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オープンワールド29


なんで、私、悪魔のキッスなんて受けたんだろう?

曖昧(あいまい)な記憶に混乱する、が、そんな事を考えている場合じゃない。

ここはただの妄想の世界ではない。アストラル界なのだ。

未完のまま、死ぬような事があったら…どうなるのだろうか…


遠くで悪魔が2人、私の魂を狙ってる…


私は、自業自得としても、剛は何とか逃がさないわけにいかないわ。



何とかしなきゃ…


ここに来て、うっすら恐怖が込み上げてきた。

が、そんな気持ちも、イケメン、イケボの悪魔二柱が、なんだかゴージャスなセリフを言いながら私を奪い合っていると、集中力が続かない。


「卯月さんは、私のものです。」


メフィスト…(///ロ///)

「お前に、あの(ひと)は渡さない!」


ドロッセルゥ…( 〃ー〃)


いかん!


落ち着け私!奴等の台詞は恋愛ジャンルじゃない。

食料の話をしてるのよ。

豚の丸焼きを取り合ってるようなものなのよっ。


両頬を自分で打って、正気に戻る。


「メフィストさんは…貴女を心配してました。

もし、メフィストさんが来るのがあと少し遅くて、貴女がクララの呼び名を受け入れていたら…ドロッセルと名付け親としての縁が出来るところでした。」

いつの間にか、私の隣に座るジオが言った。

「ドロッセルって…何者なの?」

「わかりません…悪魔としか…」

ジオは歯がゆそうに言う。

私は、カウンターから本棚づたいにほふく前進をしながら悪魔達に近づいた。

少しでも情報がほしかった。


会話を聞いてる分には、メフィストがドロッセルより年下なのはわかる。

そして、私を2人の美男子が奪い合う…なんて言ったら素敵だけど、ぶっちゃけ食料枠である(T-T)


「ジオ…悪魔って、人の魂、食べるんかな?」

思わず、ジオに質問したけれど、答えは聞こえなかった…

と、言うのもドロッセルの台詞に気をとられたのだ。


「マイ・プリンセスが千年ぶりに気に入った依り代ですから、ほんの少しの歪みも許されないのです。

完璧を目指すためにも、クララには協力してもらわなくては。」


マイ・プリンセスの依り代…って、剛の事じゃないΣ( ̄□ ̄)!


ここにきて、ふざけてる場合じゃないと焦る。

いや、今までもふざけてはいないけど…でも、耽美ものの挿し絵みたいな美青年が2人で自分をめぐって戦うなんて状況…正気で考えるのは無理ってものだ。

奴等、焼豚の取り合いみたいな事をしているわりには、台詞が恥ずかしくなるような甘さなんだもん。


嫌になっちゃう。


なんて、そんな事は今は良いのよ。

剛、マジで悪魔の依り代なんかにさせられないわよ。


なんか、考えないと。


私は手を見た。

ここは私の真相心理の影響で作られた世界。

意思の力で何でも具現化出来るはずなのだ。


なのに、何にもならないのは何故だろう?

普通、Web小説では、異世界に転生したら、それだけで凄い力が備わるはずなのに…私と来たら、電光掲示板すら出せないのだから。


電光掲示板…あれ、そんな風に呼ばれていたっけ?

ふと、本来の名前を知らない自分に気がついた。

ここに来て、自分が本当に上っ面だけ見て人気ジャンルに殴り込もうとしていた事に気がついた。


自分が理解できない世界観を知ったふりをして作り出したから、何の能力もないんだわ。


その事に気がついて愕然とした。

でも、今更、どうにもできない。

どうしよう?

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