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この世の終わり

TS転生…それは異性として転生する事を意味する。

しかして、WEB小説では前世の記憶と人格も更新されるので、魂がおっさんで幼女といちゃつくなど、違和感を感じる読者が発生する物語もあるので好き嫌いが別れるジャンルでもある。

前世の記憶を持ったまま…剛が幼女に転生する…


キモイ( ̄〜 ̄;)


素直に気持ち悪い。

知り合いのオッサンが、幼女の皮をかぶってキャッキャうふふと幼女と遊ぶ地獄の絵ずら(T-T)


なんでこんな事に…(゜ロ゜)もしかして…電子のアバターが不具合を起こしたのか?

「ねえ、なに?あの体、何か失敗したの?」

私はメフィストを見た。

メフィストは苦笑して、首を横に振った。

「違います…あの器は完璧でした…どちらかと言うと、中身の方が…」

メフィスト、歯切れが悪い。その控えめな冷笑が、剛の元来の悪い性格を私の脳裏にプレイバックさせた。

「ねえ、奴、また、なんかしたの?」

「いえ、何もしていませんよ…ホント、疲れて牛のようにすぐに動かないくらいで。」

メフィスト、語尾に殺意が(にじ)む。

「ええっ…ごめん。そうだよね?生前、病気や体型で動くの嫌がってたもの…転生なら…やはり、健康でハンサムの器にしてあげるべきだったよ」

私は胸が痛くなった。

生前の姿の奴に会いたかったのは私。

剛からしてみたら、ハンサムで格好よくなりたいに違いない。

WEB小説でなんども見たテンプレ…

皆、普通のハンサムに転生して評価をもらっていたじゃないか。

そうだよ、外野が批判しようと何だろう?辛い現実からバカみたく逃避したいんだ。

転生するのだ。もう、現世には戻れない…それなら、生前の辛い事を繰り返す必要はない。体を軽く、頭をクリヤーに、顔をハンサムに…溢れるような財産と無敵の魔術を手に入れて…

本人なら、それが良いに違いない。

涙が出てきた。

そこまでしたら、もう、剛ではなくなる。

私の知っている剛では…

そして、奴はいい気になって暴走するに違いない。 大概の人間は、そんなものを手にしたら、ロクデナシになってしまうのだ。世界を一瞬で焼き滅ぼす主人公のアニメを思い出した。

剛は…フリマで千円手にしただけでイイ気になるような短絡的な男だ。

ランプの魔神を世に放つような破壊的な未来が見えた。


「どうしました?」

メフィストが心配する。

「この世界の…終わりを見たんだよ。」

私は深くため息をついて、その場にしゃがみこんだ。

この話は、連載を失敗したノストラダムスの物語の改編だ。だから、どこかにノストラダムスがいるんだろう。


ああミシェル…私も、今、この世界の終焉を確信したよ…


私は空を仰ぎ見た。


物語の最悪の改編をセルフでする事になるとは…

ハンサムで若くてカッコいい剛なんて私には、考えられない。


美しい青空を悲観してみていると、メフィストの笑い声が響く。振り向くと、メフィストが嬉しそうに私をみる。

「世界の終わり…そんなもの、簡単にきませんよ。

そんなもんが簡単に手にできるなら、我々は苦労しませんや。」

メフィストはそう言って私の横に座る。

「そうか、あんたら悪魔って、人類を滅亡させるのが最終目的だっけ?」

私がメフィストをみると、メフィストは子供を愛しむように私を見下ろす。

「いえ、人の魂を皆、地獄につれて行くのが目標ですよ。」

メフィストの笑顔は…まるで家に迎え入れる養父のように優しげだった、が、実際の地獄は…そんな優しげな世界ではない。

「私は行かないわよ。絶対に…って、何の話をしてたんだっけ?」

「剛さんですよ。」


メフィストは、そう言ってから、マシンガンのようにリアル剛との短い道中について話始めた。


動くことを嫌い、面倒くさがり、欲と言ったら食欲くらいの剛について。

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