オープンワールド5
それは突然始まった…
まばゆい光がジオから発して、どこからともなくバイオリンのポップなBGMが流れる…
まさか、変身BGMなのかっ(@ ̄□ ̄@;)!!
右の薬指を悩ましげに額に当てながら、ジオは優雅にまわりだす。
心は中高年の私は、なんだか気恥ずかしくていたたまれなかった…が、美少年の変身シーンなど、珍しいので拝見させてもらう。
なんでも、最近の魔法少女ものも、少年が加算されているそうだが、間近で見るのは初めてだった。
ちょっと、ときめくなぁ( 〃▽〃)
ジオは、おばさんに変な妄想をされてる事など関係なしに優雅に回転し、時には足をあげたりして、肌を見せることなく優雅に…そして、どうしていいのか、困惑するほど変わった。
まず、日焼けした。
正確には、なんて言うのかは知らないが、小麦色の肌に変わった。
衣装は白い燕尾服…の、なんか、少女漫画、異世界デコ改変みたいな服になった。
否、ああ、私は、上手く描写できないな…
ジオは、小5の見た目から、中1位に成長していた。
喉仏はなく、ギリ、少年…なんだけど、顎のラインや、こめかみに男らしさが増していた。
エメラルドグリーンの蝶ネクタイの彼は、確かに美しかった。
私の文章力や作画では、到底伝わらないだろう(T-T)
美しい純白の絹の燕尾服のジャケット部分には、天蚕絹を思わせる淡いグリーンの刺繍が施されていて、まばゆいばかりだった。
髪は、華やかな金髪に変わり、瞳は…まさにエメラルドタブレットを思わせる神秘の深緑に変わっていた。
別人じゃんか!
と、突っ込みをいれるのも躊躇したくなるような、絶対的な存在感…
これを、なんと表現したら…いいんだろう…
少し、緊張してきた気持ちに、多分、少女歌劇のトップスターが目の前に豪華衣装で現れたら、こんな気持ちになるんじゃないかとか、ぼんやり考えた。
「終わったよ。」
と、ジオの懐かしい声がした。
「ジオ、なんだよね?」
少し、ドキドキしながら声をかける。
ジオは、そんな私の反応に困惑しながら、自分の服を見て、
「ああ、衣装が時代背景にあわないよね。」
と、すっとぼけた反応を返してくる。
「う、うん…。」
あまり、外見に触れるのはやめよう。
少し落ち着いて来て、私は、ため息をつく。
「どうしたの?」
ナチュラルにそう聞いてくるジオに、私は苦笑する。
「いや、髪止めの時みたいに、なんか、四角いタブレットになるのかと思ったものだから。」
私の答えに、ジオは、少し困ったように肩をすくめた。
「うん。僕も、変身するまでどうなるのか、良く分からないんだ。ただ、ここまでは比較的、簡単に魔力を手に出来たけれど、ここからは、難しくなるみたいだよ。」
ジオの説明を聞きながら、頭の底で、ゲームのCMで良く聞く『いまなら、○○貰える』の台詞が沸いてくる。
これは、登録サービスの一貫なんだろうか…
そんなところまで、オープンワールドしなくてもいいのに…と、文句を言いながらも、古そうで新しいゲーム世界を見た気がした。
私の頭では、いまだにスマホ無双だったけど、時代は、既にAIに代わり始めているのだ。
これからは…こうして、会話をかわすAIと、旅をするゲームへと変わってゆくのかもしれない…
「じゃあ、新しい力を試してみよう。」
ジオに声をかけられてハッとした。
そう、私はweb作家、ゲーム制作者じゃないんだから、未来のゲームについて考えてる場合じゃないんだわ。
剛、剛にあって、話を終わらせて、生きてるうちに、アストラル界を出なくては…
「う、うん。」
頷く私に、ジオは、華やかな笑顔を向ける。
なんだろう…この、甘酸っぱい気持ち…
少女時代に夢中で読んだ漫画を年を取ってから再読したような、複雑な気持ちになりながら、苦笑する。
「じゃあ、僕の手に触れてみてくれる?
すると、僕に触れている間、エメラルド・ポップが見えるから。」
エメラルド・ポップ…なんか、ちょっとダサいネーミングだな。なんて、考えながらジオに触れると、もう、ネーミングなんて気にならなくなった。
一面の…透明な伏せんが、あちこちに見える…
多分、説明やヒントの類いなんだと思う。
私は驚きながらジオから手を離した。
途端に、伏せんが消える。
確かに、触れている間だけ見えるらしかった…
美少年にスキンシップしながらプレイ…
次世代の乙女ゲームを見た気がした。




