、話が長くなりそうだとため息が出る。
すると、メフィストはあの電工掲示板になんか、デジタルペンの様な物を取り出して黒板の様に書き始める。
「貴女の今までの作品をチラシの裏書きとしましょう。」
「チラシの落書きって失礼ねっ!」
「落書きではなく、裏書きですよ。では、言い直します。原稿用紙に手書きしていると仮定します。」
「原稿用紙…」
「そうです。これは秘密にしていれば、誰も貴女の小説を読むことも干渉も出来ませんよね?」
「…かえすがえすも失礼ね…一応、投稿したらPVはあるんだよっ…初回、二桁とか…いくときが、ふ、増えたんだから。」
私は始めの頃、PV2しか貰えずに、投稿しても0になる日がくるのではと怯えた頃を懐かしく思い出した。
それが、二桁いく日が増えてきたのだ。継続とは、やはり、力なのだ。
「例え話ですよ。貴女の悲しい現状なんて今はどうでも良いんです。」
メフィストはキッパリと言い切り、そして、不服な私の顔を睨んでコメントをブロックする。
「はい、聞いてください。貴女の今までの活動が原稿用紙のアナログなら、現在のこの作品はネット小説。」
「ネット小説?」
じゃあ…私の今までのネットの執筆活動は夢なのか?
「そうです。ここは異界と繋がってるのです。
魑魅魍魎がひっそり閲覧し、芸能人クラスの…天使や悪魔も見てるんですよ!」
メフィストの力説がイマイチ分からない。
「だから…何?」
私は混乱する。そんな私の肩を揺すりながらメフィストはさらに力説する。
「だからぁ…見てるんですって!ミカエルやガブリエルが!」