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ファウスト

「いや、ね、確かに、長く生きてますから、いろんな人間には会いましたよ。全く…あの人、なんなんでしょうか?『イワンのバカ』よりどうしようもありませんよ。」


メフィストは不満げに話始めた。

『イワンのバカ』はロシアの民話で、悪魔の甘言(かんげん)にのらなかった素朴な人物が主人公だ。

それを聞いて、なんか、理解出来る自分に苦笑する。

「た…大変だったね…。ごめんよ、一人にしちゃって。」

なんか、謝る。

「そうですよぅ…。私だってね、初めの設定どうり、頑張りましたよ。

ファウストに剛さんを設定してね。」

メフィストの説明に混乱の初連載を思い出した。


私は連載を失敗して2話目を新連載にしてしまい、削除を止めてと機械に懇願され、ノストラダムスと同時代に大変だったルターを主人公に話を作ろうとした。確か、プロテスタント誕生500年の記念の年で…剛は500年前にタイムスリップし、ルターと間違われながら旅をする設定だった。が、現存する宗教団体の教祖を主人公にラノベを書くのにビビり、七転八倒(しちてんばっとう)の末、剛は喫茶店で金縛りにして話を凍結し、私は続きを探す事になる。


そこで見つけたのが、ファウスト博士だ。

ゲーテの小説で有名な、ラノベにも登場してそうなファンタジーな人物であるが、もとがいる。

ヨハン・ゲオルグ・ファウスト。

なんか、錬金術とかをやってた学者のようだけど、ルターが彼を非難してるようなので、その流れでこちらの人物を剛と融合しようと考えたのだった。


なるほど…だから、メフィストがいるのか…


なんだか、がんばって作品を作ろうとしていた過去の自分を()く思いながら、現在の体たらくな自分にがっかりする。


「なんか…色々、ごめんね(T-T)」

私はメフィストに深く謝った。

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