オープンワールド19
王子の前に、勇者と新作の話が追加される。
この世界はゲームをモデルにしたオープンワールド。
この世界、国を産み出すのは配信元。
この世界を存続させるためには、国民は新シリーズのゲームを買い、好きな女神に課金をする。
と、言うことで、まずはメインパッケージが売られ、新たな冒険が中央で始まる。
そして、この世界に使用料を払い、独自の世界を運営する貴族が現れる。
近未来、ゲームの技術も革新的に伸び、三拓の質問に答えるか、一方的に喋るだけだったNPCと呼ばれるエキストラのような人造人間たちと自由な会話が楽しめるようになり、彼らに情を移すプレイヤーがサービス終了の噂に大炎上をおこしたところから始まる。
様々に知恵を絞った彼らは、自分達で金を集めたり、配信元と協議をする。
結局、子会社を作り、世界を分配して運営、そこに課金する事で、ゲーム内の土地を長期の貸付を受ける、新たな分譲のシステムを作り上げたのだ。
彼らは、ゲームを購入、課金を払うことで世界を維持している。
で、このシリーズ…つまり、新しい王が発売されると、貴族社会も人事の季節となり、姫達もその役を退いて花嫁になる。
で、ディアーヌが姫として登場するわけなので、ゲームが発売された、設定になる。
そのゲームの主人公は…
「ふっ…フランソワ!」思わず声を漏らした。
確か、フランソワ1世がカトリーヌの舅だったと思うけど…このキャラは違うよなぁ。
金髪の巻き毛をなびかせてるもん。
「はい。現王はフランソワ様にございます。」
ジオにかしこまられて、私もつい、背筋を伸ばす。
「そうですか。フランソワ様…どの様なお方なのでしょうか?」
ああ、つられて言葉も丁寧になるわ。
「とても勇猛果敢な王さまです。」
ジオの説明によると、どうも、フランソワの物語は戦略もので、ドラゴンとかは出てこない、リアルな政治もののようだ。
面倒くさいなぁ。
面倒くさい。が、ここをしっかり聞いておかないと、王子さまが格好良く描けない(>_<)
ついでに、ベルフェゴールから剛を守るヒントも隠されているかもしれない。
ついでに、ジオに話をさせて知識の宝石もいただきたい!
戦争と言ったら、地理無双の世界線だもん。
理解できるかは…イマイチ自信はないけれど。
レベル上げはしなくっちゃ。
などと、欲にかられて話を聞いた。
基本は新シリーズになっても、住民などは変わることはない。
この時期に、自分の土地やアイテムを売り払って退会も可能らしいけれど。
新しいゲームがリリースされても、戦いは外で行われて関係は少ない。
勿論、王について兵士として旅立つ人もいるし、貴族もまた、それに続く。
そんな世界観らしい。
「王が遠征する世界なのか…」
ジオの顔を見ながら染々とこの不思議な世界を味わった。思えば…戦争やら、竜退治なんて派手なゲームは存在するけれど、そうして人が抜けた、留守の国を切り盛りする、そんなゲームって見たことないかもしれない…
まあ、あんまり、面白い展開もないだろうけど。
「そうですね、この間、国を守り、そして、子育てや切り盛りもしなくてはいけません。」
ジオに言われて、地味だけれど、そっちの方が、私には書きやすい気がしてきた。
「そうだね。頑張ろう。4姫の名前も考えないとね。」
私は歴史のディアーヌとカトリーヌの関係者から名前をもらうことにした。
才姫はディアーヌ・ド・ローズマリー
戦姫はジャンヌ・ド・ティムス
暗殺姫はエリザベート・ド・ペトロセリナム
薬師姫はマドレーヌ・ド・サルビア
さあ、これでなんとか設定も出来たし、ジオに書いてもらって、剛に会いに行こう!
長い設定を終わらせて、私は、頭がスッキリしてきたきがした。
一度、窓辺で延びをしてから、ジオの方を振り向いて叫んだ。
「さあ、図書館を出よう。」
が、振り向いた先にはジオは居なかった。
知らない男が座ってる。
どう考えても、近代的なスーツに身を包む、20代位の金髪の男。
ドキドキした。が、勇気を振り絞って聞いた。
「あ、あんた、誰?」
私の質問に、ジオの代わりにソファーで本を手にした男は優雅に視線を私に向け、そして、カミソリのようにキレキレの…文字通りのキラースマイルでこう言った。
「つれない言葉ですね?乙女ゲームで偶然登場する美男子と言ったら、スパダリ候補と考えるのが、普通ではありませんか?」
綺麗なテノールだった。
ゲームなら、声優さんは凄く豪華な人なんだろうと思った。




