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オープンワールド28


メフィストの両手の中で、アニメで良く見るような気の玉のようなものが膨らんでいる…


私もろとも…攻撃されるぅぅ〜


胃が痛くなる。

全く、悪魔って…信用できないわ。

あんなのくらったら…

くらったら…どうなるんだろう?


変なところで()に戻り、時を同じくして例の付箋が飛び出してきた。


《よくきいてね。

黒水晶は近くにある放射性鉱物の影響で黒くなった水晶だよ。

主な産出国は、チベットやブラジル、ロシア、中国だよ。》


これはっ!


「ジオ、あなた、ジオねっ。分かった。黒水晶はチベットでとれるのねっ!

分かったから、姿を現して!」


私の叫びに、何か手帳のような、透明のものが飛び出してきて、一瞬で人の形に変わると、私の手を引いて逃げる。


私はそれにしたがった。

メフィスト達の喧嘩に巻き込まれたくなかったし、手を引く何かがジオだと信じていたからだ。


地元の図書館をイメージした空間で、私たちは貸し出しカウンターの中に隠れた。

透明で光輝いたジオは、時間がたつと金髪の少年に変わっていた。

「ごめん…ごめんね。置いていったりして。」

私はジオを忘れていた事を謝った。

ジオは、おおらかに許してくれた。

「いいよ。僕、いきなり変えられちゃったし…

地理について、あとでいっぱい聞いてくれたら、それでいいんだよ。」


それですね…


何となく、予想はしていたが、やはり、そこに来るんだと思った。

「うん。黒水晶がチベットで算出するのはわかったよ。ついでに岩塩も旨いよね。この危機を何とかしたら、お茶とお菓子を用意して地理の話をしようね。」

私は本気でそう思った。それから、カウンター越しに、にらみ合う二人を見た。

メフィストは光の玉をバレーボールをするように宙に投げあげてドロッセルにアタックした。


ドロッセルは、それをトスして、メフィストに向かって逆襲した。


「あれは私の獲物ですっ。」

メフィストは叫んだ。

「私の可愛いクララをあれ呼ばわりは、やめて欲しいね。」

ドロッセルが光の玉を綺麗なフォームで打ち返す。


それをメフィストは器用にトスをして、そこから、力一杯、アタックをする。

図書館の天井は少し高いけれど、バレーボールをするには狭いし、ヒヤヒヤる。


「彼女はウズキ…貴方のクララではありません、よっ。」

メフィストは、不機嫌そうだった。


そして、どうも、私を取り合ってるようだ。


「ドロッセルって、アイツ、悪魔ね。」

私は独り言のようにボヤいた。

全く、悪魔と言うのは油断も隙もない。

「うん、だから、メフィストさんが僕をあの黒水晶を投げて、君を助けられるようにしてくれたんだ。」

ジオが私の横で屈託(くったく)なく笑う。


その優しげな姿に、思わず、少女時代の隠れんぼを思い出してキュンとする。

が、そんな場面じゃない、悪魔に…メジャー級の悪魔に私、狙われてるんじゃないのっ。


不安になる私の気持ちを知らず、メフィストとドロッセルは勝手な事を言いながら怪しい玉でバレーボールを楽しんでる。


「助けるって、私、どっちについても地獄行きじゃない!」

マジで寿命が短くなってるのに、地獄の使者なんて空想でもあいたくないわ。

「そうとも限らないよ。」

ジオの曖昧な答えにイライラした。

ここは、マジのアストラル界、天使や悪魔が実在する、あの世とこの世の境の世界…

こんな場所に、グダグダといて良いわけはない。

思えば、何だかんだと剛にも会えてない。


私はメフィストに騙されてるのだろうか…


「それじゃあ、この茶番(ちゃばん)はなんなのよっ、ジオ、あなたはメフィストの眷属(けんぞく)なの?」

少し語気が強くなる私の言葉を綺麗な笑顔で受けながらジオは私を見つめる。

それは、まだ、純粋で美しい恋物語を信じていられた少女時代を思いおこさせた。

「眷属は…君だよ。僕は本のモノノケさ。」


えっ(°Д°)


そうだった…私、悪魔のキッスを受けたんだった!

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